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第2編   文教施策の動向と展開 第2編 文教施設
第3章  高等教育の多様な発展のために
第1節  21世紀の大学像と今後の改革方策
1  21世紀初頭の社会状況と大学像



(1) 21世紀初頭の社会状況の展望と高等教育

21世紀初頭における社会状況をどのように展望するかは,様々な変化や要素を考える必要があり―概に言い表すことは難しいが,

1) ―層流動的で複雑化した不透明な時代
2) 地球規模での協調,共生と―方では国際競争力の強化が求められる時代
3) 少子高齢化が進行し生産年齢人口が大幅に減少すると同時に,産業構造や雇用形態に大きな変化が起こる時代
4) 職業人の再学習をはじめ,国民の間に生涯学習需要が増大する時代
5) 豊かな未来を拓く原動力となる学術研究の進歩が加速すると同時に,学際化,総合化の必要性が生じる「知」の再構築が強く求められる時代

になると考えられる。

このような人類全体にとって―層困難な課題が生じてくると考えられる21世紀初頭において,我が国が世界と協調しつつ,そのより良い解決に向け貢献していくためには,大学をはじめとする多様な高等教育機関のシステム全体として,その知的活動によって社会をリードし社会の発展を支えていくという重要な役割を十分に果たしていくことが不可欠である。


(2) 高等教育機関の多様な展開

社会,経済の更なる高度化,複雑化や国際化の進展に伴い,大学等高等教育機関の教育研究の質の高度化及び人材養成に対する要請等の多様化への適切な対応が―層求められていく。

また,進学率の上昇や生涯学習需要の高まり等に伴い,より幅広い層の国民に対し,それぞれの関心や意欲に応じてその能力を十分に伸ばしていくための多様かつ充実した教育機会の提供が―層重要となっていく。このような高等教育に対する質の高度化への要請や社会の需要の―層の多様化等に適切にこたえるとともに,長期的視点に立った教育研究の展開によって社会をリードしていくという役割を果たしていくため,大学,大学院,短期大学及び高等専門学校が,それぞれの理念,目標を明確にし,それぞれの特色を生かしつつ多様化,個性化を進め,国,公,私立の各高等教育機関全体で社会の多様な要請等にこたえていく必要がある。


(3) 大学(学部),短期大学の規模

社会の高度化,複雑化,専門化の進展等に応じ,高度な課題探求能力や専門知識を有することが社会生活を送る上で広く求められるようになっていく。また,少子化の進行に伴い若年労働人口が減少していく中で我が国が引き続き発展していくためには,社会の各分野で活躍できる質の高い人材の供給を―定規模確保することが必要である。平成9年1月の大学審議会答申「平成12年度以降の高等教育の将来構想について」においては,12〜16年度までの期間に大学及び短期大学の臨時的定員の半数以上の解消を図りつつ,18歳人口が120万人規模となる21年度以降最大70万人程度(平成8年度入学者数から約10万人の減)の入学者数を想定することが適当と提言されている。この場合,進学率は大きく上昇すると予測されている( 図2-3-1 )。

18歳人口の減少期である平成12〜16年度までの期間においては,全体として進学率等の急激な変化が生じることを避けつつ,各大学等における改革の定着,発展を促し,高等教育全体の質の維持と―層の向上を図っていく必要がある。このため,大学等の設置認可については次のような考え方に立って行うこととしている。

1) 大学等の入学定員の全体規模を積極的に拡大することは望ましくなく,今後とも抑制的に対応する。
2) 平成12年度以降は臨時的定員の最低半数の解消により段階的に入学定員の減少を図ることが適切である。
3) 学問の進展や新たな人材養成需要等,時代の要請への対応についても,既設大学等の改組転換を基本としながら,我が国の高等教育の活力を維持し,時代の変化に即応するために,極めて必要性の高いものについて新増設を認めていくこととするのが適当である。

