二 私立大学等に対する補助

経常費補助

 私立大学等に対する経常費補助の対象の範囲は、昭和四十五年度の国庫補助制度発足当初、専任教員等給与費と教育研究経常費だけであったが、私立学校振興助成法の制定により、経常的経費の範囲は逐次拡大された。これにより、補助金の額は順調に増加し、私立大学等の経常的経費に占める補助金額の割合も、五十五年度には、二九・五%にまで達した。しかしながら、国の財政状況が厳しくなり、歳出の抑制等により財政再建を図るため、五十七年度以降、いわゆるシーリング方式が導入されたこと、五十七年度に設置された臨時行政調査会の答申において、私学助成について当面総額を抑制し、適切な教育研究プロジェクトについての助成を重視する等の指摘がなされたことなどを背景に、五十八年度以降、補助金の総額が抑制されることとなった。

 このような状況の下で、効率的な私学助成を推進するため、経常費補助金の配分方法の改善等が逐次行われた。具体的には、主として教職員数や学生数を基に補助単価を乗じて配分する一般補助について、私立大学等が自主的に教育研究条件を高めるように、私立大学等の教育研究条件の整備状況や経営努力等を考慮した「傾斜配分」を強化した。

 また、私学の建学の精神等に基づいた特色ある教育研究を推進するための「特別補助」(大学院教育、留学生受入れ等の国際交流、地方における高等教育機関の整備等)について、逐年予算額と補助対象項目の拡充を図っており、平成四年度現在、補助金総額(二、六〇二億円)の一三・二%に当たる三四三億円が措置されている。

 なお、一部の私立大学において不祥事等が発生したことを契機として、私立大学等の健全な発展を促し、補助金の適正な執行を行う観点から、昭和五十八年度には、管理運営が著しく適正を欠いている私立大学等には、原則として五年間補助金を交付しない措置を設けた。

教育研究装置等の補助制度の拡充

 私立大学等の教育研究に必要な設備・装置に対する補助制度としては、大学を対象とする「私立大学研究設備整備費等補助金」(昭和二十八年度創設)があった。五十八年度には、臨時行政調査会の提言等を踏まえて、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の大型の教育研究装置の購入に要する経費の一部(補助率二分の一以内)を補助する「私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助金」が創設された。この補助制度については、逐年その充実が図られ、平成四年度現在、研究設備については二三億円、教育研究装置については八五億円が措置されている。

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