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4 安全・安心な学校づくり

 学校は,子どもたちの健やかな成長と自己実現を目指して学習活動を行うところであり,その基盤として安全で安心な環境が確保されている必要があります。
 しかしながら,平成17年2月には,寝屋川市立中央小学校において,不審者が侵入して教職員に危害を加え,うち教員一名が殉職するという事件が発生したり,同年末には,広島市と今市市において,下校中の児童が殺害されるという事件が連続して発生するなど,近年,学校や通学路における事件が大きな問題となっています。
 このような事件の発生を防止し,子どもを犯罪の被害から守るためには,学校や地域の実情等に応じた学校の安全管理体制の整備,防犯教育の充実,施設設備の整備,教職員等の一層の危機管理意識の向上のほか,子どもの安全を地域全体で見守る体制の整備などが必要となってきています。

(1)学校安全の推進へ向けてのこれまでの取組
 事件・事故・災害は日常生活のあらゆる場面で起きています。学校の管理下をはじめとして,家庭や社会生活における事故,交通事故,自然災害,さらには犯罪による被害など,多くの危険が子どもたちを取り巻いており,現代社会において将来を担う子どもたちの安全を確保することは緊急かつ重要な課題となっています。学校の安全管理については,文部科学省では,従来から,各都道府県教育委員会などに対して,外部からの侵入者による事件・事故などへの対応を含め,安全管理に関する点検項目を例示するなどして,安全への取組を充実させるよう要請してきました。しかしながら,平成13年6月,大阪教育大学附属池田小学校において,凶器を持った侵入者により,児童や教師が殺傷される痛ましい事件が発生し,その後も学校に不審者が侵入して子どもや教職員の安全を脅かす事件や,通学路で子どもに危害が加えられる事件が後を絶ちません。
 このような状況を踏まえ,従来より,文部科学省では,学校安全の充実にハード・ソフトの両面から総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を実施しています。また,学校でより具体的な安全確保の取組を推進するため,子どもの安全確保のための具体的な留意点や,学校,家庭,地域,関係機関の連携方策等についてまとめた「学校安全緊急アピール─子どもの安全を守るために─」(平成16年1月)や「学校安全の方策の再点検等について」(17年3月)を公表するなど,学校の安全対策の充実に取り組んでいます。
 安全・安心な学校づくりのためには,これらを踏まえた学校関係者の努力に加え,保護者を含む地域社会の協力の下,地域ぐるみで学校安全の取組を推進することが重要となっています(参照:本章第2節2(2))。また,学校と警察をはじめとした地域の関係機関との緊密な連携が求められています。

1学校における安全管理の推進
 学校では,事件・事故の要因となる学校環境や児童生徒などが学校生活において行動する際の危険を早期に発見し,それらの危険を速やかに除去するなど,児童生徒などの安全確保のための体制を確立しておく必要があります。
 文部科学省では,大阪教育大学附属池田小学校の事件を重く受け止め,「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理に関する緊急対策例」を,平成13年7月に各都道府県教育委員会などに通知しました。あわせて,緊急安全対策として実施する監視カメラや非常通報装置の設置などに関する経費についての特別交付税措置など必要な財政措置を行いました。また,都道府県教育委員会などからの意見も参考に,13年8月に「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目(例)の改訂について」を各都道府県教育委員会などに通知しました。
 さらに,平成14年度からは,安全で安心できる学校の確立を目指し,学校安全の充実にハード・ソフトの両面から総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を実施しています。
 この一環として,ハード面の安全対策関連については,学校施設における防犯対策の方針や計画・設計上の留意点を「学校施設の防犯対策について」として取りまとめました(平成14年11月)。これを踏まえて,「学校施設整備指針」における防犯対策関係規定の充実を図るとともに(15年8月),その規定の解説となる手引書を配付しました(16年9月)。さらに学校施設における特色ある防犯対策の取組を紹介した事例集の作成に取り組んでいます。
 一方,ソフト面の安全対策については,教育委員会や学校において,不審者侵入などの事態が起きた場合の具体的な対応方法の参考となるよう,共通する留意事項をまとめた「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」を作成(平成14年12月)するとともに,学校における犯罪防止のための特色ある取組を紹介した「学校の安全管理に関する取組事例集」を作成しました(15年6月)。また,地域社会全体で学校安全に取り組む体制を整備し,安全で安心できる学校を確立するため,

