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第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第6章  学術研究の振興
第1節  これからの学術施策の方向
1  学術研究への期待の高まり


学術研究は,真理の探究という人間の知的欲求に根ざし,新しい法則や原理の発見,分析や方法論の確立,新しい知識や技術の体系化とその応用,先端的な学問領域の開拓などを目指して行われる普遍的な知的創造活動である。学術研究は,研究者の自由な発想と自主的な研究活動を源泉として,人文・社会科学から自然科学までのあらゆる学問分野にわたり,大学やこれと一体的な研究所を中心に推進されている。このような学術研究の成果は,人類の知的共有財産・公共財として,それ自体優れた文化的価値を持っている。また,学術研究は基礎研究から産業・経済の発展につながる実用志向の研究まで幅広く包含し,科学技術の中核かつ基盤となっており,日常生活を支え,国民の福利を増進するなどして,人類・社会の発展に大きく貢献している。

学術研究が中核かつ基盤を成している科学技術は,先進諸国を中心に20世紀の人類の福祉の飛躍的な向上を可能にした点において,今世紀の文明を支えてきたものとして,高く評価されるべきものである。一方で,効率性追求,大量生産,大量消費,大量廃棄などの言葉とともに想起される「20世紀型科学技術」からもたらされた負の面も目立つようになった。今山温暖化現象,酸性雨,オゾン,ホール,砂漠化などの地球環境問題やエネルギ一・資源問題などの顕在化,深刻化とともに,「20世紀型科学技術」を基盤とする文明は,環境も含め地球上の資源が有限で,場合によっては回復不可能なものであること,また,従来型の発展は限界に近づいていることを人類に認識させるに至っている。

21世紀の学術研究及びそれを中核・基盤とする科学技術は,「20世紀型科学技術」のもたらした文明の行き詰まりを克服し,新しい価値観の下に我が国の発展,さらには世界・人類の発展を期して,新たな文明の構築に貢献することを目指すものでなければならない。

今後,学術・科学技術が新たな文明の構築への貢献を目指すに当たっては,次のような観点が重要である。

・  21世紀においても,我が国が20世紀に到達した経済面,生活面等の水準を維持し,更に適正な範囲内で一定の発展を図ることは重要であり,新たな発展のためのフロンティアを拡大する学術・科学技術の役割
・ 自然等との調和を内包する持続的発展に適した,いわば「21世紀型科学技術」及びその中核・基盤となる学術研究を推進すること
・ 人間の物質的欲望を充足させ続けるには限界があり,人間と自然等が共存する中で,精神的充足感により重点を置いた価値体系である「新しい豊かさ」を目指すこと

「21世紀型科学技術」を発展させ,「新しい豊かさ」を目指す価値体系を構築するため,人文・社会科学と自然科学を統合した研究も含め,先導的・独創的な学術研究を推進する必要がある。また,このことを通じて,新たな文明の構築に貢献し,優れた学術や文化-が日本から生み出されていると世界の人々に受け止められる状態,「知的存在感のある国」を目指すことが必要である。


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