ここからサイトの主なメニューです

四 臨時教育審議会答申の実施状況

政府の教育改革推進体制

 昭和六十年六月に第一次答申が出されると、七月、閣議において答申を「最大限に尊重し、速やかに所要の施策を実施に移すものとする」旨の対処方針を決定し、この対処方針に沿って、内閣に総理大臣が主宰し、全閣僚を構成員とする教育改革推進閣僚会議が設置された。またこの閣僚会議には、各省庁において総合的に調整を行うことができる局長級の関係官で構成する幹事会も置かれることとなった。その後第二次答申から第四次答申に至るまで、答申が提出される都度、教育改革推進閣僚会議や幹事会が開催され、また、閣議において教育改革を推進する旨の対処方針の決定が行われている。

 文部省においても六十年七月事務次官を本部長とする「教育改革推進本部」を設置し、第四次答申(最終答申)を契機に六十二年八月、文部大臣を本部長とする「文部省教育改革実施本部」に改組し、答申に基づく教育改革のための施策の総合的な実施を図っている。

教育改革推進大綱

 政府は、臨時教育審議会の四次にわたる答申を受けて、政府全体として当面取り組むべき重要課題とその具体化方策を明らかにするために、昭和六十二年十月閣議において「教育改革に関する当面の具体化方策について―教育改革推進大綱―」を決定し、これを当面の改革方策の検討・立案の基本方針として、総合的観点から所要の改革を推進することとした。その主な内容は次のとおりである。

 1)生涯学習活動の振興や各種スポーツ活動の振興等を図るとともに生涯学習体制を整備すること、2)道徳教育の充実等教育内容の改善を図り、また初任者研修制度の創設等により教員の資質向上を図るとともに、各般の教育条件の整備に努めるなど初等中等教育の改革を進めること、3)大学審議会における審議を踏まえつつ大学改革の諸課題に取り組み、また大学の入試改革を進め、大学院の充実と改革を図るなど高等教育の改革を進めること、4)独創的、先端的な基礎研究の振興を図るとともに、民間との共同研究を推進する等学術の振興を図ること、5)留学生の受入れ体制の整備充実、情報活用能力の育成等国際化や情報化に積極的に対応するための改革を進めること、6)文部省の機構改革を進めるとともに、教育財政において、教育改革を推進するため必要な資金の重点配分等財政上配慮を行うなど教育行財政の改革を進めること、などである。

制度改正

 臨時教育審議会の改革提言のうち法律の制定や改正を要するものについては、平成四年四月までに一六の法案を提出し、うち一四法案が成立を見ている。このほか、政令や省令の改正を要するものについては、それぞれ所要の措置を講じている。

 まず、生涯学習関係では、昭和六十三年七月、文部省の機構改革により生涯学習局を設置し、次いで、都道府県の生涯学習推進の体制、地域生涯学習振興基本構想、生涯学習審議会等について規定した「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が平成二年六月に公布された。

 初等中等教育関係では、昭和六十三年三月、単位制高等学校の制度を創設するとともに、国際化への対応として、高校生等の海外留学の制度化(六十三年二月)、帰国子女等に対する高等学校等への入学・編入学機会の拡大(六十三年十月)を図った。また、教員新規採用後一年間の初任者研修制度が創設され、平成元年度から実施されるとともに、教育職員免許法の改正により、免許状の種類及び免許基準の見直し、教員への社会人活用等の免許制度改善が元年度から実施され、元年十二月には、高等学校の免許教科の改正が行われた。このほか、昭和六十三年十一月、高等学校の定時制・通信制課程の修業年限を「四年以上」から「三年以上」に改めた。教科書については、平成元年四月及び二年三月に、審査手続の簡略化、検定基準の重点化・簡素化、検定・採択周期の延長などの措置を講じた。

 高等教育関係では、まず昭和六十年九月、文部大臣が指定する専修学校高等課程の修了者に大学入学資格を付与した。大学入学者選抜については、平成二年度入学者選抜より国公私立大学を通じて利用できる大学入試センター試験が実施された。