  (ア) 学校で巡回・警備等に従事する学校安全ボランティア(スクールガード)の養成・研修
(イ) 防犯の専門家や警察官OBなどの協力の下,地域学校安全指導員(スクールガード・リーダー)による各学校の巡回指導と評価
(ウ) モデル地域における実践的な取組

という三つの内容を柱とする「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」(17年度〜)や,防犯や応急手当の訓練により,児童生徒や教職員の安全対応能力の向上を図る「防犯教室」の開催の支援に関する事業(15年度〜)などを行っています。
 非常災害時の子どもの心のケアについては,平成10年3月に作成した教師用の参考資料「非常災害時における子どもの心のケアのために」を,自然災害のみならず,人為災害も含めた様々な災害に対応できるよう,15年8月に改訂しました。
 その他,財政面の支援については,管理諸室や低学年教室等の再配置,門やフェンスの設置などの整備について国庫補助を行っているほか,公立学校の安全対策費については普通交付税措置が行われています。

2学校における安全教育の充実
 学校では,児童生徒等が,自他の生命を尊重し,日常生活全般における安全のために必要な事柄を実践的に理解し,生涯を通じて安全な生活を送ることができるような態度や能力を養うことが大切です。このため,各学校では,体育・保健体育科,道徳,特別活動などを中心に学校教育活動全体を通して,安全教育を行っています。
 文部科学省では,学校における安全教育の教師用の参考資料として「生きる力をはぐくむ学校での安全教育」を作成しました(平成13年11月)。このほかにも,学校における防災教育が効果的に行われるよう,防災教育の意義とねらいや,指導内容,指導の進め方などについて明らかにした教師用の参考資料「「生きる力」をはぐくむ防災教育の展開」(10年3月)や,交通安全に関する危険予測教材(14年3月)など,教師用の参考資料や安全教育に関する各種の教材を作成しています。また,各都道府県において安全教育について指導的な役割を果たしている教職員及び都道府県教育委員会等の指導主事を対象に,学校安全に関する各種の研修会を開催しています。

▲地域の協力を得た集団下校の様子(愛知県名古屋市)

(2)最近の事件を受けての対応
1寝屋川市立中央小学校の事件を受けた対応
 平成17年2月に発生した寝屋川市立中央小学校の事件を受け,安全・安心な学校づくりを行うための対応方策について検討するため,「安全・安心な学校づくりのための文部科学省プロジェクトチーム」を設置しました。3月31日,その検討結果を「学校安全のための方策の再点検等について」としてとりまとめ,各都道府県教育委員会教育長等に通知し,指導しました。同報告には,「各学校の安全対策の再点検のポイント」と「学校と警察の一層の連携の推進」という,大きく二つの具体的な提言を盛り込んでいます。

  「各学校の安全対策の再点検のポイント」としては,
(ア) 学校の敷地内への不審者の侵入防止,学校の敷地内での不審者の発見・排除,校舎内への不審者の侵入防止という三段階のチェック体制の確立
(イ) 安全を守るための器具の備えや,訓練の実施など,学校への不審者の侵入に備えた取組
(ウ) 学校,家庭,地域が連携した安全・安心な学校づくり
(エ) 「地域に開かれた学校づくり」と学校安全

