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第2部   文教施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実のために
第2節  暴力行為,いじめ,不登校などの解決を目指して
1  深刻化する暴力行為,いじめ,不登校などの現状等



(1) 暴力行為・少年非行

平成11年度において全国の公立小・中・高等学校の児童生徒が起こした暴力行為(「自校の児童生徒が起こした暴力行為」をいい,「対教師暴力」,「生徒間暴力」,「対人暴力」,学校の施設,設備などの「器物損壊」を合わせたもの)の発生状況は,学校内で発生したものが全学校の15.2%に当たる5,859校において3万1,055件,学校外で発生したものが全学校の8.4%に当たる3,239校において5,522件となっています( 図2-2-1 )。


学校種別に見ると,公立小学校では,学校内で発生したものが全学校の2.3%に当たる561校において1,509件,学校外で発生したものが全学校の0.5%に当たる108校において159件,公立中学校では,学校内で発生したものが全学校の34.1%に当たる3,572校において2万4,246件,学校外で発生したものが全学校の19.7%に当たる2,064校において3,829件,公立高等学校では学校内で発生したものが全学校の41.6%に当たる1,726校において5,300件,学校外で発生したものが全学校の25.7%に当たる1,067校において1,534件となっています。

少年非行については警察庁の調べによると,平成11年の刑法犯少年の検挙人員は減少したものの,依然として高水準であり,戦後第4の波にあるとしています。

また,少年非行の事例の中にはかなり凶悪・粗暴なものが見受けられます。例えば,平成11年6月から12年2月にかけて名古屋市の中学校生徒による高額恐喝事件が,12年5月には愛知県の高校生による主婦刺殺事件や,佐賀県の無職少年によるバスジャック事件などが相次いで発生しました。

このような状況を踏まえ,平成12年5月には,文部大臣から「各学校へのお願い」として,子どもたちに「命の大切さ」をしっかりと教える時間を持ち,自他の生命を尊重することについてきちんと認識させるよう工夫するとともに,善いことは善い,悪いことは悪いときちんと指導するようお願いしました。

また,文部省においては,こうした少年らによる一連の事件に関する対応方策などを検討するために「最近の少年による事件に関する文部省プロジェクトチーム」を設置し,今後さらに充実すべき対策を5月に取りまとめました。

具体的には,

(i) 児童生徒用に学習指導要領の定める道徳の内容を分かりやすく解説した資料を作成 (ii) 24時間気軽に相談できる体制を整備し,相談番号を書いたカードを配布 (iii) 児童生徒の心の健康問題に対応するため,教員用の参考資料を各学校に配布 (iv) 子どもの問題行動等に関する親のための対処事例集を作成 (v) 外部の専門家による事件の分析と対応方策の速やかな検討

などの対策が盛り込まれました。

文部省では,現在,これらの施策の実現に向けて取組を進めています。


(2) いじめ

いじめの問題については,平成11年度には全国の公立小・中・高・特殊教育諸学校において3万1,369件のいじめが発生し,前年度に比べて約5,000件減少しているものの,依然として憂慮すべき状況にあります( 図2-2-2 )。


いじめの問題については,「児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議」において,平成8年7月に「いじめの問題に関する総合的な取組について〜今こそ,子どもたちのために我々一人一人が行動するとき〜」と題する報告が文部省に提出されました。

この報告において改めて確認されたいじめ問題への取組に当たっての基本的認識は次の5点です。

(i) 「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つこと (ii) いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行うこと (iii) いじめは家庭教育の在り方に大きなかかわりを有していること (iv) いじめの問題は,教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であること (v) 家庭,学校,地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果たし,一体となって取り組むことが必要であること

こうした基本的認識を踏まえ,特にいじめる児童生徒に対しては,いじめの非人間性やそれが他人の人権を侵す行為であることに気付かせ,他人の痛みを理解できるようにする指導を徹底することや,校内の別の場所における特別の指導計画による指導,いじめが一定の限度を超える場合の出席停止の措置などが必要です。

また,いじめられる児童生徒については,緊急避難としての欠席や学級替えなどの実施,「転校」措置の弾力的運用など,あくまでもいじめられる児童生徒の立場に立った取組がなされることが重要です。


(3) 不登校

不登校の問題については,平成11年度に「不登校」を理由に年間30日以上学校を欠席した児童生徒数は,全国の国公私立小・中学生合わせて13万208人(前年度12万7,692人)で,調査開始(3年度)以来最多であり,教育上の大きな課題となっています。

不登校の原因・背景は,家庭に問題があるケース,学校の在り方(友人関係,教員との関係)がかかわっているケース,本人の意識に問題があるケースなどケースにより様々です。

また,近年見られる傾向として,「不登校はどの子にも起こり得るものであり,問題行動ではない」として,一般的に「学校に必ず行かなければならない」という意識が薄らいできていることが挙げられます( 図2-2-3 )。


文部省では,今後とも,分かる授業を行い,子どもたちに達成感や自己実現を味わわせるとともに,スクールカウンセラーの配置などによる教育相談体制を充実するほか,不登校の子どもたちの学校復帰を支援する適応指導教室の整備などの施策を推進していきます。


(4) 高等学校中途退学

平成10年度間の公・私立高等学校における中途退学者数は11万1,372人であり,在籍者に占める中途退学者の割合(中退率)は,9年度とほぼ同率の2.6%となっています。中途退学の理由は,進路変更が38.5%と一番高く,次いで学校生活・学業不適応が35.8%となっています( 図2-2-4 )。


高等学校中途退学問題については,中学校において生徒一人一人が自らの生き方を考え多様な進路を選択できるよう進路指導を充実することや,高等学校においてガイダンスの機能を充実すること,学校生活への適応などについて計画的に指導することが重要です。また,就職や他の学校への転・編入学など積極的な進路変更については,これを支援していくことも大切です。

文部省においては,「高等学校生徒指導連絡協議会」を全国3ブロックで開催し,高等学校中途退学問題を含む生徒指導上の諸問題の解決方策について研究協議を行うなどの取組を進めています。


(5) 校則

校則とは,児童生徒が健全な学校生活を営み,より良く成長発達していくため,各学校の責任と判断の下にそれぞれ定められる一定の決まりです。校則自体は教育的に意義のあるものですが,その内容及び運用は,児童生徒の実態,保護者の考え方,地域の実情,時代の進展などを踏まえたものとなるよう積極的に見直しを行うことが大切です。

文部省では,平成9年度に実施した「日常の生徒指導の在り方に関する調査研究」の調査結果を受けて,10年9月に各学校における校則及び校則指導が適切なものとなるよう,都道府県教育委員会などに対し通知しました。


(6) 体罰

学校においては,いまだに児童生徒への体罰が跡を絶ちません。文部省の調査では,平成10年度に体罰ではないかとして問題とされ学校において調査をした事件は1,010件に上っています。

体罰については,学校教育法により厳に禁止されていますが,もとより体罰による懲戒は,児童生徒の人権の尊重という観点からも許されるものではありません。また,教師と児童生徒の信頼関係を損なう原因ともなり,教育的な効果も期待できないと考えられます。

文部省では,従来から,各種通知や各種会議などを通じて体罰の根絶について指導を行ってきましたが,今後ともその徹底に努めていきます。


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