四 教員採用の改善

 教員としての使命感などその資質能力の一層の向上を求める国民の要望の高まりなどに対応して、昭和五十七年五月、文部省は各都道府県教育委員会に対して、教員の採用事務の改善と研修の充実についての全般的配慮事項を通知した。この通知では、1)教員の選考方法に実技試験、体力テスト、適性検査等多様な方法を取り入れるとともに、面接等を一層重視し、また、クラブ活動やボランティア活動などの経験と教育実習の履修状況について積極的に評価すること、2)選考試験の内容について、知識・学力のみに偏ることのないよう工夫・改善を図ること、3)採用内定時期を可能な限り早めることの三点を挙げている。

 六十一年四月の臨時教育審議会第二次答申においても同様の提言がなされており、これを受けた文部省通知の主旨を踏まえ、各教育委員会では教員採用選考試験の改善を行い、選考方法の多様化、採用内定時期の早期化が図られた。

日本国籍を有しない者の教員採用

 公立学校の教諭については、従来から、校長の行う校務の運営に参画することにより公の意思形成への参画に携わることを職務としていると認められることから「公務員に関する当然の法理」の適用があり、日本国籍を有しない者は教諭としては任用することができないとされている。

 平成三年三月、文部省は、「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定」(昭和四十一年一月発効)に基づく、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する協議(いわゆる日韓三世協議)の決着を受け、「在日韓国人など日本国籍を有しない者の公立学校の教員への任用について」の通知を発出した。この通知は、「公務員に関する当然の法理」を前提として、1)日本国籍を有しない者にも公立学校教員採用選考試験の受験を認め、2)選考に合格した者については任用の期限を附さない常勤講師として任用するための措置を講ずるよう各教育委員会を指導したものであり、この結果、すべての都道府県・指定都市において、平成四年度教員採用選考試験から日本国籍を有しない者にも受験・採用の道が開かれた。

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