一 学術情報システムの整備

学術情報ネットワークの整備

 昭和五十五年一月、学術審議会は、「今後における学術情報システムの在り方について」の答申を行い、近年における学術情報の急激な量的増加と多様化に対応し、大学における学術情報の体系的な収集システムとその迅速、的確な提供システムを有する総合的な学術情報ネットワークを構成する必要があり、これらを円滑に運営するための中枢機関の設置が必要であると提言した。この答申を受けて、六十一年、学術情報の収集、整理及び提供並びに学術情報及び学術情報システムに関する総合的な研究及び開発を行い、大学における学術情報の流通に資するための大学共同利用機関として、学術情報センターが創設された。同センターは、高速ディジタル専用回線による学術情報ネットワークを構築し、国公私立の大学等の研究者の利用に供するとともに、このネットワークを通じて、各種学術情報データベースの検索サービス、図書・雑誌の目録所在情報サービス、電子メールサービス等の事業を実施し、我が国の学術情報流通の中枢機関として重要な役割を果たしてきている。また、各大学等における学術情報など多様な情報の流通やコンピュータの高度利用を図るため、六十二年度から、大学内のキャンパス情報ネットワークの整備が進められている。

 大学図書館は、学術情報ネットワークを構成する主要機関の一つとして、コンピュータの導入等により、その機能の高度化が図られてきた。五十二年度から九国立大学図書館に外国雑誌センターを設け、外国で発行される学術雑誌の体系的収集・提供を図っている。また、学術情報センターを中心に、大学図書館ネットワークを形成し、資料の検索・相互利用を図っている。

 全国共同利用施設として七国立大学に設置されている大型計算機センターも大学図書館と並んで学術情報ネットワークの重要な構成機関であり、スーパーコンピュータ等の高性能のハードウェア及びソフトウェアを学術情報ネットワークを通じ、遠隔地から利用できる体制が整えられてきた。また、各国立大学においても、総合情報処理センター等の整備が進められてきた。

国文学研究資料館の設置

 昭和四十一年の日本学術会議勧告及び四十五年の学術審議会答申に対応して、国文学に関する文献その他の資料の調査研究、収集、整理及び保存を行い、かつ広く全国の研究者等の利用に供するため、国文学研究資料館を四十七年に設置し、五十二年に開館した。

データ資料センター等の整備

 自然災害、地震、医学等に関する文献、統計資料、データベース等を収集し広く研究者の利用に供するため、国立大学等に人文・社会科学系の文献資料センターの設置に加え、昭和四十七年度から自然科学系のデータ資料センターの設置を進めている。

研究成果の普及等

 学術の振興・普及等に資するため、学会誌等の刊行、学術図書の刊行、研究成果の外国語への翻訳、データベース作成等に要する経費等について、科学研究費補助金により助成し、優れた研究成果の流通の促進を図っている。また、昭和六十一年度から、科学研究費補助金等による独創的・先端的な研究成果を広く社会の各方面に公開するため、「大学と科学」公開シンポジウムが実施されている。なお、研究評価、情報交換あるいは人的交流の場として重要な役割を果たしている学会活動の振興については、学会誌等の助成のほか、平成二年度から、一定の要件を満たす学会法人を「特定公益増進法人」の認定の対象とするなど、その振興を図っている。

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学制百二十年史編集委員会

-- 登録:平成21年以前 --