三 昭和六十三年教育職員免許法改正

 臨時教育審議会は、初等中等教育の主要な課題の一つとして教員の資質向上の問題を取り上げ、昭和六十一年四月の第二次答申において、教員の養成・採用・研修の全般にわたる基本的提言を行った。文部省においては、教育職員養成審議会における専門的見地からの審議を経て、教育職員免許法の改正案を六十三年三月に国会に提出した。本法案は、継続審議の後、同年十二月の第一一三回国会において成立し、平成元年度から施行された。この免許制度の改正は、免許状の種類の改善、免許基準の改善、社会人の学校教育への活用等を内容とするものであり、従来の各方面からの提言を集大成し、制度化したものであり、二十四年の教育職員免許法制定以来最大の制度改正であった。その主な内容は、次のとおりである。

 (一)免許状の種類を、すべての校種について、基礎資格を大学院修了程度とする専修免許状、学部卒業程度とする一種免許状、短大卒業程度とする二種免許状の三種類とした。一種免許状は、教員の資質能力の標準的な水準を示すものとして位置付け、二種免許状を有する教員には、一種免許状取得の努力義務が課された。専修免許状の新設は、修士課程修了者を教職に招致することのみならず、教員の修士課程における研修の促進をねらいとしている。

 (二)社会人として有為な人材を教員として活用するため、教育職員検定により授与される特別免許状が創設された。

 (三)学校教育の内容の変化に対応し指導力の向上を図るため、教職科目として、「教育の方法・技術」、「生徒指導」、「特別活動」などの科目を履修することとされた。また、教育実習については、初任者研修制度の創設によりその在り方が論議されたが、従来どおりの期間で残すこととし、その運用の改善を図るため、大学における事前及び事後の指導を必須(す)とした。

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