ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第8章  文化立国を目指して
第5節  著作権制度の改善及び著作権に関する普及、啓発
1  最近の著作権制度の改善の動向



(1) 著作権審議会における検討

近年の情報化の進展に伴い,多種・大量の著作物がデジタル化され,さらにはネットワーク上で流通されるなど,著作物の利用が多様化している。

このような状況に適切かつ速やかに対応するため,文化庁では学識経験者や関係者で構成される著作権審議会における検討を踏まえ,著作権制度の改善を進めている。

平成11年6月には,デジタル化・ネットワーク化等に対応した新しい国際的枠組みとして8年(1996年)12月に世界知的所有権機関(WIPO)において採択された「VVIPO著作権条約」等に対応するため,著作権審議会(第1小委員会,マルチメディア小委員会ワーキング・グループ)の検討結果(10年12月)を踏まえ,以下のような法改正を行った。

1) 著作物等の無断複製等を防止するための技術的保護手段(コピープロテクション等)を回避する装置等の頒布,頒布目的の製造等を規制する。
2) 著作物等に付されている権利管理情報を不正に除去,改変等を行う行為を規制する。
3) 著作物等一般について,複製物等の譲渡に関する権利(譲渡権)を認める。
4) 映画の著作物についてのみ認められてきた上映権をすべての著作物に対して認める。
5) 適法に録音された音楽の再生演奏について演奏権を制限している経過措置(附則第14条)を廃止する。

また,デジタル化・ネットワーク化の進展に伴う著作物の大量かつ多様な利用に対応した,著作権等の集中管理の在り方について検討するため,平成6年8月に設置された権利の集中管理小委員会において,仲介業務(著作権者から権利の信託を受け,権利者に代わって著作物の使用等に関する権利処理を行う業務)制度の見直しを中心とした集中管理の在り方について,権利保護の実効性及び利用の便宜の両面に留意しつつ総合的な検討を進めている。

平成11年7月に同小委員会専門部会より仲介業務に関する規制を緩和し,新規事業者の参入を容易にすることを柱とした「著作権審議会権利の集中管理小委員会専門部会中間まとめ」(以下「中間まとめ」)が公表されており,今後この中間まとめに対する関係者の意見を踏まえ,報告書をまとめる予定である。


(2) 映像に関する懇談会における検討

近年の情報のデジタル化・ネットワーク化の急速な進展に伴う映像分野の著作権等に係る諸問題について検討を行うため,平成9年11月より,「映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会」を開催した。現在,WIPOにおいて行われている視聴覚的実演に関する新しい条約の検討状況を踏まえつつ,映像分野の実演家の保護の在り方等についての検討を進めている。


2 情報化の進展に対応した著作権権利処理体制の整備

マルチメディアソフトの作成等の際に,多様かつ大量の著作物が頻繁に利用されるようになったことから,著作権の権利処理を円滑に行うシステムを構築する必要性が指摘されるようになった。

著作権審議会マルチメディア小委員会は,平成5年に公表した報告書において,円滑な権利処理を行うため,多様な分野の著作物に関する権利所在情報を統合し,それらを一つの窓口で提供する著作権権利情報集中システム(J-CIS)(仮称)の構築を提言している。このシステムの構築により,著作物の利用に当たって,著作権処理が容易になり,著作権権利処理体制の整備に資するとともに,著作物の流通活用が促進され,広く国民による文化的資産の享受に資することが期待される。

文化庁では,このシステムの実現に向けた施策の推進を行うための調査研究を平成7年度から行っており,11年度からはこれらの調査研究の最終段階として,J-CIS構築に向けたモデル総合検索システムの開発を行うこととしている。

また,このシステムの実現には関係団体の協力が必要不可欠であるため,現在,権利者団体及び利用者団体を中心とした連絡協議会において,システムの構築についての具体的な検討を行っている。


