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2 中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」
(1)審議の概要
義務教育特別部会は,8か月間で41回の特別部会を開催し,合計100時間を超える審議を通じて,義務教育の在り方について総合的な議論を行いました。
まず,子どもの現状,学力の問題,教育内容,義務教育制度,教師像,学校像,教育委員会の在り方,国と地方の関係,教育費総額の在り方に関する議論が行われました。その上で,義務教育に関する費用負担の在り方について検討がなされました。
また,水戸市と高知市での地方公聴会(一日中央教育審議会),有識者や関係団体からのヒアリング,郵送やメールによる国民からの意見募集等を行い,国民から幅広く意見を聞く機会を持ちながら議論が進められました。
そうした経緯を経て,中央教育審議会は,平成17年10月26日に答申「新しい時代の義務教育を創造する」を取りまとめ,中山文部科学大臣(当時)に提出しました。
(2)「スクールミーティング」と「義務教育に関する意識調査」について
中央教育審議会での審議と並行して,文部科学省では,国民各層からの様々な意見を聞くために,「スクールミーティング」と「義務教育に関する意識調査」を実施しました。
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| ▲スクールミーティングの様子(平成17年1月,中山文部科学大臣(当時)が宮崎県小林市の母校を訪問) |
「スクールミーティング」は,教育現場の取組を実際に見ながら,保護者や教職員,子どもたちの声を直接聴き,その意見や要望を今後の義務教育改革に活(い)かすことを目的としています。平成17年1月から7月までの間,大臣,副大臣,大臣政務官,文部科学省職員が,全国47都道府県の小学校,中学校,盲・聾(ろう)・養護学校等の合計380校において,教職員や保護者との直接の対話を行い,様々な意見を頂きました(図表1-1-2)。その内容は義務教育特別部会にも報告され,審議に反映されました。
「義務教育に関する意識調査」は,平成17年3月から4月にかけて小学生・中学生,保護者,学校評議員,教員,首長,教育長の全国約3万6,000人を対象に実施したものです。この調査は,義務教育に関する評価や今後の改革の方向性についての国民の意見や考え方を広く把握し,中央教育審議会の審議や,今後の義務教育改革に活用することを目的に実施されました。
(3)答申の概要
答申は,新しい時代の義務教育を創造するための構造改革を提言しています。その基本的な考え方は,
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義務教育の目標設定とその実現のための基盤整備を国の責任で行った上で, |
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市区町村・学校の権限と責任を拡大する分権改革を進めるとともに, |
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教育の結果の検証を国の責任で行うことで, |
義務教育について,その質を保証・向上させていく構造に改革しようというものです(図表1-1-3)。
構造改革の実現のために,答申は,国・都道府県・市区町村の役割の明確化と協力関係の強化も提言しています。学校が,義務教育の中心的な担い手であることを明確にした上で,国,都道府県,市区町村が協力して学校を支えるというものです。
その際,国は義務教育の根幹( 機会均等, 水準確保, 無償制)を保障する責任を,また,都道府県は域内の広域調整の責任を十全に果たした上で,市区町村と学校が,義務教育の実施主体として,より大きな権限と責任を担うシステムに改革する必要があると指摘しています(図表1-1-4)。
そして,以上のような義務教育の構造改革と,国・都道府県・市区町村の関係を整理した上で,義務教育の基盤整備の重要性を指摘しています。
義務教育の費用負担については,以下のように結論付けられています。
義務教育の構造改革を推進すると同時に,義務教育制度の根幹を維持し,国の責任を引き続き堅持するためには,国と地方の負担により義務教育の教職員給与費の全額が保障されるという意味で,現行の負担率2分の1の国庫負担制度は優れた保障方法であり,今後も維持されるべきである。その上で,地方の裁量を拡大するための総額裁量制の一層の改善を求めたい。
教材購入費や図書購入費など教育環境整備に不可欠な経費も,その総額が確実に確保されるよう努める必要がある。
公立学校施設の整備についても,地方の自由度を拡大した上で国として目的を特定した財源を保障する必要がある。特に,子どもの生命の安全を守るため,耐震化は国が責任を持って推進すべきである。 |
答申では,こうした基本的な考え方を受けて,義務教育改革のための四つの教育国家戦略を提言しています。
中央教育審議会答申が提言した四つの教育国家戦略
| 戦略1 |
教育の目標を明確にして結果を検証し質を保証する |
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義務教育の到達目標を明確化し,教育内容の改善を図るとともに,実際に教育の成果が上がっているか結果を評価・検証するため全国的な学力調査の実施などの方策を講じる。これらにより,すべての子どもたちに質の高い教育を保証する。 |
| 戦略2 |
教師に対する揺るぎない信頼を確立する |
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教師に対して児童生徒・保護者・国民から尊敬と揺るぎない信頼が得られるよう,養成,採用,現職研修の充実・改善を図る。このため,教員養成分野における専門職大学院の創設や教員免許更新制の導入について検討を進める。 |
| 戦略3 |
地方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める |
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地方・学校の主体性と創意工夫によって教育の質の向上を図るため,国がナショナル・スタンダードを設定しそれが履行されるための財源保障など諸条件を整備した上で,市区町村が行うべきことは市区町村が,学校が行うべきことは学校が担うシステムを確立する。学校は,自主性・自律性の確立のため,権限と責任を持つとともに,保護者・住民の参画と,評価及び公開で透明性を高め,説明責任を果たすシステムを確立する。 |
| 戦略4 |
確固とした教育条件を整備する |
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義務教育の質の保証・向上を図るため,教職員配置,学校施設,設備,教材など教育の実施を支える財源などの教育条件の整備については,国際的にも誇れる確固たるものとなるよう,国の責任でその確立に万全を期す。 |
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