三 アジア・アフリカ諸国への教育協力

 開発途上国の人材養成とその質的向上を目的とする技術協力は、昭和二十九年わが国のコロンボ計画加盟により開始されたが、三十七年、技術協力の実施機関として、「特殊法人海外技術協力事業団」の設立以来、わが国の技術協力による援助努力はいっそう強化されることになった。技術協力により、現在までに受け入れた教育分野の研修生は、アジア諸国から五六八人、中近東・アフリカ諸国から三二人、中南米諸国・その他から二五人、計六二五人、教育の分野で派遣した専門家は、アジア諸国へ九一人、中近東・アフリカ諸国へ一三人、中南米諸国・その他へ六人、計一一○人である。専門家のほかに、日本青年海外協力隊が派遣されているが、現在までに、教育の分野で派遣された協力隊は、アジア諸国へ一一六人、中近東・アフリカ諸国へ六七人、中南米諸国・その他へ二七人、計二一〇人である。

 派遣専門家の中には、文部省が四十一年から、海外技術協力事業団に委託して実施している理科教育協力事業(四十三年から農業教育も加わる。)による派遣専門家が含まれている。この専門家は、相手国の行なう教員のための現職教育に協力することを任務とし、毎年、アジアの五か国を対象に行なわれている。

 東南アジア諸国の大学への協力のためには、文部省は、外務省に協力し、七大学に日本研究講座を寄贈し、一講座ごとに教授一人および講師数人を派遣して、わが国の文化、経済、社会等に関する教育および研究の指導に当たらせている。

 文部省は、また、四十一年以降毎年、アジア・アフリカの五か国からその国の文部省の幹部等教育指導者を招致し、わが国の教育・文化を実地に視察する機会を与えている。現在までに来日した数は、二一か国から二九人である。

 アジア諸国への教育・文化の分野における協力援助は、アジア地域国際機構を通じても進められている。すなわち、アジア太平洋地域(ASPAC)文化社会センターと東南アジア文部大臣会議(SEAMEO)に対する協カがそれである。これらの地域国際機関のうち、前者に対しては、フェローシップを得て来日する教育行政、文化行政担当官の受け入れを行なったし、後者に対しては、各種のセンターの理事会およびセミナーに、アドバイザーとして専門家を派遣、また、その理科教育センター(マレーシア)には、講師の長期派遣を行なったが、これら国際機関からは、今後ともわが国への協力要請が強まるものと思われる。

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