六 中央における教育調査・広報活動

文部統計の充実

 わが国の文部統計は、明治六年に文部省第一年報が作成されて以来、百年の伝統を誇っているが、第二次世界大戦後における文部省内の調査統計機構の整備(二十一年十二月調査局の設置)や二十二年の統計法の制定によって新たな発展段階を迎えた。

 統計法の施行に伴い、教育に関する重要統計は指定統計として実施されることとなり、この結果、学校基本調査をはじめ文部行政にかかわる基本的諸統計は従来の業務報告にかわって法律上の申告義務を伴うものとなった。現在、指定統計として学校基本調査のほか学校保健統計調査が毎年実施され、また、学校教員統計調査、産業教育調査、学校設備調査などが数年ごとに実施され、基礎資料として活用されている。

 指定統計以外にも、行政の要請に基づき、施策の基礎資料となる諸調査が全国的規模で行なわれている。特に、「地方教育費の調査」(二十四年度以降毎年実施)や「父兄が支出した教育費調査」(二十七年度以降毎年実施)は教育行政政策上の基礎資料として、「職場の学歴構成調査」(三十四年以降数年ごとに実施)は教育に対する社会的要請を的確には握する資料として欠くことのできないものである。また、三十一年から西十一年の十一年間にわたって実施された「全国学力調査」は一部教職員団体等からの反対を受けたが、科学的資料に基づいて実証的な面から教育内容の問題を検討するという画期的な内容をもつものであった。

 なお、文部省には四十三年一月に電子計算機が導入され、調査・統計業務の効率的な運用と、的確な情報の処理が・行なわれる体制が整えられた。

広報と広聴

 このように毎年実施される各種の統計・調査と相まって、文部省は、三十四年以降「教育白書」を刊行し、わが国の教育の現状をいろいろな角度から国民一般に報告してきた。おもなものとしては、第一回以来およそ五年ごとに刊行している「わが国の教育水準」、教育と経済発展の関連を解説した「日本の成長と教育」(三十七年)、さらには「わが国の高等教育」(三十九年)、「わが国の社会教育」(四十年)、「わが国の私立学校」(四十三年)、「青少年の健康と体力」 (四十一年)などをあげることができる。

 また、国民に文教行政に関する重要な施策を知らせる機能をもつものが広報および広聴活動である。文部省内部の組織としては、昭和二十二年三月に大臣官房文書課弘報掛が設置されて以来、広報班あるいは広報課として拡充されてきたが、その事業内容も当初の新聞報道に対する資料提供から、独自の広報紙(現在の「文部広報」は「文部週報」として二十六年十一月三日に第一号を刊行)の発行へと発展、充実してきた。近年においては、国の施策を国民に知らせる広報のみならず、国民の意見を広く聞く広聴の役割が重視されるようになり、これに対応すべく四十年から教育モニター制度を採用し、毎年六〇〇人に委嘱して、広報・広聴活動の充実を図っている。なお、四十七年から文部省に広報広聴官を設けるに至っている。

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