小学校学習指導要領(抄)(昭和三十三年十月一日文部告示第八十号)

目次

第一章 総則
 第一 教育課程の編成
 第二 指導計画作成および指導の一般方針
 第三 道徳教育

第二章 各教科
 第一節 国語
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第二節 社会
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第三節 算数
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第四節 理科
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第五節 音楽
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第六節 図画工作
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第七節 家屋
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第八節 体育
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

第三章 道徳、特別教育活動および学校行事等
 第一節 道徳
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および指導上の留意事項

 第二節 特別教育活動
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画の作成および指導上の留意事項

 第三節 学校行事等
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画の作成および指導上の留意事項

施行期日

第一章 総則

第一 教育課程の編成

一 一般方針

 小学校の教育課程は、国語、社会、算数、理科、音楽、図画工作、家庭および体育の各教科(以下各教科という。)ならびに道徳、特別教育活動および学校行事等によって編成するものとすることとなっている(学校教育法施行規則(以下「規則」という。)第二十四条第一項)。

 各学校においては、教育基本法、学校教育法および同法施行規則、小学校学習指導要領、教育委員会規則等に示すところに従い、地域や学校の実態を考慮し、児童の発達段階や経験に即応して、適切な教育課程を編成するものとする。

二 授業時数の配当

(一) 小学校の各学年における各教科および道徳の授業時数については、次の表のように定められている(規則第二十四条の二)。

各教科および道徳の授業時数

各教科および道徳の授業時数

(二) 上掲(一)の表に示された授業時数は、年間の最低授業時数であるから、各学校においては、下記「三特例」に示す場合を除き、この表に示す授業時数を下ってはならないこととなっている。

(三) 上掲(一)の表において、授業時数の一単位時間は四十五分となっており、かっこ内の授業時数は年間授業日数を三十五週(第一学年については三十四週)とした場合における週当りの平均授業時数である。

(四) 各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等に授業時数を配当するに当っては、下記の事項に注意する必要がある。

ア 各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等の年間の総授業時数ならびに各教科および道徳のそれぞれの年間の最高授業時数は定められていないが、これらの授業時数を定めたり、配当したりするにあたっては、児童の負担過剰にならないように考慮すること。

イ 特別教育活動および学校行事等については、それらに充てる授業時数は定められていないが、年間、学期、月または週ごとに適切な授業時数を配当するようにすることが望ましいこと。

 なお、この場合、それらの実施によって、各教科および道徳に充てる授業時数が上掲(一)の表に示された最低授業時数を下らないようにすること。

ウ 各教科および道徳についての各学年の授業は、年間三十五週以上にわたって行うように計画すること。

エ 各教科および道徳についての一週間の時間割を作成するにあたっては、上掲(一)の表のうち、かっこ内に示した週当りの平均授業時数を参照し、季節およびその他の事情を考慮し、調和的、能率的な指導を行いうるようにすること。

オ 各教科および道徳の授業の一単位時間は、四十五分とすることが望ましいこと。季節およびその他の事情により、授業の一単位時間を四十五分未満とする場合は、当該学年において、上掲(一)の表に示す授業時数を下らないようにすること。

 なお、授業の一単位時間には、教室を移動したり、休憩したりするのに要する時間を含まないものとすること。

カ 第一学年および第二学年においては、一部の各教科について、合わせて授業を行うことができることとなっている(規則第二十五条の二第二項)。この場合、目標、内容、授業時数等は、それぞれの教科に示されたものを充足するように配慮しなければならないこと。

三 特例

(一) 私立の小学校においては、各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等のほか、宗教を加えて教育課程を編成することができ、この場合は、宗教をもって道徳に代えることができることとなっている(規則第二十四条第二項)。また、宗教の時間と道徳の時間とを合わせて設けている小学校にあっては、宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることができることとなっている(規則第二十四条の二別表第一備考第三号)。

(二) 複式学級において、特に必要がある場合は、各教科について所定の年間最低授業時数を変更し、または、各教科の目標の達成に支障のない範囲において各教科についての学年別の順序によらないことができることとなっている(規則第二十五条の二第一項)。なお、道徳については、年間最低授業時数を変更することはできない。

