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2 地域・家庭との連携・協力による学校教育の推進

 資源の少ない我が国においては人材こそが国の宝であり,新しい時代を切り拓(ひら)くたくましい人材を育てることができるかどうかが我が国の将来を左右することになります。このため,子どもたちに自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をしっかりつけることが大切であり,子どもたちが家族とのふれあいを持ち地域社会との連携を深める中で,学校・家庭・地域がそれぞれの役割を果たしながら子どもを育てていくことが必要です。学校教育においても,地域や家庭との連携を深め,協力を得ることが重要です。
 このため,文部科学省としては,学校教育と地域・家庭との連携・協力を深めるため,以下のような取組を進めています。

(1)特別非常勤講師制度と特別免許状制度
 「特別非常勤講師制度」は,優れた知識や技術などを有する社会人や地域住民が,教員免許状を持っていなくとも,教科や「総合的な学習の時間」の一部を担当することができるものです。この制度の活用は年々広がっており,平成16年度の活用件数は全国で2万1,906件となっています。例えば,音楽指導のため,小学校において和太鼓師範を講師として招いたり,職業観育成の観点から,高校の「総合的な学習の時間」にホテル支配人を講師として招いたりするなど様々な分野での活用が図られています(参照:第2部第2章第3節)。
 「特別免許状制度」とは,教員免許状を持っていない者であっても,各種分野の優れた知識経験や技術を有する社会人に,都道府県教育委員会の行う教育職員検定により,特別免許状を授与し,教諭に任用することができるものです(平成17年4月1日現在までの特別免許状の授与件数の累計:163件)。

(2)総合的な学習の時間
 総合的な学習の時間においては,地域の特色を生かした教育を積極的に展開し,子どもたちの学習活動の効果を一層高める観点から,保護者や地域の人々,NPO(民間非営利団体)等を含めた外部人材との連携・協力や,地域の多様な教育資源の活用などが行われています。公立小学校では,9割以上の学校において,総合的な学習の時間を活用した外部人材との連携・協力による授業が行われています。このような外部人材との連携・協力の一例として,例えば,文化庁では,優れた活動を行っている芸術家や伝統芸能の保持者等を出身地域の学校に派遣し,文化芸術に関する体験談や地域の誇りなどの講話と実技披露等を行う「学校への芸術家等派遣事業」を実施しています。

(3)体験活動
 学校及び地域を通じて,初等中等教育段階の児童生徒に対して,奉仕活動・体験活動を推進するためには,学校・家庭・地域が連携してこれらの活動を支援することができるような仕組みづくりが必要です。また,このような仕組みづくりのためには学校及び地域が連携し推進体制を整備することや,日常的に連携協力関係を保つ工夫をすることが重要です。
 文部科学省では,学校における体験活動を推進するため,「豊かな体験活動推進事業」を実施しています。その中で,PTA関係者や社会教育施設や地域の関係機関などが連携し,学校における体験活動を支援する体制づくりを進めるとともに,地域の人材を活用したり,地域団体やPTAの協力を得て体験活動を行うなど,地域,家庭と連携した取組を実施しています。具体的には,例えば,学校評議員やPTA,民生委員などによる学校支援委員会を組織したり,地域のJA等の協力を得て,農家の方に指導に来てもらい田植えなどの農業体験を実施したり,体験活動の事前学習として,活動に関する講話を地域の方を講師に招いて実施したりする取組が見られます。

▲「学校への芸術家等派遣事業」の様子(滋賀県守山市)

【取組事例】−千葉県市川市立曽谷小学校−
 新潟県に出向き,現地の小学校とともに,農家の方をはじめとする地域の方々や保護者の方々の指導・支援を受けながら,田植えや稲刈りの体験活動を実施した。また,新潟の農家の方を招き,自校の校庭で田んぼづくりを行った。
▲曽谷小学校における稲刈り体験の様子

(4)キャリア教育
 キャリア教育を円滑に実施していくためには,家庭や地域等の協力を得て,地域のシステムづくりを構築していくことが必要です。実際に,各地域では,受入事業所の開拓や職業人講話など,家庭,地域や企業が協力したり,職場体験を推進するための組織を設置しているところもあります。
文部科学省では,平成17年4月から,中学校を中心に5日間以上の職場体験を「キャリア・スタート・ウィーク」として実施しており,家庭や地域と連携した取組を促しています。

【取組事例】−秋田県男鹿(おが)市−
 秋田県男鹿市では,教育委員会,商工会,ハローワーク,PTA,中学校等の関係者で構成される「男鹿市キャリア・スタート・ウィーク実行委員会」を組織化している。実行委員会では,職場体験等について全体計画を策定し,地域の様々な関係機関等の連携の下,職場体験の場や機会の開拓,円滑な実施への協力等,職場体験を通じキャリア教育の推進を図った。
▲男鹿市におけるキャリア・スタート・ウィークの様子

