二 教員養成課程の整備・改組

教員養成課程の整備

 昭和三十四年度以降減少傾向にあった小学校の児童数は、四十四年度から増加に転じ、特に四十九年度以降は第二次ベビーブーム時に出生した者が入学してくることなどから、更に増加が見込まれる状況にあった。このような児童数の増加等に伴う小学校教員の需要増に対応するため、四十一年度から五十四年度までに、主として人口の過密地域及びその周辺の教員養成大学・学部の小学校教員養成課程の入学定員について二、〇〇〇人を超える増募を図った。また、幼稚園教員養成課程の設置を進めるとともに、九大学に附置していた修業年限三年の養護教諭養成所を、五十年度から五十三年度までに、すべて四年制の養護教諭養成課程に転換し、これらの教員養成の充実を図った。

教員養成課程の改組

 昭和五十年代後半から、児童生徒数の減少による教員採用数の減少傾向が各地に生じ、教員養成大学・学部卒業生が教員に就職することが困難な状況となった。また、臨時行政改革推進審議会答申(六十一年六月)等においても、その入学定員を見直すべきことが指摘された。

 こうした状況を踏まえ、文部省では、「国立の教員養成大学・学部の今後の整備に関する調査研究会議」を設け、長期的な教員の需給関係を見通した今後の整備の在り方について調査研究を進めた。同会議は、六十一年七月に報告を取りまとめ、教員養成数の調整を図り、整備・再編成する必要があるとして、1)他学部等に入学定員の一部を振り替える、2)教員以外の職業分野への進出を想定した課程等を設置する、などの方策を採ることを提言した。文部省においては、この提言を受け、各大学及び地域の実情を十分勘案の上、六十二年度から、教員養成課程の入学定員を一部振り替えて、教員免許の取得を卒業要件としない新しい課程の設置を進め、平成三年度までに三〇大学に四二課程を設置した。

 教員養成課程の改組は、当該県等の教育委員会等と密接に連携を取り、地域の教員需給の推移を把握した上、必要性が高いと考えられる場合について行い、新しい課程の内容も国際化、情報化、生涯学習等社会的要請の強いものとしており、入学志願者も多くなっている。

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