ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第8章  文化立国を目指して
第7節  文化財を後世に伝えるために
2  国宝・重要文化財等の保存と活用



(1) 指定
重要文化財「湖畔」(黒田清輝)

国は,絵画,彫刻等の美術工芸品及び建造物である有形文化財のうち,重要なものを重要文化財に指定し,そのうち世界文化の見地から価値の高いもので,たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定している。

美術工芸品の指定については,平成11年度に,平安時代の趣を伝える質実剛健な「赤章威鎧」,紀貫之の自筆原本を模写した唯一のもので十世紀の仮名文字遣いを伝える「土左日記」,縄文時代を代表する20点の火焔形土器を含む「新潟県笹山遺跡出土深鉢土器」など4件を国宝に指定した。

このほか,重要文化財には,日本的な洋画表現を完成した近代洋画の巨匠黒田清輝の「湖畔」,明治時代木彫の代表作である高村光雲の「老猿」,我が国に輸入された最初の本格的かつ最大の「天体望遠鏡(八インチ屈折赤道儀)」など,新たに36件を指定した。

建造物の重要文化財への指定については,明治以降の近代のものについて重点的に進めているが,指定に当たっては,日本の近代化に大きな役割を果たした産業・交通・土木に関する建造物に関する調査(近代化遺産総合調査),伝統的な技術を継承してつくられた近代の建築物に関する調査(近代和風建築総合調査)を各都道府県で順次進めている。このような調査に基づいて,平成11年5月には,旧遷喬、尋常小学校校舎(岡山県久世町)や本庄水源地堰堤水道施設(広島県呉市)などの近代の建造物を重要文化財に指定した。

近世以前の建造物については,既に全国で調査をほぼ終了しているが,調査成果に基づくものに加えて地方公共団体や学識経験者等の調査によって新たな知見が得られたものについても指定を進めている。

また,建造物の国宝については,平成9年12月,瑞龍寺仏殿・法堂・山門(富山県高岡市)を指定した。これは,全国で調査が終了した近世社寺建築緊急調査の成果に基づいて,重要文化財に指定された社寺建築のうち,極めて優秀で文化史的意義が特に深いものとして指定を行ったもので,今後同様のものについて指定を進めることとしている。

重要文化財「老猿」(高村光雲)

重要文化財「天体望遠鏡」


(2) 管理・修復・防災

文化財は,―度その価値が損なわれると回復することのできない極めて貴重な国民全体の財産である。

国指定文化財の管理・修理等は,所有者が行うのが原則であるが,所有者による管理が適当でない場合などには,文化財が国民的財産であることを考慮し,必要な管理・修理等が適切に行われるよう,文化庁長官が地方公共団体等を管理団体として指定している。

また,美術工芸品,建造物については,それぞれ修理を必要とする周期等に応じて,国庫補助により計画的に修理を実施するとともに,保存・防災のための施設・設備の設置等の事業を行っている。

旧遷喬尋常小学校校舎(岡山県)

さらに,文化財を火災等の災害から防ぐためには,国や地方公共団体の協力の下,文化財の所有者等が文化財の適切な管理に徹底して取り組むことが望まれる。平成7年1月の阪神・淡路大震災における文化財の被害状況を考慮して,美術工芸品については,9年6月に文化財の有効な防災対策と災害発生時の緊急対応について具体的留意事項を示した手引を策定した。また,建造物については,耐震性能等の向上に関し,8年1月に「文化財建造物等の地震時における安全性確保に関する指針」を策定しているが,11年4月には所有者が耐震診断を行う手順や留意すべき事項をまとめた「重要文化財(建造物)耐震診断指針」を策定した。現在,さらに建築専門家が行う耐震診断に関する技術指針や資料集の策定について検討を進めている。

なお,指定等された文化財に対する税制面での支援措置については,重要文化財を国や地方公共団体等へ譲渡した場合に所得税が非課税とされるほか,重要文化財のうち建造物については相続税や固定資産税等の軽減も図られている。


(3) 活用

美術工芸品については,平成9年度から重要文化財の鑑賞機会の拡大を図るため,博物館等が開催する展覧会について国が一部経費を負担する「重要文化財公開促進事業」を行っている。

また,建造物については,活用しながら保存することが重要であることから,平成8年12月に取りまとめた「重要文化財(建造物)の活用に対する基本的な考え方」により普及を図っている。さらに,11年3月には「重要文化財(建造物)保存活用計画策定指針」を策定して所有者が文化財保存活用計画を策定する際に考慮すべき事項等を取りまとめ,その一層の充実を図っている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