四 宗教

 宗教については明治元年の神祇(ぎ)省の設置・神仏分離令の発布、明治五年の教部省の設置が端緒となり、政府で宗教の問題を管理することになった。宗教行政は当初内務省の所管として推進(明治十年内務省社寺局設置)されてきたが、文部省に移されたのは大正二年六月のことであった(文部省宗務局設置)。これに先だち、明治三十二年に構想された宗教法案を文部省宗務局の手で立法を計画し、大正十五年宗教制度調査会を設置し調査・立案し、長い間のうよ曲折を経て昭和十四年に宗教団体法として成立を見たものである。

 これにより、長い間布告・布達・省令・訓令などの三〇〇有余の断片的規定が脈絡もなく定められていた宗教法規が統合・整理され、その内容が整理されてわが国宗教行政の軌道が確立された。ここに宗教団体の保護と監督が強化されたことがきわめて着目すべき事実であった。

 しかし、この法律に基づき整理・統合された宗教団体がその大同団結の利点と裏はらに国家統制のうらみをよび、終戦直後廃止される運命を招致したのであった。

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