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8 文化振興による地域の教育力の向上

(1)地域文化の振興と教育
 文化は,人々の楽しさや感動,精神的な安らぎや生きる喜びをもたらして人生を豊かにするとともに,豊かな人間性を涵養(かんよう)し,創造性をはぐくむものです。このような意義を有する各地域の特色ある文化を振興していくことは,地域の活性化の観点からも極めて重要であることから,平成17年2月,文化審議会文化政策部会において報告書「地域文化で日本を元気にしよう!」を取りまとめました。
 報告書では,文化の持つ力(文化力)には,教育分野の課題に対しても効果があることが指摘されています。具体的には,子どもたちが本物の文化芸術に触れ,日ごろ味わえない感動や刺激を直接体験することによって,豊かな人間性と創造性をはぐくむことにつながること,また,文化芸術活動への参加を通して,自己の感性を磨き,他者との共感をはぐくむことによって,自己形成やコミュニケーション能力を伸ばすことができることなどについて述べられています。
 また,子どもたちが地域において多種多様な文化芸術に親しみ,その体験活動がより一層充実したものとなるためには,地域の文化力の積極的な活用が重要です。そのため,学校と地域の美術館・博物館や企業などとの連携・協力を促進するなど,子どもたちと文化芸術を結ぶ環境の整備を図っていくことが必要です。
 地域の文化力の活用に関して,前述の報告書では,地域文化の振興に当たっての具体的な課題の一つとして「子どもたちの文化芸術活動への支援をどのように進めるか」を掲げ,その課題を解決するための具体的方策と特色ある取組の事例が挙げられています(参照:コラム9)。
 このような状況を踏まえ,文化庁では,子どもたちが本物の文化芸術に直に触れ,又は創造活動に参加することにより,多くの感動や刺激を直接体験し,豊かな心と感性を持った人間に育っていけるよう,地域における子どもたちの文化芸術体験活動を推進する,以下の取組を実施しています。

(2)地域における子どもたちの文化芸術体験活動の推進
1文化体験プログラム支援事業(地域教育力再生プラン)
 子どもたちに豊かな人間性と多様な個性をはぐくむ機会を提供するため,普段身近にあってもなかなか触れることのできない地域の特色ある芸術文化,伝統文化,文化財等の様々な文化に触れ,体験する機会を提供する「文化体験プログラム支援事業」を実施しています。これは,日常の生活圏の中で,年間を通じて,例えば,舞台芸術について舞台衣装を着たり楽器を鳴らすなど直接触れ,体験できる機会や,伝統芸能・伝統工芸の様々な所作や道具に触れる機会などを提供するものです。このような活動を日常的に実施するためには,地域の大人の協力が欠かせませんが,それは心豊かな地域の教育力の再生にも資するものです。このため平成17年度からは,子どもたちに地域に根ざした多様な活動の機会などを提供することを通じて,地域の教育力の再生を図る「地域教育力再生プラン」の一つのメニューとして実施しています。

▲文化体験プログラム支援事業陶芸文化体験(佐賀県武雄市)

2本物の舞台芸術に触れる機会の確保
 優れた舞台芸術に触れ,日ごろ味わえないような感動や刺激を直接体験することは,子どもたちの豊かな人間性と創造性を育む上で大変重要なことです。そこで,子どもたちが総合的な学習の時間や休日を利用して,学校の体育館や地域の身近な文化活動の拠点である公立文化施設においてオーケストラやバレエ,歌舞伎などの優れた舞台芸術を鑑賞するとともに,芸術団体等による実演指導やワークショップに参加し,さらにはこれらの団体と本番の舞台で共演するなど,舞台芸術に身近に触れる機会を提供しています。
 この事業では,各都道府県を通じて,開催を希望する学校・公立文化施設を募集しており,毎年大変多くの学校・公立文化施設から応募を頂いています。これらの中から,文化庁が,日程や経路等を勘案して開催地を決定しています。また,実施した学校や参加者からは高い評価が数多く寄せられています。このため,文化庁では,複数校による合同開催や小規模編成の団体を活用するなどにより,公演数が拡充するよう努めています。

▲本物の舞台芸術体験事業 音楽劇公演藤原歌劇団(福岡県鞍手町立鞍手北中学校)

3学校の文化活動の推進
 優れた活動を行っている芸術家や伝統芸能の保持者等を出身地域の学校に派遣し,体育館等を会場として,児童・生徒や教員,保護者を対象に,文化芸術に関する体験談や地域の誇りなどの講話と実技披露等を行う「学校への芸術家等派遣事業」を実施しています。その目的は,児童・生徒が文化活動の素晴らしさを知る機会を充実するとともに,学校の文化活動の活性化を図り,豊かな心をはぐくむことです。
 派遣される講師は,音楽,邦楽,演劇,舞踊などの様々な分野で優れた活動を行っている地域にゆかりのある芸術家や伝統芸能の保持者などで,都道府県教育委員会,開催地の市区町村教育委員会,開催希望校からの推薦を受けて,文化庁が決定しています。
4伝統文化こども教室事業
 昨今の過疎化,急速な少子化・高齢化の進行,生活様式の変化の中で,各地域において守り伝えられてきた様々な伝統文化などが消滅の危機にさらされています。このため,次世代を担う子どもたちを対象に,伝統文化を体験・修得させる機会を提供することを目的とした伝統文化こども教室事業を平成15年度から実施し,これまで約6,000件の事業を支援し,その活動は幅広い分野で行われています。
 また,本事業が子どもたちと地域の人々とのふれあいの中で,地域で守り伝えられた伝統文化を将来にわたって継承していくためのすばらしい機会になったなどの声が寄せられており,地域一体となった取組として高い評価を得ているため,引き続き本事業の充実に努めています。

▲阿波人形浄瑠璃芝居こども教室(徳島県)

5芸術拠点形成事業(展覧会事業等支援)
 地域の文化芸術活動の拠点となる美術館・歴史博物館などの支援を行うことを目的に,「芸術拠点形成事業(展覧会事業等支援)」を平成14年度から実施しています。
 例えば,平成16年度に行った小野市立好古(こうこ)館(兵庫県)の事業「特別展『わたしたちのまち・黍田(きびた)』」では,一つの町(自治会)の歴史をテーマにした展覧会を自治会の賛同を得て開催しました。小野市立好古館による調査研究結果とあわせ,学芸員の指導を受けて,地域住民,小学校、中学校が調べた結果を自ら展示しました。黍田の人口501人の倍以上である1,173名が展覧会を見るために足を運び,博物館を身近に感じてもらえる機会となりました。小学校・中学生が地域の高齢者等から聞き取り調査などを行うことによって,世代間の交流が図られ,地域コミュニティの再構築になったほか,町の発展のために努力した人々の功績が見直され,これからの町づくりについて,住民全体が考えるきっかけづくりにもなっています。

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