3 著作権に関する普及・啓発

文化庁では,著作権に関する普及・啓発を図るため,図書館職員や都道府県の著作権関係事務担当者,及び広く国民一般を対象とした著作権に関する講習会を全国各地で毎年開催している。平成10年度からは,教職員の著作権に関する理解を深め,児童生徒に対する著作権についての指導など教育活動の充実を図ることを目的とした「教職員著作権講習会」を新たに開催している。

また,コンピュータ・プログラムを利用する場合の著作権に関する管理方法や体制の在り方についての管理の手引(学校編,大学編,企業編)の作成・頒布や,(社)著作権情報センターと連携して著作権に関するパンフレットの作成・頒布等を行っている。

さらに,最近の録音・録画機器の発達・普及に伴い,児童生徒が音楽のCDやゲームソフトなどの著作物を利用する機会が多くなってきている。このため,学校教育の段階から著作権保護意識を高めることが必要であり,平成8年度から,中学生を対象に,分かりやすく解説した著作権読本を全国の各中学校等へ配布している。


4 国際的施策の展開
(1) 著作権制度の国際的調和

著作物等は,貿易やインターネットを通じた送信等により国境を越えて利用されるものであるため,多くの国において条約による国際的な著作物等の保護が行われている。我が国も「ベルヌ条約」,「実演家等保護条約(ローマ条約)」及び「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」等を締結している。

また,近年のデジタル化・ネットワーク化の進展等に対応するため,平成8年(1996年)12月には,世界知的所有権機関(WIPO)において「WIPO著作権条約1及び「WIPO実演・レコード条約」が採択された。我が国は11年6月の法改正によって「V/IPO著作権条約」の締結が可能となったため,その早期締結を目指しているところである。さらに,WIPOにおいて現在様々な分野について新たな条約の検討が進められているが,我が国もそれらの条゜ 約の策定作業に積極的に参加している。

(2)途上国との協力

表2-8-4  著作権に関する途上国との協力事業

アジア・太平洋地域を中心とする途上国において我が国の著作物等の適切な保護を確保するとともに,貿易等に関する各国間の利害対立が持ち込まれるようになった国際的な著作権保護システムの構築について,アジア・太平洋地域の連携協力を強めるため,文化庁では次のような協力事業を展開している( 表2-8-4 )。


5 著作権法100年記念事業

本年は,我が国の著作権法が明治32年(1899年)に制定されて100年を迎えた。そこで文化庁では,著作権制度キャラクター,シンボルマーク・ロゴマークを制定するとともに,平成11年7月22日に新国立劇場において,天皇皇后両陛下の御臨席の下,「著作権法100年記念、式典」を挙行するとともに,カミール・イドリス世界知的所有権機関(WIPO)事務局長,北川善太郎著作権審議会会長による「著作権法100年記念講演会」を実施した。

また,主要な著作権関係団体によって設立された著作権法百年記念会(会長:三浦朱門

著作権法100年記念式典において,お言葉を述べられる天皇陛下(於:新国立劇場)

著作権法100年 著作権法100年口ゴマーク

‐用語解説‐〈アジア地域著作権制度普及促進事業(APACEプログラム)〉文化庁では平成5年度から「アジア地域著作権制度普及促進事業(Asia-PacificCopy-rightSystemEnhance-mentProgram)」を実施している。この事業は文化庁が,世界知的所有権機関(WIPO)に毎年継続的に信託基金を拠出し,同機関と共同で企画・実施するもので,アジア・太平洋諸国での国際シンポジウムの開催,東京での専門家研修プログラム実施等の事業を行っている。

元文化庁長官)が,平成11年7月23日に新国立劇場において,著作権法100年を記念したイベント「シーマーク・ドリーム」を実施したほか,関係団体においてもシンポジウム,コンサート等の記念事業が行われた。

さらに,著作権法100年の歴史を辿る「著作権法100年史」を刊行する予定である。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