ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第9章  教育・文化・スポーツの国際化に向けて
第5節  人づくり等に貢献する国際協力
2  国際機関を通じた協力



(1) ユネスコ事業への参加・協力

ユネスコは,教育・科学・文化の分野における国際協力の促進を通じて平和に貢献することを目的とする国連専門機関である。我が国は,開発途上国の識字教育などの教育分野への協力,国際的な共同研究や学際的なプロジェクトへの参加,世界遺産をはじめとする文化遺産の保存協力などユネスコ諸事業に積極的に参加・協力している( 表2-9-7 )。

表2-9-7  我が国が協力しているユネスコの主な事業

ユネスコ世界高等教育会議

ユネスコでは,1)能力に応じた高等教育システムへのアクセスの一層の拡大,2)妥当性及び質の観点からの高等教育システムの運営の改善,3)特に,先進国及び開発途上国における失業の増加に対処するための高等教育と労働・産業界との間の連携の強化を目的として平成10年10月にパリのユネスコ本部において世界高等教育会議を開催した。

この会議には世界162か国から政府や大学等の高等教育関係者のほか,国際機関やNGOの代表者や専門家等約4,200名が出席し,「21世紀における高等教育:ビジョンと行動」をテーマに討議が行われた。

1.開催の経緯ユネスコでは,従来から世界各国の高等教育の発展や国際協力の促進を目指した様々な活動を展開しており,1993年(平成5年)に開催された第27回総会で,高等教育の分野全体に関する包括的な政策を策定することを事務局長に要請する決議を採択した。これに基づいてユネスコ事務局は1995年(平成7年)に「高等教育における変化と発展のための政策文書」を発表した。ユネスコではこの文書を基に,高等教育に関する議論を更に深めるために世界高等教育会議を開催することとした。

2.会議の成果会議では「21世紀のための高等教育に関する世界宣言:ビジョンと行動(宣言)」と「高等教育の変化及び発展のための優先的行動のための枠組み(行動計画)」が採択された。その主な内容は次のとおりである。

「宣言」1) 前文高等教育に対する新たな需要,多様性とともに,社会文化的及び経済的発展における高等教育の重要性の一層の認識。


2) 高等教育の使命と機能(第1条〜第2条)・教育し,訓練し,そして研究を行う使命・倫理的役割,自治,責任及び予想的機能3) 高等教育の新しいビジョンの形成(第3条〜第10条)・アクセスの平等・女性の参加の高揚と女性の役割の促進・自然科学,芸術,人文科学における研究を通じた知識の促進とその成果の普及・妥当性に基づいた長期的方針・産業界との協力の強化そして社会のニーズの分析及び予想・機会の均等を高めるための多様化・革新的な教育方法:批判的思考及び創造性・高等教育の主要な関係者としての教員及び学生4) ビジョンから行動へ(第11条〜第17条)・質的評価・科学技術の潜在能力及び挑戦・高等教育の管理運営及び財政の強化・天公的サービスとしての高等教育の財政・国境及び大陸を越えた知識及びノウハウの共有・「頭脳流出」から「頭脳獲得」へ・パートナーシップ及び提携

ユネスコ世界高等教育会議全体会合における佐藤事務次官による代表演説(ユネスコ本部:パリ)

「行動計画」1) 国レベルでの優先的行動高等教育はすべての人に開かれるべきである。


2) システム及び機関レベルでの優先的行動高等教育機関は現在及び将来の社会のニーズに沿った役割を果たすべきである。

3) 国際レベル,特にユネスコによってとられるべき行動協力は高等教育機関の不可分の制度的使命とみなされるべきである。


(2) OECD(経済協力開発機構)事業への参加

OECDは,先進諸国29か国を加盟国として,様々な分野における政策調整・協力及び意見交換を行っている。教育分野については,教育委員会と教育研究革新センター(CERI)を設置し,各国における教育改革の推進及び教育水準の向上等,教育政策・実践に寄与することを目的として,教育政策の比較分析及び調査・研究等の事業活動を行っている。

