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二 高等学校入学者選抜方法の改善

入学者選抜の改善状況

 高等学校や大学への進学率の上昇に伴い、入試競争が年々激しくなり、しばしば入学者選抜の在り方が大きな社会問題となった。公立高等学校の入学者選抜は設置者たる都道府県や政令指定都市の権限に属する問題であるが、文部省においてもこの問題について検討会議を開催し、その方針を示して改善を促してきた。

 昭和四十・五十年代の高等学校入学者選抜の基本方針は、三十八年八月及び四十一年七月の通知に示されている。その要点は、高等学校の入学者選抜は、中学校長から送付された調査書その他必要な書類、選抜のための学力検査の成績等を資料として、高等学校教育を受けるに足る資質と能力を判定して行うこと、調査書を十分尊重すること、学力検査の実施教科は各県において適切に定め、試験問題作成に当たっては中学校教育への影響を十分考慮すること、中学校における進路指導の徹底を推進すること、などであった。

 各都道府県においては国の示した基本方針に即しつつ、地域の実情を踏まえて入学者選抜方法の改善に取り組んできた。学区制については、当初かなりの都道府県で小学区制が採られたが、その後、年とともに中学区・大学区あるいはその併用が増加し、最後まで小学区制を維持していた京都府も六十年にはこれを廃止した。総合選抜制については、四十年代後半に一時増加したがその後横ばいとなり、平成三年度では一二県で実施している。学力検査の実施教科数は、昭和四十年代は九教科、五教科、三教科など多様であったが、六十一年度には全都道府県が五教科実施となった。合格者決定のための資料としては、全都道府県が学力検査の成績と調査書を用いており、この両者を同等視する方法を採っているところが多数となった。このほか、推薦入学、面接、課題作文、英語のヒアリング、調査書の記載事項のうち学習成績の記録以外の部分の活用など、各都道府県において様々な方法が工夫されてきた。

昭和五十九年通知

 このような高等学校入学者選抜の実施状況や、希望者のほぼ全員が進学し極めて多様化した生徒への対応を図ってきた高等学校教育のその後の進展等を踏まえ、文部省では、高等学校入学者選抜方法の改善に関する検討会議を設けて検討を進め、昭和五十九年七月、関係省令を改正するとともに各都道府県に対して通知した。その要点は、1)入学者選抜は高等学校の教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うこと、2)複数の受験機会を与える工夫をすること、3)学力検査の実施方法や結果利用について各学校・学科等の特色に応じた工夫を行うこと、4)調査書の各教科の成績以外の記録、面接、推薦入学を積極的に活用すること、5)帰国子女、保護者の転勤に伴う子女の入学者選抜について弾力的に配慮することなどであり、特に各学校・学科の特色に応じて、多様な選抜方法が行えるようにし、いわゆる偏差値偏重の弊害を是正しようとするものであった。

選抜方法改善の提言

 こうした文部省の通知を受けて、高等学校入学者選抜の在り方について、各都道府県において積極的な改善が行われてきた。しかし、高等学校への入学試験に対する過熱した受験競争の状況は解消されず、特に一部の都道府県では私立学校への受験競争が小学校段階にまで下がってきて、しばしば社会的にも大きな問題となった。臨時教育審議会や中央教育審議会もこの問題を取り上げて審議を重ね、臨時教育審議会は六十二年三月の第三次答申において、選抜方法・選抜基準の多様化、個性化等を図るよう提言を行い、また、中央教育審議会は平成三年四月の答申において、選抜方法の多様化、選抜尺度の多元化等の提言を行った。これを受けて文部省では三年から高等学校教育の改革の推進に関する会議を開催しその具体策の検討を始めた。

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-- 登録:平成21年以前 --