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三 臨時教育審議会の答申

 昭和五十九年九月第一回総会が総理官邸において開催され、諮問は「我が国における社会の変化及び文化の発展に対応する教育の実現を期して各般にわたる施策に関し必要な改革を図るための基本的方策について」という包括的な課題の下に行われた。

 審議に当たっては、運営委員会と四部会が設置され、各部会は、第一部会「二十一世紀を展望した教育の在り方」、第二部会「社会の教育諸機能の活性化」、第三部会「初等中等教育の改革」、第四部会「高等教育の改革」を審議事項として検討に入った。

 その後の全体的な歩みとしては、第一次答申が六十年六月、第二次答申が六十一年四月、第三次答申が六十二年四月、第四次答申が六十二年八月にそれぞれ行われ、同年八月二十日で設置期間満了となった。この間、「審議経過の概要」その四までの公表、会議の開催は総会九〇回を含めて六六八回、公聴会は全国各地で一四回、団体・有識者からのヒアリング四八三人という精力的な活動を展開した。また、審議の経過が積極的に国民に公開され、教育改革に対する国民的な関心を高め、論議を呼び起こした。

 臨時教育審議会の四次にわたる答申は、文部省に置かれた各種の審議会等において検討されていた教育改革に関する従来の意見等を集約したものであると同時に、単に文部省だけでなく政府各省にまたがるものも含め、第三者的立場から多岐にわたる課題を審議し、集大成したものである。臨時教育審議会が総理府に設置され、この審議会が内閣総理大臣の諮問機関であったことにもより、その答申については内閣全体として責任を持って対応することとなり、予算編成にも大きな影響を与えた。

 四次にわたる答申の内容を見ると、六十年六月の第一次答申は、教育改革の基本方向と審議会の主要課題を検討し、当面の具体的改革として、1)学歴社会の弊害の是正、2)大学入学者選抜制度の改革、3)大学入学資格の自由化・弾力化、4)六年制中等学校の設置、5)単位制高等学校の設置について提言した。

 次に、六十一年四月の第二次答申は教育改革の全体像を明らかにしたものであり、1)生涯学習体系への移行、2)初等中等教育の改革(徳育の充実、基礎・基本の徹底、学習指導要領の大綱化、初任者研修制度の導入、教員免許制度の弾力化)、3)高等教育の改革(大学教育の充実と個性化のための大学設置基準の大綱化・簡素化等、高等教育機関の多様化と連携、大学院の飛躍的充実と改革、ユニバーシティ・カウンシルの創設)、4)教育行財政の改革(国の基準・認可制度の見直し、教育長の任期制・専任制の導入など教育委員会の活性化)などを提言している。

 さらに、六十二年四月の第三次答申は、第二次答申で残された重要課題を取り上げたものであり、生涯学習体系への移行のための基盤整備、教科書制度の改革、高校入試の改善、高等教育機関の組織・運営の改革、スポーツと教育、教育費・教育財政の在り方などについて提言している。

 六十二年八月の第四次答申は、最終答申として、文部省の機構改革(生涯学習を担当する局の設置等)、秋季入学制について提言するとともに、これまでの三次にわたる答申の総括を行い、改革を進める視点として、次の三点を示した。その第一は個性重視の原則である。審議会発足当初、いわゆる教育の自由化をめぐって意見が交わされたが、自由化というよりは個性重視という表現に固まり、答申では、画一性、硬直性、閉鎖性を打破して、個人の尊厳、自由・規律、自己責任の原則、すなわち「個性重視の原則」を確立することであるとしている。第二は生涯学習体系への移行であり、学校中心の考え方を改め、生涯学習体系への移行を主軸とする教育体系の総合的再編成を図っていかなければならないとしている。すなわち、学校教育の自己完結的な考え方から脱却し、人間の評価が形式的な学歴に偏っている状況を改め、これからの学習は、学校教育の基盤の上に各人の責任において自由に選択し、生涯を通じて行われるべきものである、と述べている。第三は変化への対応であり、中でも、教育が直面している最も重要な課題は国際化並びに情報化への対応であることを指摘している。

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学制百二十年史編集委員会