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五 同和教育の振興

同和教育の意義

 同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、現代社会においてもなお著しく基本的人権を侵害され、特に近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという、最も深刻にして重大な社会問題であると認識されている。広く社会の各分野にわたる同和問題の解決に当たっての教育対策は、人間形成にかかわるものとして重要な役割を果たすものである。このため、文部省では、学校教育や社会教育を通じて、広く国民の基本的人権尊重の精神を高めるとともに、対象地域における教育上の格差の解消と教育・文化水準の向上に努めることを課題として、次の方針の下に同和教育の推進に努めてきた。1)日本国憲法と教育基本法の精神にのっとり基本的人権尊重の教育が全国的に正しく行われることを推進すること、2)全国民の正しい認識と理解を求めつつ、地域の実態を十分把握しこれに即応した配慮に基づいた教育を推進すること、3)同和教育と政治運動や社会運動との関係を明確に区別し、「教育の中立性」が守られるよう留意することなどである。

学校教育における取組

 文部省の同和教育に関する施策は、昭和三十四年度に研究指定校の指定、資料の作成配布を行ったことに始まる。次いで、三十六年度からは同和教育に関し深い認識と理解を持つ指導者の確保を図るため、研究協議会が開催されることとなった。四十年八月、総理府に置かれた同和対策審議会から答申が出され、同和問題は日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題であり、その早急な解決は国の責務であると同時に国民的課題であるとの指摘がなされ、文部省の同和教育に関する施策も一層進められることとなった。

 まず、四十一年度には、同和関係者の子弟で経済的理由により、高等学校や高等専門学校への進学が困難な者に対し奨学金を給付することを奨励するため、都道府県、指定都市に対する補助事業として高等学校進学奨励費補助事業が開始されることとなった。この事業は、四十九年度に大学・短期大学分の奨学金が創設され給付制の事業として拡充が図られてきた。その後、五十七年度に大学・短期大学分の奨学金が貸与制に切り替えられ、六十二年度に高等学校・高等専門学校分についても同様に貸与制に切り替えられた。この事業の実施によって、高等学校や大学への進学率はかなり向上することとなった。

 次いで、四十四年度から対象地域の存する都道府県において、児童生徒の学力向上、進路指導などの教育上特別の必要から教員の加配措置が行われることとなった。その後、教員の定数改善計画によって逐年改善を図り、平成三年度までに、合計三、一六六人を加配した。さらに、昭和四十四年度からは対象地域を持つ市町村の全域又は一部の地域を教育推進地域に指定し、学校教育及び社会教育が一体となって地域ぐるみの同和教育の推進を図る教育推進地域の指定を行うこととした。

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学制百二十年史編集委員会

-- 登録:平成21年以前 --