また,おおむね5年ごとに教育大臣会議を開催し,教育分野の事業活動に関する基本方針を策定しているほか,特定の政策課題に関する意見交換を目的とする非公式の大臣級会合を随時開催している。1999(平成11)年5月には我が国(東京)において初めて,文部省・OECDの共催で非公式教育大臣会合を開催した。会合では有馬文部大臣が共同議長を務め,「構造改革における教育の役割」をテーマに活発な討議がなされた。

現在,平成8年1月の教育大臣会議で合意された「万人のための生涯学習の実現」を目指して,以下のプロジェクトを実施している。

1) 教育統計の収集・国際比較を通じた政策分析
2) 学習到達度に関する国際比較インディケータの開発
3) 高等教育
4) 学校教育から職業生活への移行
5) 明日の学校教育
6) 教育におけるテクノロジー,ソフトウエア及びマルチメディア等

文部省は,こうした事業活動に参加するとともに,OECD加盟各国との間で教育政策上の重要課題について専門家による意見交換を行う「OECD/Japanセミナー」を開催している。


(3) APEC(アジア・太平洋経済協力)事業への協力
OECD非公式教育大臣会合

APECは,アジア・太平洋の21か国・地域が参加する地域協力の枠組みである。貿易・投資の自由化・円滑化などの経済問題とともに,人材養成等の経済技術協力分野についても積極的に取り組んでいる。教育分野については,人材養成ワーキング・グループに教育フォーラムを設置し,加盟各国・地域の主導により,教育政策上の様々な課題に関する調査,研究事業及び交流・協力プログラムを実施している。現在,「アジア,太平洋大学問交流(UMAP)」,「技能,資格の相互承認」等のプロジェクトを実施している。また,APECに関する教育・研究を推進することを目的として,加盟各国・地域の高等教育・研究機関の参加により「APEC研究センター」が組織され,我が国では,1999(平成11)年10月現在14大学・機関が参加して「APEC研究センター日本コンソーシアム(コンソーシアムとは緩やかな連合体の意)」を組織している。

文部省はこうした事業活動に参加するとともに,教育フォーラムにおいて高等教育に関するプロジェクトを主導し,同コンソーシアムの協力を得て,アジア・太平洋地域の高等教育機関における学生・教職員交流及び研究協力の促進を目指した活動を行っている。1999(平成11)年3月には,同コンソーシアムとの共催により「APEC国際会議:21世紀に向けた新しい国際教育交流を」を東京で開催した。


(4) EU(欧州連合)との協力

EUは,それまでのEC(欧州共同体)を発展させる形で1992(平成4)年に創設され,現在,ヨーロッパの15か国が加盟している。EUは,域内協力・統合を推進すると同時に,域外国との対話・協力も積極的に推進している。教育の分野においても,日本・EU間の対話の継続とともに,学生・教職員交流,研究協力,インターネットを活用した学校間の交流等,様々なプログラムの拡充・強化に取り組んでいる。


(5) 国連大学への協力

国連大学は,人類の存続,発展及び福祉に関する世界的規模の諸問題についての研究,研修及び知識の普及を目的として,他の国際機関や世界各地の高等教育・研究機関とネットワークを形成し,平和とガバナンス,開発,環境,科学と技術の,国際社会が直面する重要な課題に取り組んでおり,国連のシンクタンクとも言うべき役割を果たしている。国連大学の研究・研修センターの一つである高等研究所は,我が国の大学・研究機関及び研究者の参加・協力も得ながら,こうした課題についての国際共同研究や研修プログラムを通じた人材養成等の事業活動を展開している。我が国は,国連大学に対して,大学基金への拠出及び施設の提供や事業費等の拠出等の支援を行うとともに,事業活動面でも我が国の学界との連携・協力を推進している。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