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第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第3章  高等教育の多様な発展のために
第1節  21世紀の大学像と今後の改革方策
3  大学院の充実と改革



(1) 大学院の現状とこれまでの動向

大学院は,基礎研究を中心として学術研究を推進するとともに,研究者及び高度の専門的能力を有する人材を養成するという役割を担っている。

我が国の大学院の状況としては,国,公,私立全体では623大学のうち約7割の463大学(平成11年度現在)に大学院が置かれており,学生数については,国,公,私立全体で19万1,125人(11年5月現在)が大学院に在籍している。

大学院に対する期待は,近年の学術研究の進展や,急速な技術革新,社会,経済の高度化,複雑化の変化に伴い,ますます大きなものとなっている。これらの時代の要請にこたえ学術研究の新しい流れに対応するためには,大学院の質,量両面にわたる飛躍的な充実を図ることが最大の課題となっている。

このため,各大学院がそれぞれの目的に即し,多様な形で教育研究の―層の高度化,活性化が図られるよう,課程の目的,組織編制,教育方法,形態等について大学院制度の弾力化が図られるとともに,時代の要請にこたえ得る大学院として,先端的,学際的分野を中心とした研究科等が新設されてきている。

大学院制度については,これまでに課程の目的,入学資格,修業年限,教育方法等の諸点にわたって弾力化が図られてきている。

平成元年,大学院設置基準等の改正により,優秀な学生の学部3年次からの大学院入学,修士課程の最短1年での修了や昼夜開講制の制度化,科目等履修生制度の導入,広く社会人登用を図るための教員基準の弾力化,独立大学院の組織編制等に係る大綱的基準の制定等が行われた。また,5年には,夜間大学院の制度化が,更に,10年には通信制大学院の制度化が図られた。

平成11年8月には,学校教育法施行規則の改正により,大学院において個別の入学資格審査を行い,大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者で22歳に達した者に大学院への入学資格を認めた。


(2) 大学院制度の改革

今後,大学院における教育研究の質的充実を図り,更に高度化,多様化していくようにするためには大学院制度の改革が必要となっている。

平成10年10月の大学審議会の答申において提言された主な内容は次のとおりであり,平成11年に関係法律等の改正を行った。

1) 大学院修士課程が社会の多様な要請にこたえていくため,課程の目的,性格を明確化し,これまでの高度専門職業人の養成を更に進めて特定の職業等に従事するのに必要な高度の専門的知識,能力の育成に特化した実践的な教育を行う大学院の設置を促進していく必要がある。
2) 卓越した教育研究の拠点としての大学院の形成,支援を図っていく必要がある。
3) 職業を持つ社会人の再学習のニーズにこたえるため,勤務の都合や通学の便宜など社会人の多様な状況に柔軟に対応し得るよう修士課程の1年制コース及び長期在学コースを制度化する。

(3) 大学院及び学生に対する支援

文部省では,大学院に対する支援として,教育研究の高度化を重点的に推進するための大学院創造性関係推進経費の予算措置の充実を図っている。また,学生に対する支援については,優れた大学院学生が安心して進学できる環境の整備のため,研究奨励金を支給する日本学術振興会特別研究員制度や,日本育英会の育英奨学事業,ティーチング,アシスタント(TA)経費などの充実に努めている。


(4) 産業界との連携,交流の推進

平成10年度における社会人の大学院への入学者数は,修士課程が5,177人,博士課程が2,027人であり,増加する傾向にある。

各大学院では,社会人の受入れを促進するために,1)社会人を対象とした特別選抜制度の導入,2)科目等履修生の制度の活用,3)昼夜開講制の採用や夜間大学院の設置など弾力化された大学院制度の活用を図りつつ,色々な試みが実施されている。

さらに,教育訓練給付制度の対象に,1)大学院等の高等教育機関で行われるコース登録制,2)夜間大学院,3)昼夜開講制大学院のうち専ら夜間において教育を行うもの,4)通信制大学院を追加したところであり,各大学院等における積極的な取組が期待される。

また,平成11年度においては筑波大学農学研究科を始め4大学院においてリフレッシュ教育対応講座の新設を行った。

さらに,大学院修士課程1年制コースや長期在学コースの制度化などを通じて,社会人の大学における履修を容易にするための様々な制度改正を行った。

その他,学外における高度な研究水準を持つ国立試験研究機関や民間等の研究所等と大学院が事前に協定を結ぶことによって組織的に連携し,双方の交流の促進や共同研究の推進を目指す,いわゆる「連携大学院」方式が積極的に行われている。


(5) 大学院修了者の進路

平成10年3月現在の大学院修了者の進路状況を見ると,修士課程の主な就職先では,製造業52.5%,サービス業(教育分野を含む)25.4%,公務5.7%などであり,博士課程の主な就職先は,サービス業72.8%,製造業が15.8%,公務5.0%などとなっている。また,起業家精神を有する人材の育成を図る上でも,産業界からの講師の招へい等を通じて,大学の教員や学生が産業界の現実や起業家の実態に接することは有意義であることから,今後,産学連携の―層の推進が期待される。

修士課程修了者に対する人材需要は理工系を中心に高いが,人文系や博士課程修了者に対する人材需要は近年増えてきているものの,依然として十分とは言えない状況にある。これは,なお大学院教育を受けたことが社会的に十分評価されていないことのほか,大学院において社会的需要に適切にこたえ得る魅力ある教育内容等が必ずしも十分でないことも原因であると考えられ,各大学院には教育機能の―層の質的充実に努めることが求められている。

資源の乏しい我が国が,国際社会において,将来にわたる発展を可能にしていくためには,大学院修了者が社会の多様な分野で,適切な評価と待遇を受けつつ活躍できるよう,大学院の整備充実を推進していく必要がある。


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