二 量的拡大と多様化

 短期大学は順調な発展を続け、平成三年には、五九二校(国立四一、公立五四、私立四九七)となり、我が国の高等教育機関として独自の地位と役割を占める存在となっている。短期大学は、私学の占める割合が高く、家政、人文を中心に、女子中心の高等教育機関として発展してきた。近年では、情報化・国際化の進展等社会の状況の変化を反映して専門職業教育に対するニーズの高まり、生涯学習に対する対応など短期大学に対する社会の要求も多様になっており、情報関係学科、英語学科、医療技術関係学科、秘書教育関係学科等の設置による専門職業能力養成の機能の強化、社会人特別選抜の実施や公開講座の実施等による生涯学習への対応などを図っているほか、女子の高学歴指向に対応するための四年制大学への転換なども行われている。

 また、国立短期大学については、勤労者に対する教育機会を提供するため、法商及び工業関係の夜間短期大学部を国立大学に併設する形で順次整備してきた。近年では、より高度の専門教育の実施や技術者等の養成・再教育のための特色ある教育の実施についての強い要望を踏まえ、一層の教育体制の充実を図るため、大学学部に夜間及び土曜日の午後を中心として昼間における履修も一部取り入れた履修コース(夜間主コース)を設け、それへの転換を順次行っているところである。また、国立大学医学部附属の看護関係の専修学校等の医療技術関係の短期大学部への改組転換が行われている。

 さらに、高等教育に対する社会のニーズの多様化を背景として、国立の短期大学の設置を要望する声が高まり、これにこたえて設置したのが、高岡短期大学及び筑波技術短期大学である。高岡短期大学は、伝統的工芸分野の後継者養成など地域の多様な要請に積極的にこたえる地域に開かれた特色ある短期大学として、今後の短期大学の試行的、先駆的役割を果たすことを期待して昭和五十八年に設置した。また、身体障害者の学習要求の増大に伴い、一般大学への受入れの工夫・改善に努め、障害者の高等教育機会の確保等を図ってきたが、更に、聴覚障害者及び視覚障害者のための新しい高等教育機関として、筑波技術短期大学を六十二年に設置した。

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