一 視聴覚教育の充実

 戦後、学習媒体として映画、ラジオ、スライド等の活用が図られ、その後テレビや新しい教育メディアも導入されて、学校教育や社会教育での教育効果を高めてきた。その中にあって、昭和四十六年の社会教育審議会の答申や視聴覚ライブラリー研究会報告などは、教育メディアの顕著な発達に着目する必要を示唆するとともに、教育方法の刷新充実のために、視聴覚センターの創設等について提言した。文部省はこれらを受けて、施設の整備、指導者養成、教材の充実を振興目標とした。

 技術革新に伴う機材の開発等を受け、教材の制作、提供、研修などを含めた視聴覚教育に関する事業を総合的に実施する公立視聴覚センターの整備費補助制度を、四十八年度に創設し、平成三年現在、三八館を整備した。また、昭和四十八年の社会教育審議会の建議に基づいて視聴覚教育研修カリキュラムの標準を定めて視聴覚教育指導者研修に対して助成を始め、指導者の充実に努めてきた。さらに平成四年三月には従来の標準を廃し、新しい教育メディアに対応できる内容の視聴覚教育メディアカリキュラムの標準を定め、通知した。

 昭和四十年代中ごろ以降は、教材の制作が多方面にわたるようになったので、その先導的開発が必要になった。このため、四十六年度からテーマをあらかじめ設定して教材映画を制作する指定制作制度や特別選定映画の購入・配布制度を設けた。また、平成二年度から教材ビデオを教育映画審査の審査対象に新しく加えるとともに、文部省企画のラジオ教育番組やテレビ教育番組「親の目子の目」の充実、NHKの学校放送番組等の利用の促進を図っている。さらには、二年度から民間企業等地域における映像資料の収集、提供も視野に入れた地域映像情報整備充実事業に新たな助成を行っているところである。

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