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コラム7

旭川市旭山動物園(北海道)のオランウータンの行動展示について

(小菅 正夫氏(旭川市旭山動物園長・中央教育審議会生涯学習分科会臨時委員)による解説)
 これまで動物園では,世界中の様々な動物たちを飼育し,それぞれの形態的特徴を展示して,その意味合いを解説してきた。本来のオランウータンは,長い腕を使って高いジャングルの木から木へ食物を求めて渡って行くのだ。そして,彼らは決して地面に降りることはない。そんなオランウータンが,動物園では,太く長い腕を組み,でっかい顔にギョロリとした目で地面に横たわっているだけだ。このままではオランウータンの魅力は全く伝わらない。彼らの魅力を伝えるには,命輝く瞬間を見せればいいのだが…。そこで,我々は旧運動場の中央と14メートル離れた場所にそれぞれ高さ17メートルの塔を立て,その間をH鋼でつなぎ,オランウータンが握るためのロープを上下2本結びつけた。体重100キログラムを超えるオランウータンが遥(はる)か頭上を悠然と渡っていく姿は,きっと感動的だろう。実に単純な仕掛けだが,これだけで,オランウータンの単調な暮らしが一変した。メスは颯爽(さっそう)と腕渡りで移動し,オスは握力500キログラムの怪力で慎重にH鋼にしがみつきながら,2本の塔を行き来している。彼らは,遥か下から見上げる観客の歓声を聞き,ちょっと得意げにニヤリと笑う。その心の解放が繁殖へと結びついた。観客は,そんな彼らの能力に尊敬の眼差(まなざ)しを向け,感動の声を挙げている。これが旭山動物園の行動展示である。
 
図1

図2
▲地上17メートルのオランウータン運動場(旭川市旭山動物園(北海道))

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