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第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第7章  心と体の健康とスポーツ
第2節  スポーツ振興の基本的な方向
2  学校における体育・スポーツの充実のために



(1) 教育内容の充実

知・徳・体のバランスの取れた教育を展開し,児童生徒の「たくましく生きるための健康や体力」を培うことは,「生きる力」を培う学校教育において重要である。しがしながら,近年の児童生徒の状況を見ると,運動に興味を持ち活発に運動する者とそうでない者との二極化,生活習慣の乱れやストレス及び不安感が高まっている現状も見られることが指摘されている。

今回改訂した体育・保健体育の新しい学習指導要領においては,このような現状に対応し,生涯にわたる豊かなスポーツライフ及び健康の保持増進の基礎を培う観点に立って,体育や保健の内容の改善を図っている。

特に体育の領域については,小・中・高等学校を通じて,自ら運動をする意欲を培い,積極的に運動に親しむ資質や能力を育成するとともに,基礎的な体力を高めることを重視し,次のような改善を図った。

1) 児童生徒の発達段階に応じて,運動を一層選択して履修できるようにすることや,体力の向上を図る上で内容を重点化した。また,心と体を一体としてとらえる観点から,新たに,自分の体に気付き,体の調子を整えるなどをねらいとした「体ほぐし」の運動にかかわる内容を取り上げた。
2) 児童生徒がゆとりを持って自己の能力等に応じた学習を行うことができるよう,児童生徒や学校の実態に応じて一層弾力的に指導することができるようにした。また,球技などについて,学校や地域の実態に応じて多様な運動も取り上げることができるようにした。
3) 自ら学び,自ら考える力を育成するため,運動の学び方を重視することとした。
体ほぐし

いろいろな手軽な運動や律動的な運動を行い,体を動かす楽しさや心地よさを味わうことによって,自分や仲間の体や心の状態に気づき,体の調子を整えたり,仲間との交流を行ったりすること。

具体的な「体ほぐしの運動」の行い方としては,・のびのびとした動作で用具などを用いた運動を行う。

・リズムに乗った体操など心が弾むような動作で運動を行う。

・互いの体に気づき合うようペアでのストレッチングを行う。

・いろいろな動作などでウォーキングやジョギングを行うなどが考えられる。

なお,文部省において,平成11年度中を目途に「体ほぐし」を含めた「体つくり運動指導の手引き(仮称)」を作成することとしている。

図2-7-3  体育・保健体育科の主な改善内容


(2) 運動部活動の充実
(ア) 運動部活動の意義

運動部活動は,学校教育活動の―環として,スポーツに興味と関心を持つ児童生徒が,教員等の指導の下に,自発的・自主的にスポーツを行うものであり,より高い水準の技能や記録に挑戦する中でスポーツの楽しさや喜びを味わい,学校生活に豊かさをもたらす意義を有している。

また,運動部活動は,体育の授業で得た興味・関心,技能等を発展・充実させるとともに,生涯にわたりスポーツに親しむ能力や態度を育て,併せて,体力の向上や健康の増進を図るものである。さらに,学級や学年を離れて生徒が活動を組織し展開することにより,生徒の自主性,協調性,責任感,連帯感などを育成し,仲間や教員(顧問)と密接に触れ合う場としても大きな意義を有している。


(イ) 今後の運動部活動の在り方

このような運動部活動の意義や社会の変化,運動部活動の現状等を踏まえ,文部省では平成10年1月に適切な運動部活動の運営について,各都道府県教育委員会等に通知した。この中では,1)生徒の個性の尊重と柔軟な運営への留意,2)学校週5日制の趣旨も踏まえた適切な休養日の設定,3)外部指導者の活用や地域スポーツクラブ等との交流を図ること,4)必要に応じスポーツ医・科学に関する情報を利用すること,などを指摘している。

特に,近年の児童生徒数の減少に伴い,運動部活動が1校で維持できないような状況も一部に生じており,こうした状況に対応し,地域によっては,複数校による合同の活動などの取組が既に進められている。

また,多様なスポーツ活動の機会を確保し,生涯スポーツの基礎を培う観点から,健康の保持増進,仲間との交流,競技力向上など児童生徒の志向の違いに対する配慮や,シーズン制,複数種目制など活動内容の多様化を図ることも重要である。

地域スポーツとの関係では,児童生徒の多様なスポーツニーズにこたえ,児童生徒と地域住民との交流を深めていくという観点から,地域や学校の実情に応じて連携を深めていくことが望まれる。例えば,地域の優れた人材を外部指導者として活用したり,総合型地域スポーツクラブや公立・民間のスポーツ施設と連携・交流を進めることなどが想定される。

特に,完全学校週5日制の導入に伴う休業日の増加,顧問数・部員数の減少などといった最近の傾向や,生涯にわたるスポーツ活動の基礎づくりの観点を踏まえ,例えば,学校に指導者がいない等の理由により特定の運動部活動を当該学校において実施できないが,地域においては活発なスポーツ活動が行われている場合などは,地域と学校との連携により,子どもが真に関心を持つスポーツの活動を地域に求めていくことも必要である。

なお,運動部活動は,自発的・自主的活動として,指導者,学校,保護者のそれぞれにおいて子どもの心身の成長についての理解を深め,試合の勝利のみにこだわり過重な練習を強いることのないよう留意することが重要である。

図2-7-4  中学校における競技別運動部数の推移 (部数)


(3) 学校体育を支える基盤の整備
(ア) 指導者の指導力の向上と多様な指導者の活用

生涯にわたるスポーツライフの基礎を培うという学校体育の意義を踏まえ,児童生徒が積極的かつ効果的に運動・スポーツに取り組めるよう,指導内容を常に充実していく必要がある。このため,指導に当たる教員の資質の向上が絶えず求められている。

「体育・保健体育」を担当する教員の指導力については,児童生徒の興味,関心,能力,適性に応じた指導の在り方,科学的な体育理論,児童生徒が目的意識を持ってスポーツを行うような指導法などの内容について,特にその向上が求められる。また,体育の指導が学校教育活動全体を通じて適切に行われるよう,積極的な役割を果たすことが求められる。さらに,特に中・高等学校においては,生徒の選択履修の幅の拡大に応じられる指導力の向上が求められる。

なお,「体育・保健体育」の授業の充実を図るため,教育職員免許法に基づく「特別免許状制度」や「特別非常勤講師制度」,さらには教員資格認定試験により高等学校「柔道」,「剣道」の普通免許状を取得した者の活用などにより,専門的知識や経験を有する社会人を「体育・保健体育」の授業の指導者として迎えることに積極的に取り組んでいく必要がある。

また,運動部活動についても,近年の顧問の高齢化や実技指導力不足,指導力のある教員の異動とともに運動部活動が衰退してしまう現状などのほか,生徒の志向などに応じた多様な運動部活動を展開する方策として,外部指導者の積極的な活用が有効である。このため,文部省では,都道府県が外部指導者を学校に派遣する外部指導者活用事業への補助を行っている。


(イ) 学校体育施設の充実

学校体育施設は体育の授業はもとより,クラブ活動や運動部活動などの場としても重要な役割を果たしており,文部省では学校の設置者である地方公共団体等に対し,運動場,体育館,水泳プール,武道場等の整備に対し補助を行っている。

このような学校体育施設に対し,近年,地域の共有財産としての活用への期待が高まっており,地域に開かれた学校という観点からも積極的な対応が望まれる( 第3節3 参照)。


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