水産学校規程（抄）（明治三十四年十二月二十八日文部省令第十六号）

　明治三十二年勅令第二十九号実業学校令第八条及第十三条ニ基キ水産学校規程ヲ定ムルコト左ノ如シ

　水産学校規程

　第一条　水産学校本科ノ修業年限ハ三箇年トス但シ土地ノ情況ニ依リ二箇年乃至五箇年以内ニ於テ伸縮スルコトヲ得

　第二条　水産学校本科ノ教授時数ハ実習ヲ除キ毎週二十七時以内トス但シ実習時数ハ適宜之ヲ定ムヘシ

　第三条　水産学校本科ノ学科目ハ修身、国語、数学、地理、物理、化学、博物、図画、法規及慣習、経済、体操並ニ実業ニ関スル学科ノ学科目及実習トス但シ修身、実業ニ関スル学科目及実習ヲ除ク外本項ノ学科目ハ便宜之ヲ闘クコトヲ得

　前項学科目ノ外歴史、外国語、簿記、唱歌及其ノ他ノ学科目ヲ便宜加設スルコトヲ得実業ニ関スル各学科ノ学科目ハ左ニ掲クル事項ヨリ選択シ又ハ便宜分合シテ之ヲ定ムヘシ

　一　漁撈科　水産学大意、漁撈論、水産動物、水産植物、航海術、運用術、気象及海洋学、船舶衛生及救急療法等

　一　製造科　水産学大意、製造論、水産動物、水産植物、細菌学大意、分析、機械学大意等

　一　養殖科　水産学大意、養殖論、水産動物、水産植物、発生学大意等

　漁撈、製造、養殖ノ三学科中ニ学科以上ノ学科目ヲ併セ授ケントスル学校ニ於テハ前項ノ学科目ニ就キ選択シ又ハ便宜分合シテ之ヲ定ムヘシ

　第四条　水産学校本科ニ入学スル者ノ資格ハ年齢十四年以上学力修業年限四箇年ノ高等小学校卒業又ハ之ト同等以上トス

　第五条　水産学校ニ予科ヲ置クコトヲ得

　第六条　予科ノ修業年限ハ二箇年以内トス

　第七条　予科ノ教授時数ハ毎週三十時以内トス

　第八条　予科ノ学科目ハ修身、国語、算術、地理、歴史、理科、図画、体操トス但シ外国語、唱歌ヲ加フルコトヲ得

　第九条　予科ニ入学スル者ノ資格ハ年齢十二年以上学力高等小学校第二学年修了以上ニ於テ之ヲ定ムヘシ

　第十条　水産学校ニ於テハ簡易ノ方法ニ依リ水産ニ関シ必要ナル事項ヲ教授スル為ニ別科ヲ置キ又水産ニ関スル一事項若ハ数事項ヲ選修セシムル為ニ選科生ヲ置クコトヲ得

　第十一条　水産学校ニハ土地ノ情況ニ依リ別科ノミヲ置キ又ハ之ヲ分設スルコトヲ得

　第十二条　別科ニ入学スル者ノ資格及選科生ノ入学資格ハ適宜之ヲ定ムヘシ

　第十三条　水産学校ニハ本科卒業ノ後特ニ水産ニ関スル一事項若ハ数事項ヲ専攻セントスル者ノ為ニ専攻科ヲ置クコトヲ得

　第十四条　専攻科ノ修業年限ハ二箇年以内トス

　第十五条　水産学校ニハ遠洋漁業ニ従事スル為ニ遠洋漁業科ヲ置クコトヲ得

　第十六条　水産学校ニハ土地ノ情況ニ依リ遠洋漁業科ノミヲ置クコトヲ得

　第十七条　遠洋漁業科ノ修業年限ハ三箇年以内トス

　第十八条　遠洋漁業科ノ学科目ハ航海術、運用術、漁撈論、造船学大意、気象及海洋学、数学、外国語、法規及実習トス

　前項ノ学科目ハ便宜之ヲ加除スルコトヲ得

　第十九条　遠洋漁業科ニ入学スル者ノ資格ハ本科ニ於テ三箇年以上漁撈ニ関スル学科ヲ修メタル者又ハ之ト同等以上トス

　第二十条　土地ノ情況ニ依リ水産学校ノ学科ト商船学校其ノ他ノ実業学校ノ学科トヲ併置スルコトヲ得

　第二十一条－第二十四条　略

附則

　第二十五条　本令ハ明治三十五年四月一日ヨリ施行ス

　第二十六条　本令施行ノ際明治三十二年文部省令第九号ニ依リ設置シタル水産学校及農業学校水産科ニ現ニ在学スル生徒ニ関シテハ其ノ卒業スルニ至ル迄仍従前ノ例ニ依ルコトヲ得

　第二十七条　明治三十二年文部省令第九号第二十五条及第二十六条第一項中「及水産学校」ヲ削り第二十六条第四項第四号ヲ削除ス