三 学習指導法の刷新と学習評価の改善

学習指導法の刷新

 教育課程の改善に伴って学習指導法もまた刷新された。学習指導要領において、指導計画や指導方法について多くの資料を掲げているが、各種の教師用指導書、手引書も発行され、また教員、指導主事等を対象とする研究集会等を通じて、指導法の改善は各教科にわたって急速に進められていった。一例として、単元学習をあげることができる。これは児童が自分たちの生活の中から問題をとらえ、その問題解決の目的に向かって、教師の指導のもとに学習活動を進めようとするもので、生き生きとした学習活動を通じて、児童の望ましい経験の成長を効果的に促そうとするものであった。学習指導は、また児童の個人差に応じて、その個性を生かし、その能力をじゅうぶんに伸ばすようにしなければならないという観点から、国語、算数などにおいて、能力別グループ学習が始められるようになったことも注目すべきことである。

 学習は地域の実情に即し、児童の必要と興味に応じて多種多様な展開をするようになった。教材は単に教科書にだけ求められるのではなく、学校生活や地域のあらゆる種類の経験が内容となる。学習活動には、読書、話し合い(討議)、問答、見学、調査、実験観察、資料の収集分類、記録、製作、図表化、劇化、報告などの諸活動、技能の反復練習、そのほかさまざまの形態がその目標に応じて取り入れられるようになった。したがって、それに応ずる学校の設備にも考慮がはらわれなければならないが、粋に新しく奨励されたのは、視聴覚教材教具の利用と学校図書館の整備であった。

 なお、戦後の新しい教育が児童中心に行なわれるべきであるという考えが強調されたため、学習指導とともに重要な意義をもつようになったのはガイダンス(指導)である。児童の心身の発達に関する知見と社会環境の児童に及ぼす影響の考察をもとにして、ガイダンスの効果をあげるよう、文部省では昭和二十四年三月に「児童の理解と指導」を刊行しその推進を図った。

学習評価の改善

 学習結果を評定することは、単に学習の成績を知るばかりでなく、児童にとっても教師にとっても、学習に対して反省し、さらに次の学習なり学習指導へ進むときの改善の資料となるべきものである。テストの方法としても、従来のような作文形式だけでなく、さまざまな客観テストや自己評価法も必要であって、要は児童の生活全体についての進歩の状況を明らかにするものでなければならない。学習指導要領一般編には、学習結果の考査として、多くの新しいテストの形式を示し、従来のテスト方法の改善に資することとした。

 昭和二十四年、文部省の示した「児童指導要録」の形式は、従来の学籍簿に代わるものとして、児童の在籍状況のほか、身体の記録、標準検査の記録、行動の記録、学習の記録などについて、継続的に記録して指導上の資料とするために考えたもので、これは児童・生徒が小学校から高等学校に至るまでの進学・転学の際には、それぞれ進学先、転学先の学校へ送付するよう定められた。

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