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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第4章  科学技術活動の国際化の推進
[1]  主体的な国際協力活動の展開
(5)  国際的なプログラムへの取組


(ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)の推進)

 本プログラムは,生体の持つ優れた機能の解明のための基礎研究を国際協力を通じて推進するため,1987年(昭和62年)6月のベネチアサミットにおいて我が国が提唱したプログラムであり,G7各国(日本,米国,ドイツ,フランス,英国,イタリア,カナダ),EU及びスイスが支援している。1989年(平成元年)に設置された国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)が,「異なる大陸間での国際共同」,「ライフサイエンスと他の分野との学際」及び「若手重視」の原則に基づき,国際共同研究チームへの研究費助成(研究グラント),若手研究者が国外で研究を行うための旅費,滞在費等の助成(フェローシップ)及び国際的な研究集会(ワークショップ)の開催等を実施している。本プログラムは,研究グラント受賞後8人の研究者がノーベル賞を受賞しているなど,内外から高く評価されており,我が国は本プログラムの提唱以来,積極的な支援を行っている。

 また2002年(平成14年)6月にはベルリンで政府間会合が開催され,同プログラムの財政問題,助成対象領域などが議論された。

(国際科学技術センター(ISTC( ))における協力)

 旧ソ連邦諸国の大量破壊兵器等に関係した科学者及び技術者に平和的活動に従事する機会を与えること,旧ソ連邦諸国内及び国際的な技術問題の解決に寄与すること等を目的として,1994年(平成6年)3月,日本,米国,EU(当時EC),ロシアの4極によって「国際科学技術センター(ISTC)」が設立された。

 同センターの目的を達成するため,これまでに,計約5億ドル分の具体的プロジェクトの開始が承認され,延べ約3万6,000人以上の研究者がその研究活動に従事してきている。

 旧ソ連邦諸国の科学技術は高度で独自性が高いものがあることから,民間企業等(パートナー)が支援するプロジェクトも増加してきている。

 我が国は,今後とも,本センターの活動が円滑に進み,実効性のあるものとして展開されるよう,人的貢献を含め積極的に協力していく方針である。また,企業を含む新たな参加者(パートナー)の拡大,地球規模の問題解決に貢献するプロジェクトの実施についても積極的に取り組んでいく方針である。


■注 ISTC:International Science and Technology Center

(国際宇宙ステーション計画)

 国際宇宙ステーション計画は,低軌道(高度約400km)の地球周回軌道上に有人の宇宙ステーションを建設し,本格的な宇宙環境利用や有人宇宙活動の展開のための基盤の整備を目指すものである。当初,日本,米国,欧州,カナダ4極の国際協力により開始されたが,1998年(平成10年)1月に,ロシアの参加に係る新しい宇宙基地協力協定の署名が5極で行われた。我が国では,同年4月に国会において承認され,2001年(平成13年)3月に同協定が発効した。

 国際宇宙ステーションは平成10年11月に軌道上での組立てを開始し,平成12年11月からは第1次搭乗員による長期滞在が開始されている。我が国は,独自の実験棟(JEM,愛称「きぼう」)を持って本計画に参加することとしており,日本人宇宙飛行士も長期間にわたり滞在することとなっている。しかし,平成15年2月に発生した,スペースシャトル・コロンビア号の事故を受け,国際宇宙ステーション計画に参加する各極間で,今後の進め方に係る協議を行っている。

(ITER(国際熱核融合実験炉)計画)

 ITER計画は,米ソ両首脳による平和利用の核融合研究開発の国際協力による推進の提唱(1985年(昭和60年))を発端とし,人類の恒久的なエネルギー源の1つとして期待されている核融合エネルギーの科学的・技術的な実現可能性を実証することを目的として,国際協力によりトカマク型の核融合実験炉の開発を目指した計画である。1988年(昭和63年)から概念設計活動が実施され,その後平成4年から工学設計活動が実施された。2001年(平成13年)7月にITER工学設計活動は,最終報告書が取りまとめられて終了し,11月から,共同実施協定の策定,サイトの選定,費用分担等に関して,日本,EU,ロシア,カナダの4極で政府間協議を実施している。政府間協議はこれまで8回開催されており,サイト候補地として六ヶ所(日本),カダラッシュ(フランス),バンデヨス(スペイン),クラリントン(カナダ)が提案されている。また,2003年(平成15年)2月には,新たに米国,中国を加えて,現在6極で協議を進めている。我が国としては,2002年(平成14年)5月29日に総合科学技術会議が定めた,「国際熱核融合実験炉(ITER)計画について」をもとに,国際協力によってITER計画を推進することを基本方針とし,国内誘致を視野に入れ,協議のために青森県上北郡六ヶ所村を国内候補地として提示して政府間協議に臨む旨閣議了解をし,これを踏まえて政府間協議に対応している。

(大型ハドロン衝突型加速器(LHC)計画)

 LHC計画は,欧州原子核研究機関(CERN)における陽子衝突型粒子加速器計画であり,1994年(平成6年)12月に同機関の理事会においてその建設計画が正式に決定された。

 LHCは,円周27kmにも及ぶ巨大な円形加速器であり,その円形トンネル内に超伝導磁石を並べ,陽子を逆方向に光に近い速度まで加速し,陽子同士を衝突させるものである。その衝突の際に生じる膨大なエネルギー領域において,未知の粒子を発見し,物質の内部構造を探索解明することに資するものである。

 我が国においては,文部科学省(旧文部省)により検討され,LHC計画は,学術的な意義に加え新しい産業創出につながるものとして期待されている。

(統合国際深海掘削計画(IODP))

 IODP( )は日米主導の下,マントル掘削をも可能にするような,深海底から最大7,000mまでの大深度の掘削能力を有する我が国の地球深部探査船と,米国掘削船との共同運用により,地球深部を探査するものである。

 地球深部に及ぶ地層の研究により,環境変動メカニズム及び地震等の地殻変動メカニズムの解明等に貢献するほか,未知の生命圏や新資源の探求が期待されている。

 1999年(平成11年)から地球深部探査船の基本設計を開始し,翌々年から建造に着手した。その後,2002年(平成14年)1月に岡山県玉野市で,同掘削船を「ちきゅう」と命名して進水式が行われた。

 また,日米を中心としてIODP参加予定国/機関の政策担当者により,2003年(平成15年)10月のIODP開始に向けたIODP運営体制などの検討が進められている。


■注 IODP:Integrated Ocean Drilling Program


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