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第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第7章  心と体の健康とスポーツ
第3節  生涯スポーツの推進
2  総台型地域スポーツクラブの育成・定着



(1) 地域におけるスポーツ活動組織の必要性

従来,我が国のスポーツは学校を中心に発展してきており,学校がスポーツの振興やトップレベルの選手の育成等,様々な役割を果たしてきた。しかし,その反面,多くの国民にとっては,学校を卒業してしまうとスポーツに親しむ機会が著しく減少してしまう状況になっている場合が多い。また,勤務先の企業等でもスポーツクラブがあるものの,その性質はトップレベルの選手を対象としていたり,あるいは,サークル的なものであっても,スポーツニーズに十分対応していない場合が多い。

こうした状況を改善するには,地域においてスポーツ活動を可能とする組織が必要となってくる。地域でだれもがスポーツを行うことのできる組織があれば,学校を卒業し,社会に出た後も,継続的にスポーツを楽しむことができるのである。


(2) 地域のスポーツクラブの現況

我が国においても地域にスポーツクラブは存在するが,いわゆる「ママさんバレー」や,「スポーツ少年団」のように,多くが限られた規模で単一種目を行い,限られた年齢で組織されたクラブである。

こうした我が国の地域のスポーツクラブの現状では,必ずしも国民の多様なスポーツニ一

図2-7-5  週に1日以上運動を行う者の割合

ズにこたえることはできず,だれもが,どこでも,いつでも,スポーツに親しむことはできない。

したがって,これらの生涯スポーツの拠点となる組織としては,

1) 一定の規模を有し,
2) 継続性を有し,
3) どのような年齢でも所属することができ,
4) 多くの種目ができ,
5) 様々な技術レベルの人が楽しめるようなスポーツクラブが必要である。

(3) 総合型地域スポーツクラブの育成

文部省では,このような条件を満たした,地域におけるスポーツ活動の拠点として,「総合型地域スポーツクラブ」の育成・定着を提唱している。

総合型地域スポーツクラブ

総合型地域スポーツクラブとは,主にヨーロッパ諸国等に見られる地域のスポーツクラブの形態で,地域住民が自主的に運営し,子どもから高齢者,障害者までの様々なスポーツを愛好する人々が参加できる総合的なスポーツクラブであり,以下の特徴を有している。

1) 単一種目だけでなく,複数の種目を行っている。


2) 青少年から高齢者,初心者からトップアスリートまで,様々な年齢,技術・技能を有する者が活動している。

3) 活動拠点となるスポーツ施設・クラブハウスを有しており,定期的・計画的なスポーツ活動の実施が可能となっている。

4) 質の高いスポーツ指導者を配置し,個々のスポーツニーズに対応した適切な指導が行われる。

ヨーロッパ諸国では,スポーツが生活に根付いており,地域住民の多くが地域の総合型スポーツクラブに加入している。住民は単にスポーツを行うだけでなく,クラブハウスが社交の場にもなっており,クラブは地域コミュニティの基盤となっている。また,クラブに加入していることで,地域住民は地域の一員として,地域に対する誇りを有し,このことは地域の活性化にもつながっている。


(4) 総合型地域スポーツクラブ育成への様々な取組

文部省においては,総合型地域スポーツクラブの育成・定着を図るために,平成7年度よりモデル事業を実施する等,各種の取組を行っている。

また,文部省のモデル事業以外にも,様々な形態で総合型地域スポーツクラブの育成が取り組まれており,地方公共団体が独自のモデル事業を行っている場合や,あるいは,地域住民が主体となって育成・定着を図っている事例も見られている。

競技団体の中にも総合型地域スポーツクラブ育成の取組を行っている団体もある。 (社)日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)では「百年構想」の下,総合型地域スポーツクラブの育成に取り組んでおり,所属する各クラブにおいては,サッカー以外の競技の振興も行っており,バスケットボールやバレーボールの教室などを開催している。

また,(財)日本体育協会においては,スポーツ少年団を核とした総合型地域スポーツクラブ育成への取組を行っている。


(5) 総合型地域スポーツクラブの方向

総合型地域スポーツクラブは,地域住民が自らのスポーツ活動のために自主的に育成・運営するものである。したがって,継続性の確保の観点からも,できる限り会員による会費収入やクラブの収益で運営することが望ましい。

しかしながら,総合型地域スポーツクラブは,地域における公共的な役割を果たすものであり,行政の支援もその実情に応じて適切に行われることが望ましい。

特に施設については,クラブ自身で建設・運営を行うことは困難であり,総合型地域スポーツクラブの育成には,公共スポーツ施設・学校体育施設の優先的利用といった行政の支援も必要である。例えばドイツでは,クラブが公共スポーツ施設の運営を請け負う代わりに優先的に施設を使用できる場合が見られる。

また,生徒が各自の多様なニーズに応じてスポーツ活動を行うことができるようにするためには,総合型地域スポーツクラブと学校の運動部活動の適切な連携も重要である。学校の運動部活動は,生徒がスポーツ活動を行う場として重要な地位を占めており,運動部活動と地域のスポーツクラブの役割分担など適切な連携が必要である。なお,総合型地域スポーツクラブなどにより地域で活発にスポーツ活動が行われている場合は学校の運動部活動の一部を地域のスポーツクラブにゆだねることも考えられる。


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