三 スポーツ指導者の養成・確保

 生涯スポーツの振興に当たって、指導者の果たす役割は極めて大きい。文部省では、スポーツ振興法の中で、体育指導委員について、任務及び身分を明確にし、地域スポーツの推進者としての活用を奨励しており、その数は平成三年現在で約五万八、○○○人に達している。また、市町村の指導体制を整備するため、昭和五十年度から派遣社会教育主事(スポーツ担当)を市町村の求めに応じて配置する補助事業を行っており、約六〇〇人が各市町村に派遣されている。さらに、地方公共団体も指導体制の整備に努めており、六十一年現在で市町村社会体育担当職員及び市町村立体育施設職員はそれぞれ約一万二、○○○人配置されている。

 財団法人日本体育協会をはじめとする各種スポーツ団体においても、従前から独自の指導者養成を行っている。六十年現在で二四団体が指導者養成事業を行っており、約二八万人がそれぞれの団体の資格を有する民間スポーツ指導者として養成された。

 文部省では、これら行政担当職員、スポーツ指導者等の資質の向上を図るための各種の研修会等を行うとともに、都道府県の行う野外活動及びスポーツ活動指導者並びに学校体育施設開放運営者及び体育・スポーツ施設管理・指導者の養成と資質向上のための事業費の一部を助成している。さらに、体育指導委員の資質向上のための事業を都道府県に委託している。

 近年、国民のスポーツニーズが高度化・多様化してきたのに伴い、安全で適切な指導を行うことができる指導者の養成が強く求められ、また、指導者の社会的評価を高め、これら指導者が指導に当たる各種事業の社会的信頼を向上させることが必要になってきた。このため、文部省は六十二年に民間スポーツ団体が行う社会体育指導者養成事業のうち、一定の水準に達し、スポーツの振興を図る上で奨励すべきものを文部大臣が認定する制度を創設した。また、これから運動やスポーツを行おうとする人々に対し、適切なプログラムを提供するとともに、指導・助言を行うことができる指導者の必要性を考え、六十三年に制度を改正し、スポーツプログラマーの養成も事業認定の対象に加えた。平成三年現在の認定団体数は、地域スポーツ指導者の養成を行う団体が二三、競技力向上指導者を養成する団体が二一、商業スポーツ施設における指導者を養成する団体が八、スポーツプログラマーを養成する団体が三となっている。

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