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二 大学入試センター試験への移行

大学入試センター試験

 臨時教育審議会は昭和六十年六月の第一次答申において、偏差値偏重による受験競争の過熱を是正するとともに、人間を多面的に評価し、個性的な入学者選抜を行い得るよう、国公私立大学を通じる大学入学者選抜制度の改革を提唱し、その方策として、従来の国公立大学の共通第一次学力試験に代えて、国公私立を通じて各大学が自由に利用できる新しいテストの創設を提言した。

 この臨時教育審議会の答申を受け、文部省は大学・高等学校関係者等から成る大学入試改革協議会を設けたが、同協議会は、六十三年二月、大学入試改革について最終報告を行い、これに基づいて、平成二年度入学者選抜から、共通第一次学力試験に代えて、大学入試センター試験が実施された。

 大学入試センター試験は、大学に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的として、参加する国公私立の各大学が、それぞれの大学の試験に先立ち、大学入試センターと協力して、全国同一の期日に同一の試験問題により共同で実施するものであり、利用教科・科目数などについては、共通第一次学力試験と異なり、各大学の判断と創意工夫に基づき、自由に利用できることとされている。

 このように、大学入試センター試験は、各大学が大学入試センター試験の結果を活用しつつそれぞれ特色ある選抜を実施することにより、受験生個々の能力、適性を生かした進学を容易にするとともに、各大学の特色に基づく多様な利・活用により、いわゆる輪切り、序列化を助長しないことを期待して構想されたものである。

 初年度の平成二年度には、すべての国公立大学のほか、一六大学一九学部の私立大学が大学入試センター試験を利用し、約四三万人の志願者があった。また、各大学の利用の状況を見ると、国公立大学にあっては、五教科利用の大学・学部が一一四大学三七九学部と最も多く、全体の八〇数%を占めているが、利用方法が弾力化されたことを受けて、四教科以下を利用した大学・学部も六二大学一一五学部に上った。

 なお、大学入試センター試験を利用する私立大学は年々増加し、五年度には、五六大学八五学部となっている。

国公立大学の受験機会の複数化

 昭和五十四年度の共通第一次学力試験の導入と同時に、大学間の格差感を解消するため、国立大学入試の一期校・二期校制が廃止されたが、このことに対しては、受験機会の複数化の要請が強く寄せられたため、六十二年度入学者選抜から、各大学・学部がA日程グループとB日程グループに分かれて試験を実施する「連続方式」が導入され、受験生は二つの異なる大学・学部を受験することができるようになった。

 しかし、共通第一次学力試験の成績等によって第一段階の選抜を行い、その合格者について更に必要な学力検査等を行って最終的な合格者を決定するいわゆる二段階選抜方式を行った大学において、第一段階での不合格者が大量に生じる等の問題が生じたため、元年度入学者選抜からは、「連続方式」に加えて、受験生の選択の機会の拡大や多様な選抜方法の導入を更に促進する観点から、各大学が学部の入学定員を前期と後期に分け、前期日程の試験、合格発表、入学手続を実施した後、改めて後期日程の試験、合格発表、入学手続を実施する「分離・分割方式」が併用されることとなった。この場合、前期日程試験に合格し入学手続をした者は、後期日程又はB日程試験を受験しても、合格者とはならないこととされている。

 「分離・分割方式」を採用した国立大学は、元年度入学者選抜においては、九大学四四学部であったが、その後、各大学の積極的な取組が進められ、三年度においては、「分離・分割方式」を採用する大学が五〇大学一八八学部に増加し、全国立大学の五〇%を超えることとなった。

選抜方法の多様化

 各大学が行う選抜試験においては、それぞれの目的、特色、専門分野等の特性に応じ、入学志願者の能力・適性等を多面的に判定するため、評価尺度の多元化・複数化など、入学者選抜の多様化を一層推進することが重要である。このような観点から、近年、一般的な入学者選抜において、学力検査のみに偏ることなく、調査書、面接、小論文、実技検査等を組み合わせて実施する大学や、一般的な入学者選抜のほかに、入学定員の一部について、出身学校長の推薦に基づく推薦入学や、帰国子女、社会人を対象として、一般の志願者とは異なる選抜方法により判定する特別選抜を導入する大学が多く見られるようになってきた。

 国公立大学においては、共通第一次学力試験導入の前年度に当たる昭和五十三年度には、面接を課す大学は全体の三五%にすぎなかったが、平成三年度では八七・三%に達し、小論文については三三・三%から八八・一%へ、外国語のヒアリングについては七・五%から二九・一%へと大幅に増加している。また、特別選抜についても、推薦入学を実施する大学が二三・五%から七五・四%に、帰国子女特別選抜を実施する大学が○・八%から五六・〇%に増加し、昭和五十八年度に二大学で初めて実施された社会人特別選抜は、平成三年度には二三・一%の大学で実施されるに至っている。

 また、私立大学においては、推薦入学が国公立大学に比べてより広範に行われるなど、各大学がそれぞれの建学の精神や独自の学風を生かしつつ多様な方法で入学者選抜を行っている。

中長期的課題の検討

 大学入試の在り方は、高等教育だけでなく、高等学校以下の教育全体に大きな影響を及ぼすものであり、その意味において、大学入試の改善は、常により良き方途を見いだすべく不断の努力を傾注すべき重要な課題であると同時に、受験生の立場に十分配慮し、相当の準備期間をおいて改革を行うことが必要である。

 平成三年四月の第一四期中央教育審議会答申においては、受験競争の緩和を図る観点から、大学入試の改善についても、評価尺度の多元化・複数化など、幾つかの改革案を提示し、各大学の自主的判断による改革を促すとともに、大学審議会における大学入学者選抜の改善策の検討を要望している。

 一方、大学審議会においては、元年の文部大臣からの審議要請を受けて、大学入試に関する専門委員会を設置しており、現在、中央教育審議会答申の提案も受け止めながら、大学入試の在り方・改善方策について検討を行っているところである。

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