二 生涯学習局の設置等

生涯学習局の設置

 文部省は、学校教育、社会教育、学術及び文化の振興・普及を図ることを任務とし、基本的には、それらの任務に対応して縦割りの組織体制となっていた。生涯学習体制の整備のためには、学習機会の確保に向けて、学校教育、社会教育及び文化について総合的に施策を展開する必要があり、そのような組織体制では必ずしも適切に対応できない面がある。そこで、文部省は、臨時教育審議会答申を受け、昭和六十二年十月の教育改革推進大綱に基づき、六十三年七月、既存の社会教育局を改組して、生涯学習に関する企画調整を行う新しい局、生涯学習局を設置した。生涯学習局は文部省の各局で行われている学校教育、体育・スポーツ、文化に関する事務について、生涯にわたる学習活動を奨励・振興する観点から、関係施策の企画調整を行う権限を有するものであり、これにより、文教政策全体が、学校教育をも含めた生涯学習体系への移行を目指すという考え方を明らかにしたものである。なお、生涯学習局においては、生涯にわたる学習機会の提供という面で重要な役割を果たす社会教育行政の振興・推進とともに、生涯学習の役割を担う学校教育機関である放送大学や専修学校・各種学校を所管することとされた。

平成二年・三年中央教育審議会答申

 臨時教育審議会答申を受け、生涯学習体系への移行のため政府として取り組むべき課題は、教育改革推進大綱に掲げられているが、それをどのように具体化するかについては、なお検討すべき点が少なくなかった。そこで、文部省の中央教育審議会で審議を行うこととされ、平成元年四月に第一四期中央教育審議会が再開された際に、「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」の第二項目として、「生涯学習の基盤整備について」の諮問が行われた。

 中央教育審議会においては、二年一月に「生涯学習の基盤整備について」の答申を行い、生涯学習の基盤整備のための施策について、四事項にわたり具体的提言をした。

 第一は、国と地方公共団体における連絡調整組織を法的に整備すること。第二は、都道府県に生涯学習推進センターを設置し、及び大学・短期大学には生涯学習センターの設置を期待すること。第三は、教育・スポーツ・文化等の生涯学習事業を地方の住民に集中的に提供できるようにするため、生涯学習活動重点地域を設置すること。そして、第四は、カルチャーセンターなど民間教育事業の振興のために国及び地方公共団体の間接的な支援が必要であることである。

 なお、三年四月の答申「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」において、生涯学習における学校の役割、生涯学習の成果の評価などについて提言があった。

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