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小学校令改正(抄)(明治三十三年八月二十日勅令第三百四十四号)

第一章 総則

 第一条 小学校ハ児童身体ノ発達ニ留意シテ道徳教育及国民教育ノ基礎並其ノ生活ニ必須ナル普通ノ知識技能ヲ授クルヲ以テ本旨トス

 第二条 小学校ハ之ヲ分テ尋常小学校及高等小学校トス

 尋常小学校ノ教科ト高等小学校ノ教科トヲ一校ニ併置スルモノヲ尋常高等小学校トス市町村、町村学校組合又ハ其ノ区ノ負担ヲ以テ設置スルモノヲ市町村立小学校トシ私人ノ費用ヲ以テ設置スルモノヲ私立小学校トス

 第三条 尋常高等小学校ニ於テ尋常小学校ノ教科ヲ授クヘキ部分ニ対シテハ尋常小学校ノ規定ヲ準用シ高等小学校ノ教科ヲ授クヘキ部分ニ対シテハ高等小学校ノ規定ヲ準用ス但シ文部大臣ニ於テ別段ノ規定ヲ設ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス

 第四条 町村組合ニシテ其ノ町村一切ノ事務ヲ共同処分スルモノハ之ヲ一町村ト同視ス

 第五条 幼稚園、盲唖学校其ノ他小学校ニ類スル各種学校ノ規程ニ関シテハ本令中別段ノ規定アルモノヲ除クノ外文部大臣之ヲ定ム

第二章 設置

 第六条 市町村ハ其ノ区域内ノ学齢児童ヲ就学セシムルニ足ルヘキ尋常小学校ヲ設置スヘシ

 第七条 郡長ハ一町村ノ資力尋常小学校設置ニ関スル費用ノ負担ニ堪ヘスト認メタルトキハ其ノ町村ヲシテ尋常小学校設置ノ為他ノ町村ト学校組合ヲ設ケシムヘシ

 第八条 郡長ハ一町村ニ於テ就学セシムヘキ児童ノ数一尋常小学校ヲ構成スルニ足ラスト認メタルトキ又ハ適度ノ通学路程内ニ於テ一尋常小学校ヲ構成スルニ足ルヘキ数ヲ得ルコト能ハスト認メタルトキハ左ノ例ニ依ルヘシ

 一 其ノ町村ヲシテ尋常小学校設置ノ為他ノ町村ト学校組合ヲ設ケシムルコト

 二 其ノ町村ヲシテ就学セシムヘキ児童ノ全部若ハ一部ノ教育事務ヲ他町村、町村学校組合又ハ其ノ区ニ委託セシムルコト

 郡長ハ町村ノ一部ニシテ前項ノ事情アルモノ其ノ町村ノ尋常小学校ニ対シ適度ノ通学路程内ニ在ラスト認メタルトキハ亦前項ノ例ニ依ルヘシ

 郡長ハ町村学校組合ノ一部ニシテ前項ニ準スヘキ事情アリト認メタルトキハ第一項第二号ノ例ニ準スヘシ

 第九条 市立尋常小学校ノ校数並位置ハ府県知事ニ於テ市ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ムヘシ

 町村立尋常小学校ノ校数並位置ハ郡長ニ於テ町村又ハ町村学校組合ノ意見ヲ聞キ之ヲ定メ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ

 第十条 第七条又ハ第八条ニ依リ郡長ニ於テ町村学校組合ヲ設ケシメ若ハ其ノ組合ヲ解カシメムトスルトキハ関係町村ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ

 第八条ニ依リ郡長ニ於テ教育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメムトスルトキハ関係町村、町村学校組合及区ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ

 第十一条 府県知事ハ市ニ於テ設置スヘキ尋常小学校数校アルトキハ市内ノ一区若ハ数区ニ対シ又ハ市ヲ分画シテ数区トナシ其ノ一区若ハ数区ニ対シ小学校設置ニ関スル費用ノ負担ノ為其ノ使用スヘキ小学校ヲ指定スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ関係市及区ノ意見ヲ聞クヘシ其ノ之ヲ止メムトスルトキ亦同シ