(5)外国語教育
 国際社会で通用する人材を育成するためには,コミュニケーションの道具となる外国語の能力の向上が重要です。今後の諸外国との交流の進展を考えると,地域の人材の協力を得つつ,英語以外の外国語についても言語能力を身につけることが必要です。
 このため,文部科学省では,外国語教育の多様化を推進するため,英語以外の外国語教育に取り組んでいる都道府県を推進地域に指定し,教育課程上の課題や地域人材の活用方法の在り方等実践的な研究を実施しています。

(6)IT教育
 我が国がIT分野において世界をリードするためには,初等中等教育段階から,将来,IT分野の最先端で活躍する創造性豊かな人材の育成を推進することが重要です。
 このため,文部科学省では,「IT人材育成プロジェクト」により,ITに関する教育を重点的に行っている高等学校を指定し,地域の大学や企業の協力を得て先進的な教育方法の研究開発を行ったり(研究指定校),ITに関する知識・技能を有し,独創性のある高校生を募集し,夏休みに合宿形式で,IT分野の最先端で活躍する研究者から指導を受けたりする(ITスクール)などの取組を実施しています。

  【研究指定校の具体的な取組事例】
  1 インターンシップ(企業での現場実習)
  2 出張授業(大学,専門学校で行っている専門的な授業・研究発表等へ参加するため,生徒を大学等に派遣)
  3 出前授業(大学等の教員を学校に招き,応用・発展的な内容についての講義を受講)
  4 ボランティア活動(生徒が主体となって高齢者をはじめとする地域住民対象にIT関連の講座を開設)

(7)地域のスポーツ指導者の活用促進
 学校における体育や運動部活動は,生涯にわたって運動に親しむ基礎をつくるものであり,近年,児童生徒の体力の低下傾向が続く中,学校体育の重要性は一層高まっています。
 しかしながら,特に運動部活動については,専門的に指導できる指導者の不足などの問題が生じています。このため,文部科学省では,地域のスポーツ指導者を登録する指導者リストの改善・充実やこれらの指導者の資質向上のための研修会の改善・充実など,学校の運動部活動等において地域のスポーツ指導者の活用を促進するための調査研究を都道府県教育委員会に委嘱して実施しています。

(8)児童生徒の不登校や問題行動への対応
 児童生徒の問題行動等の原因・背景については,家庭における幼少時からのしつけの問題や学校における指導の在り方,生活体験の不足,物質的な豊かさの中での他人への思いやりや人間相互の連帯感の希薄化などの社会状況や,青少年を取り巻く環境の悪化など,様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
 このため,児童生徒の不登校や問題行動への対応は学校と家庭,地域・関係機関が緊密に連携を図り,社会全体で取り組んでいくことが必要です。
 文部科学省では,問題行動を起こす児童生徒に対しては,学校,教育委員会,関係機関等(保護司,児童相談所,警察等)から成るサポートチームの形成など,地域における支援システムづくりを行うとともに,「あそび・非行」の不登校児童生徒や学校内で深刻な問題行動を起こす児童生徒に対する学校内外での立ち直り支援の場やその機能の在り方等について調査研究を行う「問題行動に対する地域における行動連携推進事業」を実施しています(図表1-2-19)。また,不登校児童生徒に対しては,きめ細かな対応を行うため地域ぐるみのネットワークを整備する「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業」を行ってきました。更に,平成17年度からは,不登校児童生徒及び保護者への指導・支援を行っている実績のあるNPO,民間施設,公的施設に対し効果的な学習カリキュラム,活動プログラム等の開発を委託する「不登校への対応におけるNPO等の活用に関する実践研究事業」(図表1-2-20)を新たに実施しています。

図表1-2-19 問題行動に対する地域における行動連携推進事業

図表1-2-20 不登校への対応におけるNPO等の活用に関する実践研究事業

 また,地域の人材を活用して「子どもと親の相談員」や「生徒指導推進協力員」を配置し,教育相談体制や生徒指導体制の充実を図るなど,学校と地域・家庭が連携して児童生徒の不登校や問題行動に取り組んでいるところです(図表1-2-21)。

図表1-2-21 小学校の教育相談体制等の充実

(9)「教育・青少年育成分野で活動するNPO法人関係者等との懇談会」の開催
 子どもたちを取り巻く環境が変化し,教育や青少年育成について様々な課題が見いだされる中,これらの課題に適切に対応していくためには,幅広く関係者の声をくみ取り,施策推進の参考にしていくことも重要です。
 このため,文部科学省では,NPOと行政との連携の在り方などについて,NPO法人関係者等と自由に懇談をする「教育・青少年育成分野で活動するNPO法人関係者等との懇談会」を開催しました。

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