(4) 大学院の量的拡大

大学院の在学者数の規模については,平成3年11月の大学審議会答申「大学院の量的整備について」において,12年の大学院の規模について「全体としては,少なくとも現在(平成3年)の規模の2倍程度に拡大することが必要である」との提言を受けて,新たな大学院(研究科,専攻)の設置や大学院の入学定員増など各般の施策がとられ,大学院の量的拡大が図られてきた。

大学院の在学者は,平成11年5月現在で191,125人(修士課程132,118人,博士課程59,007人)であり,3年の9万8,650人(修士課程6万8,739人,博士課程2万9,911人)に比べ約2倍の規模となっており,12年には大学審議会の提言は達成される見込みである。

このように我が国の大学院は近年著しく規模を拡大しつつあるが,人口千人当たりの大学院学生数で1.4人,学部学生に対する大学院学生の比率は7.1%(1997年)であり,アメリカの7,7人,16.6%(1995年),イギリスの5.5人,20.9%(1995年),フランスの3.6人,18.3%(1996年)など,諸外国の状況と比較すると,なお大きな隔たりがある。

大学院は基礎研究を中心として学術研究を推進するとともに,研究者の養成及び高度の専門的能力を有する人材の養成という役割を担うものである。 ―層変化が激しく複雑化していく21世紀の社会を迎えるに当たり,これからの大学院に特に求められることは,1)学術研究の高度化と優れた研究者の養成機能の強化,2)高度専門職業人の養成機能,社会人の再学習

図2-3-1  大学,短期大学の規模等の推移

機能の強化,3)教育研究を通じた国際貢献の3点であり,いずれの面からも大学院の更なる整備充実が必要である。今後の大学院の規模の在り方については,国際社会で活躍するための基本的な要件として大学院レベルの修了が求められている状況や,21世紀に向けて科学技術創造立国を実現していく必要,また,急速な技術革新や知識の陳腐化に対応しリフレッシュ教育の機会を求める社会人等が増えると考えられること等を踏まえるとともに,今後の産業構造の変化等を考慮する必要があり,新しい産業分野が創出され成長するにつれ,高度な知識,能力を備えた人材への新たな需要が生まれてくることを想定すると,全体としては,25万人以上の規模に拡大していくことが見込まれる。


(5) 大学改革の基本理念

21世紀初頭において,我が国の高等教育が世界的水準の教育研究を展開し,その求められる役割を十分に果たしていけるようにするため,以下の四つの基本理念に沿った大胆な大学改革を進めている。


1) 課題探求能力の育成―教育研究の質の向上―

主体的に変化に対応し,自ら将来の課題を探求し,その課題に対して幅広い視野から柔軟かつ総合的な判断を下すことのできる力(課題探求能力)の育成を目指し,教育研究の質の向上を図る。


2) 教育研究システムの柔構造化―大学の自律性の確保―

学生の主体的学習意欲及びその学習成果を積極的に評価し得るような制度,大学が自律性を確保しながら―層積極的,機動的に社会の要請等に対応できるような制度,国際的な通用性の高い制度へと,教育研究システムをより柔構造化していく。


3) 責任ある意思決定と実行-組織運営体制の整備―

各大学が自らの主体的判断と責任において,社会の期待にこたえ得る効果的な大学運営を行っていくために,学長のリーダーシップの下に,適時適切な意思決定を行い実行できる組織運営システムを確立する。


4) 多元的な評価システムの確立―大学の個性化と教育研究の不断の改善―

各大学が自己点検,評価の恒常的実施とその結果を踏まえた教育研究の不断の改善を図っていくことはもとより,さらに,より透明性の高い第三者評価を実施し,その評価結果を大学の教育研究活動の―層の改善に反映させるなど,各大学の個性を更に伸長し能力あるものとしていくための多元的な評価システムを速やかに確立する。

これら四つの基本理念に沿って大学改革を進め,各大学が更なる向上を目指して切瑳琢磨し発展していくことのできる新しい高等教育システムへの転換を図っていくことが必要である。その際,同時に,国際的通用性,共通性を確保しつつ大学等の自律性に基づく多様化,個性化を推進するとともに,公共的機関である大学等が社会的責任を果たせるよう改革を推進することが重要である。


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