 郡長ハ町村若ハ町村学校組合ニ於テ設置スヘキ尋常小学校数校アルトキ、児童教育事務ノ委託ヲ要スル場所数箇所アルトキ又ハ其ノ設置スヘキ尋常小学校ト児童教育事務ノ委託ヲ要スル場所トアルトキハ町村内若ハ町村学校組合内ノ一区若ハ数区ニ対シ又ハ町村若ハ町村学校組合ヲ分画シテ数区ト為シ其ノ一区若ハ数区ニ対シ小学校設置ニ関スル費用ノ負担又ハ児童教育事務委託ノ為其ノ使用スヘキ小学校ヲ指定スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ関係町村、町村学校組合及区ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ其ノ之ヲ止メムトスルトキ亦同シ

 第十二条-第十三条 略

 第十四条 市町村ハ市町村又ハ其ノ区ノ負担ヲ以テ高等小学校ヲ設置スルコトヲ得

 町村ハ数町村ノ協議ニ依リ町村学校組合ヲ設ケ高等小学校ヲ設置スルコトヲ得

 前項ノ町村学校組合ヲ設ケ又ハ之ヲ解カムトスルトキハ郡長ノ認可ヲ受クヘシ

 郡長ハ前項ノ場合ニ於テハ府県知事ノ指揮ヲ受クヘシ

 第十五条 市町村立高等小学校ノ設置及廃止ハ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ

 第十六条 私立小学校ノ設置ハ設立者ニ於テ府県知事ノ認可ヲ受ケ其ノ廃止ハ之ヲ府県知事ニ届出ツヘシ

 第十七条 前三条ノ規定ハ幼稚園、盲唖学校其ノ他小学校ニ類スル各種学校ニ関シ之ヲ準用ス

 幼稚園、盲唖学校其ノ他小学校ニ類スル各種学校ハ之ヲ小学校ニ附設スルコトヲ得

第三章 教科及編制

 第十八条 尋常小学校ノ修業年限ハ四箇年トシ高等小学校ノ修業年限ハ二箇年、三箇年又ハ四箇年トス

 第十九条 尋常小学校ノ教科目ハ修身、国語、算術、体操トス

 土地ノ情況ニ依リ図画、唱歌、手工ノ一科目又ハ数科目ヲ加へ女児ノ為ニハ裁縫ヲ加フルコトヲ得

 前項ニ依ソ加フル教科目ハ之ヲ随意科目ト為スコトヲ得

 第二十条 高等小学校ノ教科目ハ修身、国語、算術、日本歴史、地理、理科、図画、唱歌、体操トシ女児ノ為ニハ裁縫ヲ加フ

 修業年限二箇年ノ高等小学校ニ於テハ理科、唱歌ノ一科目若ハ二科目ヲ闕キ又ハ手工ヲ加フルコトヲ得

 修業年限三箇年以上ノ高等小学校ニ於テハ唱歌ヲ闕キ又ハ農業、商業、手工ノ一科目若ハ数科目ヲ加フルコトヲ得修業年限四箇年ノ高等小学校ニ於テハ英語ヲ加フルコトヲ得

 前三項ニ依リ加フル教科目ハ之ヲ随意科目ト為スコトヲ得

 第二十一条 小学校ニ補習科ヲ置クコトヲ得補習科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム

 第二十二条-第二十三条 略

 第二十四条 小学校ノ教科用図書ハ文部省ニ於テ編纂シタルモノ及文部大臣ノ検定シタルモノニ就キ小学校図書審査委員会ノ審査ヲ経テ府県知事之ヲ採定ス

 補習科ノ教科用図画ニ関シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル

 第二十五条 府県知事ノ採定シタル教科用図画ニシテ其ノ一部ヲ修正シ文部大臣ノ検定ヲ受ケタルモノハ更ニ審査委員会ノ審査ヲ経ス府県知事ニ於テ仍採定ノ効力ヲ継続スルコトヲ得

 第二十六条 小学校図書審査委員会ハ府県ニ置キ左ニ掲クル者ヲ以テ之ヲ組織ス

 一 府県書記官

 二 府県視学官

 三 専任府県視学

 四 師範学校長

 五 師範学校教諭二名

 六 府県立中学校長一名

 七 府県立高等女学校長一名

 八 郡視学二名

 小学校図書審査委員会及審査ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム

 第二十七条 小学校ノ休業日ハ日曜日ヲ除クノ外毎年九十日ヲ超ユルコトヲ得ス但シ補習科ハ此ノ限ニ在ラス

 特別ノ事情アルトキハ府県知事ニ於テ文部大臣ノ認可ヲ受ケ前項ノ日数ヲ増加スルコトヲ得

 伝染病予防ノ為必要アルトキ其ノ他非常変災アルトキハ監督官庁ニ於テ臨時小学校ノ閉鎖ヲ命スヘシ其ノ急追ノ事情アル場合ニ於テハ市町村立小学校ニ在リテハ管理者、私立小学校ニ在リテハ設立者ニ於テ之ヲ閉鎖スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ直ニ監督官庁ニ届出ツヘシ

