五 OECD事業への参加

 OECD(経済協力開発機構)は、先進加盟国の経済協力を主眼とした組織であるが、近年経済発展のために不可欠な人材の養成、すなわち教育・科学の面においても、活発な活動を行なっている。

 わが国がOECDに加盟したのは、昭和三十九年であるが、以来、教育委員会(四十五年改組前は科学技術者委員会)および科学政策委員会においても、その活動に積極的に参加してきている。

 教育委員会には、専門家に加盟国の教育政策の調査・研究を依頼し、その報告書をもとに討議を行なう、いわゆるコソフロンテーションと称する事業活動がある。四十五年には、わが国では、中央教育審議会において教育改革について審議が行なわれていた時期でもあり、諸国の関心をひいていることにかんがみ、わが国の教育政策を対象としたコンフロンテーションが行なわれた。その調査・研究のためエドガー・フォール元フランス首相、ライシャワー元駐日大使等が専門家として来日した。この教育政策コンフロンテーションは、わが国の教育改革に対し強い刺激を及ぼした。

 教育委員会の活動と関連して、OECDは、教育研究革新センター(CERI)を四十三年に発足させている。ここでは、各国の共同研究、セミナーの開催等の形で各種事業を行なうことになっている。四十五年夏には「教育におけるコンピューター利用に関するセミナー」を東京で、わが国と共催した。

 科学政策委員会では、科学政策のコンフロンテーション、政府が科学振興を行なう際の最良の方法の研究、基礎科学の推進方策の研究等を行なっている。この委員会の事業についても、わが国は、四十一年にコンフロンテーション対象国となったほか、その他の種々の事業について専門家を派遣して協力している。

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