(三) 特殊学級の教育課程については、児童の実態に却応し、特に必要がある場合は、特別の教育課程を編成し実施することができることとなっている(規則第七十三条の十二第一項)。

(四) 非常変災、伝染病等により、臨時に授業を行わない場合で、その年間に所定の授業時数を補うことができないようなやむを得たい事情があるときは、年間の最低授業時数を下ることができることとなっている(規則第二十四条の二第二項)。

(五) 上記の二(四)のカならびに三の(二)、(三)および(四)の場合は、当該小学校の設置者は、市町村立の小学校にあっては都道府県教育委員会に、私立の小学校にあっては都道府県知事に届け出なければならないこととなっている(規則第二十四条の二第二項、第二十五条の二第三項および第七十三条の十二第二項)。なお、二(四)のカならびに三の(二)および(三)の場合にあっては、あらかじめ届け出なければならないこととなっていることに特に留意する必要がある。また、国立の小学校にあっては文部大臣に届け出るものとする。

第二 指導計画作成および指導の一般方針

一 学校においては、下記の事項に留意して、各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等について、相互の関連を図り、全体として調和のとれた指導計画を作成するとともに、発展的、系統的な指導を行うことができるようにしなければならない。

(一) 各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等について、第二章以下に示すところに基き、地域や学校の実態を考慮し、児童の経験に即応して、具体的な指導の目標を明確にし、実際に指導する事項を選定し、配列して、効果的な指導を行うようにすること。

(二) 第二章に示す各教科の内容に関する事項は、特に示す場合を除き、いずれの学校においても取扱うことを必要とするものである。各学校において、特に必要と認められる場合には、第二章に示していない事項を加えて指導することをさまたげるものではない。しかし、いたずらに指導する事項を多くしたり、程度の高い事項を取扱ったりして、学年別の目標や内容の趣旨を逸脱し、または児童の負担過重とならないよう慎重に配慮すること。

(三) 第二章に示す各教科の学年別の内容に掲げる事項の順序は、そのまま指導の順序を示すものではない。各学校おいては、各事項のまとめ方や順序をくふうして指導するようにすること。

(四) 健康に関する事項の指導は、各教科、道徳、特別教育活動、および学校行事等の教育活動全体を通じて行うものとすること。

(五) 政治および宗教に関する事項の取扱いについては、それぞれ教育基本法第八条および九条の規定に基き、適切に行うように配慮しなければならないこと。

(六) 児童が心身の状況によって履修することが困難な各教科は、その児童の心身の状況に適合するように課さなければならないこととなっている(規則第二十六条)。各学校においては、このような児童については特別な配慮をしなければならないこと。

二 各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等の指導を能率的、効果的にするためには、下記の事項について留意する必要がある。

(一) 児童の発達段階や経験をよく理解すること。

(二) 学習の目標を児童にじゅうぶんはあくさせること。

(三) 児童の興味や関心を重んじ、自主的、自発的な学習をするように導くこと。

(四) 児童の個人差に留意して指導し、それぞれの児童の個性や能力をできるだけ伸ばすようにすること。

(五) 学級における好ましい人間関係を育て、教室内外の整とんや美化に努めるなど学習環境を整えるようにすること。

(六) 教科書その他の教材、教具などについて常に研究し、その活用に努めること。

また、学校図書館の資料や視聴覚教材等については、これを精選して活用するようにすること。

(七) 指導の成果を絶えず評価し、指導の改善に努めること。

第三 道徳教育

 学校における道徳教育は、本来、学校の教育活動全体を通じて行うことを基本とする。

 したがって道徳の時間はもちろん、各教科、特別教育活動および学校行事等学校教育のあらゆる機会に、道徳性を高める指導が行われなければならない。

 道徳教育の目標は、教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基く、すなわち、人間尊重の精神を一貫して失わず、この精神を、家庭、学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし、個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。

 道徳の時間においては、各教科、特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら、これを補充し、深化し、統合し、またはこれとの交流を図り、児童の望ましい道徳的習慣、心情、判断力を養い、社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め、道徳的実践力の向上を図るように指導するものとする。

第二章 各教科 (略)

第三章 道徳、特別教育活動および学校行事等 (略)

施行期日 (略)

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