二 特殊教育の内容の改善

学習指導要領の制定

 盲学校および聾学校学習指導要領小学部・中学部一般編は、昭和三十二年三月に制定され、三十二年度から実施されたが、三十三年の小学校および中学校の学習 指導要領の改訂に伴い、三十九年に盲学校および聾学校学習指導要領小学部編が四十年に中学部編が文部省告示によりそれぞれ制定された。

 養護学校については、その歴史が浅いため、とりあえず三十八年に、養護学校小学部・中学部学習指導要領精神薄弱教育編および養護学校小学部学習指導要領肢 体不自由教育編ならびに病弱教育編が文部事務次官通達により制定され、翌三十九年に、養護学校中学部学習指導要領肢体不自由教育編および病弱教育編が同じ く次官通達により制定された。

 これら特殊教育諸学校小学部・中学部の学習指導要領は、四十三年の小学校学習指導要領の改訂および翌四十四年の中学校学習指導要領の改訂に伴い、さらに、 特殊教育諸学校に在学する児童・生徒の実態に即するために、四十六年三月、盲学校小学部・中学部学習指導要領、聾学校小学部・中学部学習指導要領、養護学 校(精神薄弱教育)小学部・中学部学習指導要領、養護学校(肢体不自由教育)小学部・中学部学習指導要領および養護学校(病弱教育)小学部・中学部学習指 導要領として、文部省告示によりそれぞれ改訂、制定された。

 このたびの改訂の特徴は、小学校および中学校における教育課程の構成領域である各教科、道徳および特別活動のほかに、心身の障害に即した特別の指導分野として、養護・訓練という新領域が設けられた点である。

 高等部の学習指導要領は、盲学校および聾学校について、四十一年に制定されているが、養護学校については未制定である。なお、現在、特殊教育諸学校高等部 学習指導要領は、先の小学部・中学部学習指導要領の改訂、制定に引き続いて、改訂・制定の作業が進行中であり、近く文部省告示される予定である。

教科書の編集

 盲学校および聾学校用の教科書は、すでに昭和四年から文部省において編集してきたが、盲学校用点字教科書については、三十三年以降、特に盲学校用として新 しく編集する必要のあるもののほか、小学校・中学校用の検定教科書の部分的修正で足りるものについては、発行者および編著者の承諾を得て、文部省が必要な 修正、追補または削除等を行ない、これを盲学校用点訳教科書として発行することとした。聾学校用教科書については、聾学校における言語指導体系の確立を前 提とし、各学年ごとの言語能力についての見通しが立たないと、他の教科書の編集を進めがたい事情もあるので、国語教科書(言語指導)の編集に重点が置かれ たほか、小学部律唱教科書(音楽)の編集が行なわれてきた。

 養護学校のうち、特に精神薄弱児としては、その特性から肢体不自由や病弱時と異なり、小学校・中学校の検定教科書の利用が適切ではないので、国語、算数、音楽の三種について編集が行なわれてきた。

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