 第二十八条 小学校教則及小学校編制ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム

第四章 設備

 第二十九条-第三十一条 略

第五章 就学

 第三十二条 児童満六歳ニ達シタル翌月ヨリ満十四歳ニ至ル八箇年ヲ以テ学齢トス

 学齢児童ノ学齢ニ達シタル月以後ニ於ケル最初ノ学年ノ始ヲ以テ就学ノ始期トシ尋常小学校ノ教科ヲ修了シタルトキヲ以テ就学ノ終期トス

 学齢児童保護者ハ就学ノ始期ヨリ其ノ終期ニ至ル迄学齢児童ヲ就学セシムルノ義務ヲ負フ

 学齢児童保護者ト称スルハ学齢児童ニ対シ親権ヲ行フ者又ハ親権ヲ行フ者ナキトキハ其ノ後見人ヲ謂フ

 第三十三条-第三十八条 略

第六章 職員

 第三十九条 小学校ノ教科ヲ教授スル者ヲ本科正教員トシ其ノ教科目中図画、唱歌、体操、裁縫、英語、農業、商業又ハ手工ノ一科目若ハ数科目ヲ限リ教授スル者ヲ専科正教員トス

 本科正教員ヲ補助スル者ヲ准教員トス

 第四十条 小学校教員タルヘキ者ハ免許状ヲ受クヘシ

 免許状ハ普通免許状及府県免許状ノ二種トス

 普通免許状ハ文部大臣之ヲ授与シ全国ニ通シテ有効トス

 府県免許状ハ府県知事之ヲ授与シ其ノ府県限リ有効トス

 第四十一条 府県免許状ヲ受クルニハ師範学校若ハ文部大臣ノ指定シタル学校ヲ卒業シ又ハ小学校教員ノ検定ニ合格スルコトヲ要ス

 前項ノ検定ヲ施行スルカ為府県ニ小学校教員検定委員会ヲ置ク

 免許状及小学校教員検定委員会ノ組織権限其ノ他検定ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム

 第四十二条-第四十三条 略

 第四十四条 市立小学校長及教員ノ任用ハ市長ノ申請ニ依リ町村立小学校長及教員ノ任用ハ郡長ノ申請ニ依リ府県知事之ヲ行フ

 第四十五条 市町村立小学校教員ノ俸給旅費其ノ他諸給与並其ノ支給方法ハ文部大臣ニ於テ定ムル準則ニ基キ府県知事之ヲ定ム

 第四十六条-第五十条 略

第七章 費用負担及授業料

 第五十一条 市町村立小学校ノ設置ニ関スル費用ハ市町村、町村学校組合又ハ其ノ区ノ負担トス其ノ概目左ノ如シ

 一 設備及維持ノ費用

 二 職員ノ俸給、旅費、其ノ他諸給与

 三 校費

 児童教育事務委託ニ関スル費用ハ町村、町村学校総合又ハ其ノ区ノ負担トス

 第五十二条-第五十六条 略

 第五十七条 市町村立尋常小学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スルコトヲ得ス但シ補習科ハ此ノ限ニ在ラス

 特別ノ事情アルトキハ府県知事ノ認可ヲ受ケ市町村立尋常小学校ニ於テ授業料ヲ徴収スルコトヲ得

 第五十八条 市町村立小学校ノ授業料ハ市町村、町村学校組合又ハ其ノ区ノ収入トス

 第五十九条 授業料ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム

第八章 管理及監督

 第六十条-第六十六条 略

第九章 附則

 第六十七条 本令ハ明治三十三年九月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ小学校ノ教科目並教則及授業料ノ徴収ニ関シテハ明治三十四年三月三十一日ニ至ル迄仍従前ノ例ニ依ル

 第六十八条 本令ハ市制町村制ヲ施行シタル地ニ之ヲ施行ス

 第六十九条 明治二十三年勅令第二百十五号小学校令第三十三条ニ依リ設ケタル町村学校組合ハ明治三十八年三月三十一日ニ至ル迄之ヲ存続スルコトヲ得

 第七十条-第七十三条 略

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