一 中央における教育行政制度の改革

文部省機構の改革

 昭和二十七年の機構改革以後今日までに文部省本省、外局の内部部局において行なわれた機構改革を要約すると次のとおりになる。

 (一)三十一年一二月の行政制度改革等 各省一律に課の二割を整理するという政府方針により、大臣官房の三課その他の六課室が廃止され、代わりに参事官、主任官等が設置された。(その後三十四年に官房三課が復活したほか数次の改革を経て主任官等は新設の課の中に吸収されていった。)

 (二)体育局の設置 二十四年廃止された体育局は、学校保健法の制定、アジア競技大会開催を契機に、またオリンピック大会招致促進等の事情により学校体育および社会体育を強力に推進するとともに、新たに学校保健、学校給食の充実を目的とし三十三年五月に復活され、体育、運動競技(のちにスポーツ課に改める)、学校保健、学校給食の四課が置かれた。

 (三)官房長の設置 三十四年四月、文部省の総合的調整を必要とする事務の増大に応じ、かつ大臣官房の所掌事務を効率的に運営するため、大臣官房に官房長が置かれた。

 (四)文化局設置、調査局廃止および官房機能の強化 四十一年五月、文化行政の総合化とその比重を高め、かつ、文部行政における企画と調査の両機能の中枢化を図るため、新たに文化局が設置され、大臣官房の企画、調査等の機能が充実されて担当の審議官が置かれこれに伴い調査局が廃止された。文化局には文化課が新設されたほか、芸術、国語、著作権、国際文化、宗務の五課が移り、大臣官房に調査、統計、企画の三課室が移り、留学生課は大学学術局に移った。

 (五)四十三年六月の行政制度の改革 各省庁一律に内部部局一局を整理削減するという政府方針に基づき、文化局と文化財保護委員会に分かれていた文化行政の総合化を図るため、両者を統合して新たに文化庁が設置された。長官の下に次長が置かれ、長官官房ならびに文化部および文化財保護部が置かれ、長官官房に庶務、会計、国際文化の三課が、文化部に文化普及、芸術、国語、著作権、宗務の五課が、文化財保護部に管理、記念物、美術工芸、建造物、無形文化の五課と文化財監査官が置かれた。

表76 文部省各局課の機構整備

表76 文部省各局課の機構整備

 (六)審議官等の設置

 三十年二月、三十三年十一月にそれぞれ大学学術局、初等中等教育局に視学委員が、三十一年十月初等中等教育局教科書課に教科書調査官が、三十三年五月体育局に体育官が、三十四年七月大学学術局に科学官がそれぞれ置かれ、また、審議官が三十六年五月に初等中等教育、大学学術、社会教育の三局にそれぞれ置かれたのをはじめとして、四十年四月体育局および調査局にも、四十一年五月大臣官房および文化局にもそれぞれ置かれた。また、三十八年四月管理局教育施設部に技術参事官が、四十二年六月大臣官房に参事官が、四十五年四月大臣官房に企画官が、四十七年五月大臣官房に広報広聴官が置かれた。また、三十年十一月閣議決定により設置された南極地域観測総合推進本部の事務を処理していた文部省(大学学術局学術課)に四十年四月その担当の監理官が置かれた。

 (七)教育改革推進本部の設置

 四十六年六月の中央教育審議会の「今後における学校教育の総合的拡充整備のための基本的施策について」の答申に伴い、教育改革の総合的推進を図るため、事務次官を本部長とする教育改革推進本部が同年七月に設置された。

所轄機関、附属機関等

 昭和二十七年八月日本ユネスコ国内委員会と国立近代美術館が、三十一年四月日本学士院が、三十四年四月国立中央青年の家が、同年六月国立西洋美術館が、四十年七月国立社会教育研修所が、四十二年六月登山研修所が、四十六年十月国立特殊教育総合研究所がそれぞれ設置された。また、三十七年四月従来の国立自然教育園が国立科学博物館の附属自然教育園とされ、三十九年四月図書館職員養成所が、四十年四月国民体育館がそれぞれ廃止された。

審議会、調査会等の設置

 昭和二十七年度末文部省に置かれていた審議会は中央教育審議会をはじめ一六審議会であったが、その後、二十九年四月学校図書館審議会と理科教育審議会が、三十二年四月私立大学研究設備審議会が、三十六年六月高等専門学校審議会が、三十七年四月から三十八年三月までの間臨時義務教育教科用図書無償制度調査会が、四十年四月から四十二年三月までの間臨時私立学校振興方策調査会が、四十四年八月臨時大学問題審議会がそれぞれ置かれた。

 また、三十七年四月著作権審議会が廃止され、代わって著作権制度審議会が置かれ、四十一年七月学校図書館、学徒厚生、私立大学研究設備各審議会が廃止され、また従来の中央産業教育審議会と理科教育審議会が統合されて理科教育および産業教育審議会となり、四十二年六月に従来の学術奨励審議会が廃止されて学術審議会が置かれ、四十三年六月の文化庁の発足に伴い従来の文化財専門審議会が廃止されて文化財保護審議会が置かれた。

お問合せ先

学制百年史編集委員会

-- 登録:平成21年以前 --