などについて記述しています。また,「学校と警察のより一層の連携の推進」においては,学校と警察の連携例として,

  (ア) 学校と地元警察署,教育委員会などと警察との間で十分な意見交換ができる場の整備(学校警察連絡協議会の機能の一層の充実)
(イ) 学校の実情に応じたパトロールの強化
(ウ) 学校と警察が連携した実践的・効果的な防犯訓練・防犯教室の実施
(エ) 警察官や警察官OBの協力を得た学校の施設や防犯設備,マニュアルなどの学校安全体制の再点検の実施
(オ) 学校と警察との間の非常時における通報体制の整備と通報訓練などの実施
(カ) 地域内での不審者情報や事件の情報の共有化

などについて取り組むことが重要であると提言しています。

2登下校時における児童殺害事件を受けた緊急対策
 平成17年末,11月に広島市及び12月に今市市において,下校中の児童が殺害されるという痛ましい事件が連続して発生しました。
 文部科学省では,このような事態を重く受け止め,登下校時の安全確保のため,平成17年12月6日に「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」の通知を緊急に発出し,

  (ア) 早急かつ迅速に通学路の要注意箇所の把握を行うこと
(イ) 登下校時の子どもを極力一人にしないという観点から,学校の状況を踏まえた安全な登下校方策の策定等を実施すること
(ウ) 危険予測能力や危険回避能力を身につけさせるための実践的な安全教育を進めること

などを早急に進めるよう要請しました。
 また,下校中の事件や平成17年12月に宇治市の学習塾において児童が殺害されるという事件の発生を受けて,政府全体として,子どもの安全対策を推進するために,犯罪から子どもを守るための関係省庁連絡会議が設置され,「犯罪から子どもを守るための対策」をとりまとめました。この中では,子どもの安全を守るための様々な施策が盛り込まれていますが,特に緊急な対応を要する課題として「緊急対策6項目」が掲げられており,通学路の緊急安全点検の実施,実践的な防犯教室の緊急開催,地域社会全体で学校安全体制が整備されるよう,学校内外の見守りを行う学校安全ボランティア(スクールガード)への参加の呼びかけなどについて早急に対応することとしています。さらに,地域の路線バスを登下校時にスクールバスとして活用するための環境整備を進めることや警察が中心となって不審者情報などの共有体制を全ての地域で整備することなどについても掲げられています。
 今度とも,学校安全ボランティアへの参加など,保護者や地域の協力を得つつ,地域全体で子どもを見守る体制を整備し,登下校時を含む学校の安全確保のための取組をさらに推進していくこととしています。

「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」の概要(平成17年12月6日)
1. 通学路の安全点検の徹底と要注意箇所の周知徹底
 登下校時において幼児児童生徒の安全を確保するために,通学路の安全点検を教職員や保護者が定期的に実施し,要注意箇所の把握・周知徹底を行うこと。
2. 登下校時の幼児児童生徒の安全管理の徹底
 登下校時において幼児児童生徒の安全を確保するためには,幼児児童生徒を極力一人にしないという観点から,集団登下校や保護者等の同伴等による安全な登下校方策の策定,幼児児童生徒の登下校を地域全体で見守る体制の整備等の対策を実施すること。
3. 幼児児童生徒に危険予測・回避能力を身に付けさせるための安全教育の推進
 幼児児童生徒が犯罪に巻き込まれないようにするためには,幼児児童生徒に危険予測能力や危険回避能力を身につけさせることが必要であることから,通学安全マップの作成,防犯教室の実施等の取組を通じて,幼児児童生徒の発達段階に応じた実践的な防犯教育を推進すること。
4. 不審者等に関する情報の共有
 日頃から,不審者の出没に関する情報等について,警察と連携をとりながら,学校と保護者,地域の関係団体等との間で,情報を迅速かつ確実に共有するための取組を進めていくこと。
5. 警察との連携
 登下校時における安全確保対策を進めるに当たっては,警察との連携が不可欠であることから,学校警察連絡協議会の場等を通じた平常時の情報交換や防犯教室・防犯訓練への参加,不審者に関する情報の共有等様々な機会をとらえて,警察との意見交換等を実施すること。

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