 また、大学改革を推進するため、昭和六十二年九月、学校教育法等の改正によって大学審議会が設置された。同審議会の答申を受けて、平成元年九月、大学院制度弾力化のための大学院設置基準の改正を行い、三年四月には、学校教育法等の改正により、学位授与機構の創設、短期大学及び高等専門学校の卒業者への準学士の称号の付与、高等専門学校の分野の拡大等が行われ、三年六月には大学等の設置基準の大綱化や自己点検・評価システムの導入などを内容とする大学、短期大学、高等専門学校の各設置基準及び学位規則の改正を行った。

 大学院の形態に関しては、国立学校設置法の改正により、昭和六十三年十月に総合研究大学院大学が、平成二年十月に北陸先端科学技術大学院大学が、三年十月に奈良先端科学技術大学院大学が創設された。また、高等教育財政に関しては、昭和六十二年五月に、国立大学等と社会との連携の緊密化等の観点から、寄附講座・寄附研究部門の制度を導入し、平成四年七月には、国立学校設置法等の改正により、国立学校財務センターが設置されるとともに、国立学校特別会計に「特別施設整備資金」が設置された。

 学術関係では、大学における基礎研究の振興に関して、元年六月に国立学校設置法が改正され、国立大学共同利用機関が国公私立大学の共同利用に資する機関として位置付けられ、大学共同利用機関と改称された。

 文化及びスポーツ関係では、二年三月に芸術文化振興基金が、同年十二月にはスポーツ振興基金が創設された。

行政運営上の工夫・改善

 文部省としては、臨時教育審議会の改革提言について、必要に応じ都道府県や大学等に対し通知を出すなどにより積極的な取組を求めたり、開かれた文教行政を目指して、その時々の文教行政の概況と政策に関する情報を積極的に広く社会に提供するため広報資料を刊行するなどして、種々の行政運営上の工夫・改善を行っている。

 改革提言のうち各都道府県教育委員会等における行政運営上の工夫・改善等により対応を図るべきものについては、昭和六十一年六月、いじめ問題への対応や教育委員会の使命の遂行と活性化、学校の管理運営の改善などについて、六十二年五月、生涯学習の促進や生涯スポーツの推進、国際化・情報化への対応などについて、それぞれ通知を出し指導した。

 また、大学教育の充実と個性化、学術の国際交流の推進、大学の組織と運営の見直し等、個々の大学等の自主的な努力が期待される提言については、六十二年五月、各大学等に通知を出し、積極的な対応を図るよう要請した。

 さらに、文部省においては、大学等の財政の自主性を拡大する観点から、個々の大学における教育研究活動の後援を行う財団法人の設立について従来の規制を緩和したり、人事に関する事務の弾力化・簡素化を図るなどの措置をとった。

 広報資料については、六十三年度から「我が国の文教施策」(いわゆる教育白書)を毎年刊行したり、教育・学術・文化・スポーツの各分野における国際化及び情報化への取組を紹介した「国際理解と協力の進展」(六十三年)、「情報化の進展と教育」(平成二年)を刊行するなどしている。

審議会等における検討

 臨時教育審議会の改革提言の中には、文部省において具体的方策を更に検討した上で施策を講ずることが適当と考えられる課題や中長期的観点に立って検討することが必要な課題も多い。これらについては、関係審議会等において鋭意検討を進め、結果のまとまったものについては、逐次、所要の措置を講じており、法律や政省令の改正による制度改正も、関係審議会等における具体化方策の検討を経たものが少なくない。

 例えば、教員の養成・免許制度の改善及び初任者研修制度の創設については、教育職員養成審議会の答申を踏まえて、昭和六十三年十二月に制度改正が行われている。また、スポーツの推進については、平成元年十一月、保健体育審議会が「二十一世紀に向けたスポーツの振興方策について」答申した。生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律の制定は、中央教育審議会の答申に基づいている。さらに、この法律に基づいて二年八月に発足した生涯学習審議会は、四年七月「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」の第一回答申を行った。高等教育の改革は、大学審議会の答申に基づき、逐次進められており、学術研究の推進については、四年七月、学術審議会が「二十一世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」答申した。

 また、初等中等教育の教育内容の改善については、昭和六十二年十二月の教育課程審議会の答申を受け、平成元年三月、幼稚園教育要領及び小・中・高等学校の学習指導要領の改訂を行った。

お問合せ先

学制百二十年史編集委員会

-- 登録:平成21年以前 --