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第1部   これからの日本に求められる科学技術人材
第2章  科学技術人材をめぐる内外の動向
第1節  統計データから見る我が国の科学技術人材
[3]  世界トップレベルの科学技術人材


 科学技術人材の質については,我が国は,特に技術者・技能者の平均的な質が高く,そのことが我が国の競争力を支えてきたと言われているが,新たな「知」を創造する上で重要な研究者の質においては,科学技術人材の頂点に立つ世界トップクラスの研究人材の輩出状況を見ると,米国が他国を圧倒しており,世界トップレベルの優秀な人材は米国に集中している状況がうかがえる。一方,我が国の場合,国際的科学賞受賞者数では主要国の中では最も少ないものの,論文被引用度トップ20の研究者数では米国に次いでいる( 第1-2-10表 )。

第1-2-10表 主要国における世界トップレベルの研究人材の輩出状況

COLUMN

日本人によるノーベル賞の受賞

 平成14年12月10日,スウェーデン・ストックホルムのコンサートホールにおいて,2002年のノーベル賞授賞式が開かれ,小柴昌俊・東京大学名誉教授に物理学賞が,田中耕一・株式会社島津製作所フェローに化学賞が贈られた。

 今回の受賞は,物理学賞は江崎玲於奈・芝浦工業大学長が受賞して以来29年ぶり。化学賞は一昨年の白川英樹・筑波大学名誉教授,昨年の野依良治・名古屋大学教授に続いて3年連続受賞。また同じ年に2人の日本人が受賞するのは初の快挙であり,これで日本人ノーベル賞受賞者は12人となった。

 小柴教授の受賞理由は,カミオカンデ と呼ばれる巨大な検出装置を用いて,遠くの超新星爆発からのニュートリノを検出することに成功し,重力崩壊による超新星爆発のメカニズムと星の進化の理論に裏付けを与え,ニュートリノ天文学という新しい研究分野を開拓し,これが高く評価されたものである。

 田中フェローの受賞理由は,質量分析装置の開発において新しいイオン化法である「ソフトレーザー脱着法」を考案し,従来不可能であったタンパク質などの生体高分子の分析を可能とする測定手法を開発し,これが高く評価されたもの。

 同技術は,タンパク質をマトリックス(複数の化学物質が混合したもの)に混ぜ合わせて結晶状態にした上で,レーザーを照射するという技術であり,マトリックスの助けにより,タンパク質の分子構造を壊さずにイオン化できることが特徴である。さらに,この技術では,生成したイオンに一定のエネルギーを与えて真空空間の一定距離を飛行させ,その時間を測定することによって,イオンの構造に関するデータも取得することができる。

 両氏の受賞は,日本人の研究者が高い研究水準を有することを世界に示すものであり,我が国の研究者はもとより,我が国全体にとって大きな誇りと励みとなるものである。

ノーベル賞を受賞した小柴昌俊・東京大学名誉教授(左)と,田中耕一・島津製作所フェロー(右)(AP/WWP提供)

第1-2-11表日本人ノーベル賞受賞者一覧


※カミオカンデ

 岐阜県吉城郡神岡町にある神岡鉱業の坑道を利用して地下1,000メートルに設置した観測装置。昭和58年から平成8年まで稼動した。3,000トンの純水を入れたタンクでニュートリノ反応をとらえる仕組み。当初のねらいは,陽子(水素の原子核)崩壊現象の探索であったが,平成8年から感度を高め,宇宙からのニュートリノも観測できるようにした。後継のスーパーカミオカンデは平成8年から観測を始め,平成10年にはニュートリノ質量の存在を発見した。なお,カミオカンデ跡地には東北大のニュートリノ観測装置カムランドが設置されている。


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