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第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第3章  高等教育の多様な発展のために
  第3節 高等教育の整備充実
6  医療人の育成



(1) 医学教育等の改善・充実

文部省では,平成7年11月から「21世紀医学,医療懇談会」を開催し,21世紀における我が国の医学・医療を見据えた教育・研究・診療の進展を図る上で必要な諸方策について検討してきた。同懇談会は,これまで3次にわたる報告を提出してきたが(第1次報告「21世紀の命と健康を守る医療人の育成を目指して」(平成8年6月),第2次報告「21世紀に向けた介護関係人材育成の在り方について」(9年2月),第3次報告「21世紀に向けた大学病院の在り方について」(9年7月)),11年2月には第4次報告「21世紀に向けた医師・歯科医師の育成体制の在り方について」を公表しており,現在各大学においては,これらの提言を受けて,教育内容の改善・充実や大学病院の改善・充実に取り組んでいる。

なお,第4次報告は,21世紀に向けた医師。歯科医師の育成体制の在り方について,国民の医療ニーズや医療制度改革の動向,大学審議会答申に示された大学改革の方向,将来の医師・歯科医師需給の見通しなどを考慮して,基本的な考え方を示したものであり,その概要は以下のとおりである。

○学部教育の改善

・ 面接の充実,適性検査の活用など入学者選抜方法の改善
・ 豊かな人間性の洒養とコミュニケーション能力等の育成
・ チュートリアル教育 【用語解説】 など少人数教育の推進とクリニカル・クラークシップ 【用語解説】 ,臨床教授制度 【用語解説】 の導入等臨床実習の充実
・ コア・カリキュラムの確立や選択履修の拡充など教育内容の精選と多様化オスキー
・  OSCE 【用語解説】 の導入の促進など臨床実習に進む段階での各大学共通の適切な進級認定システムの構築
・ メディカル・スクーノレ 【用語解説】 及びデンタる・スクーノレ構想について

○大学院における教育研究の改善

・ 基礎医学や学際的領域の教育研究の充実
・ 公衆衛生分野の大学院修士課程の設置
・ 大学院への早期進学特例の創設

○ 医師・歯科医師の需給問題と医学部・歯学部の入学定員の在り方・ 医学部・歯学部の入学定員については,厚生省における医師・歯科医師の需給見通しを踏まえて削減を行う必要があるが,削減に当たっては国・公・私立大学全体で対応すべきであり,医療をめぐる諸般の状況の推移を見ながら,関係者において対応を検討するよう要請


<チュートリアル教育>具体的事例を用い、グループ討論や個人学習、チューターと呼ばれる教員による学習援助などの問題解決型学習を通じて,自己開発能力の育成を図る教育プログラム


<クリニカル・クラーシップ>学生が病棟に所属し,医療チームの一員として実際に患者の診療に携わる臨床実習の形態


<臨床教授制度>大学以外の臨床現場において豊富な経験を有する優れた医療人に対し,各大学において一定の基準に基づいて「臨床教授」の称号を付与し,当該医療人の参加・協力を得て実習の充実を図るもの。


<OSCE(ObjectiveStructuredClinicalExamination)>客観的臨床能力試験。医療面接,身体診療法などの基本的臨床能力を見に付けているかどうかを評価するための実技試験。


<メディカル・スクール構想>大学の学部において幅広い教養教育の学習を修了し卒業した者が,医療に関する専門的な学習を集中的に行う新しい学校制度。


(2) 医療人育成施策の現状と方向性

少子高齢化や医学・医療の高度化が進展している現在においては,優れた医療人の育成が今まで以上に社会から要求されている。このような社会的要請にこたえるため,政府においては,学校教育において医療人の育成を担当している文部省と,国家試験や生涯研修等を担当している厚生省が連携して医療人育成施策を推進している。


1) 医師・歯科医師の卒後臨床研修

医師・歯科医師については,免許取得後,それぞれ2年又は1年以上の臨床研修を行うよう努力しなければならないことが法律上定められている。

現在厚生省においては,卒後臨床研修の必修化に関する検討が行われているが,21世紀 医学・医療懇談会第4次報告においては,その必修化について1)指導医の充実,2)研修・プログラムの確立,3)研修医に対する経済的支援の保証,4)研修施設・設備の充実などを不可欠の条件としつつ,臨床能力の向上を図る上で望ましいことであるとされている。

また,卒後臨床研修の内容については,21世紀医学・医療懇談会第4次報告において,各大学においては,各診療科ごとではなく,大学全体の統一的な理念に基づく研修目標やプログラムを策定することが必要であるとされている。

各大学においては,21世紀医学・医療懇談会第4次報告を受けて,プライマリー ・ケアや救急医療など今日の医療の課題に対応した卒後臨床研修の改善・充実に取り組んでいる。

文部省としても,厚生省及び大学関係者と連携し,医師・歯科医師の卒後臨床研修の充実に努めていくこととしている。


2) 資質の高い薬剤師の育成

薬剤師の資質向上に対する社会的要請が高まる中,文部省では,平成8年3月に「薬学教育の改善に関する調査研究協力者会議」の最終まとめを公表した。

これを受けて,各大学においては,医療薬学や実務実習を重視したカリキュラム改革に取り組んでいる。

また,文部省では,平成8年8月から,文部省,厚生省,関係団体による「薬剤師養成問題懇談会」を開催し,薬剤師の養成課程全体を見通した改善・充実の在り方について検討してきたが,11年度からは国・公・私立大学関係者も加え,意見交換を行っている。


3) 資質の高い看護婦等医療技術者の育成

看護婦等医療技術者の育成においては,急速な高齢化の進展及び保健・医療を取り巻く環境の変化等に伴い,量的確保とともにその資質の向上も強く求められている。

文部省においては,社会のニーズにこたえるため,看護系大学,大学院の設置・整備を推進し,看護婦等医療技術者の育成の充実を図っている。

また,看護婦等医療技術者の養成施設指定規則については,各大学が多様なカリキュラムを編成できるよう,弾力化を図ることが求められており,既に保健婦(士)・助産婦・看護婦(士)及び理学療法士・作業療法士については養成施設の指定規則の大綱化を図った。今後,これ以外の職種についても,厚生省と密接な連携を図りながら順次見直しを行うこととしている。


4) 介護関係人材の育成

少子高齢化の進展や保健・医療・福祉を取り巻く環境の変化等に伴い,社会福祉士,介護福祉士をはじめとする介護関係人材の育成確保が強く求められているが,介護保険制度の導入に伴う介護支援サービスの実施,多様な事業者による在宅サービスの提供などに対応し,介護関係人材に求められる役割も拡大しており,その質的充実も求められている。

文部省としては,そのための体制整備を図っており,今後とも大学等における介護関係人材の育成の充実に努めていくこととしている。

今後も文部省としては,厚生省等関係機関と引き続き連携を取り,医療人育成の改善・充実に努めていくこととしている。


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