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第1編   進む『教育改革』 はじめに
  第1部
第4章  諸外国の教育改革の動向
3  教育改革が目指すもの


次に,各国が教育改革を通じて実現しようとしている教育の内容についてみてみます。

教育改革の目標として,初等中等教育について見れば,アメリカやイギリスは「学力の向上」という明確な方向を宣言しています。そして,このため同じ学習内容をどこでも受けられるという基準化・共通化を図る一方,その達成には学校の創意工夫を重んじてその自主性を拡大し,これと同時にそれがどの程度達成されたか学校の責任を問う,いわゆる規制緩和,市場原理の手法をとっています。一方,我が国では,学習内容を精選し,ゆとりの中で「生きる力」をはぐくむことを教育改革の目標としており,アメリカ,イギリスとはその目標が違っているように見えます。しかし,その出発点で見ると,アメリカ・イギリスではそれまでの過度の多様化,我が国では過度の画一化への反省が基になっていますので,目指している着地点が離れているわけではなく,それぞれの教育が近づきつつあると言えます。

また,OECDでこれまでの教科の枠を超えた問題解決能力や協調性などの「生きる術」(1ife ski11)の研究が進められていることや,中国での多様な資質を伸ばそうとする「資質教育」が提唱されていることなどから,単に知識の量を増やす学力ではない,新たな学力を考えていこうという姿勢が,我が国だけではなく,各国でも芽生えつつあることがうかがえます。

高等教育を見てみますと,進学率が非常に上昇し,「大衆化・普遍化」時代を各国が迎えつつありますが,このように拡大した高等教育の経費をだれがどのように負担するか,また,社会経済の発展に対して知的な面での貢献が高等教育に求められようになっている今日いかに教育と研究の質を維持し向上させていくか,といった事柄が各国共通の課題となっています。

また,教育や学習は若い時期に受ける学校教育で終わるものではなく,生涯を通じて行われるべきものだという生涯学習の考え方は,今や各国が皆共有するところとなっています。

生涯学習社会の実現に向けた政策を明確に打ち出しているイギリスのような国もあります。

しかし,アメリカやヨーロッパ諸国が失業対策などのために職業能力を身に付けさせる職業訓練を重視しているのに対し,我が国は文化・スポーツを含む幅広い活動を意識した学習社会を目指しており,政策に差が認められます。

「チャーター・スクール」〜アメリカ合衆国の実験〜

チャーター・スクールは,子どもたちの学力向上を目指して,学校の積極的な創意工夫を引き出そうとする教育改革の中から生まれた新しいタイプの公立学校です。親や教員,地域の団体などが自分たちの理想とする教育を行うために,州や地方の教育委員会などから認可(チャーター)を受けて設置します。運営費は公費によって賄われます。その特徴としては, ● 教育内容や方法,教員資格など多くの面で規制が免除されること ● 通学区域を越えて自由に入学できることといったことが挙げられます。こうして,学習の遅れた子どもや非行少年対象の教育,異年齢集団による教育,芸術に重きを置いた教育など,非常に多様な教育が行われています。ただし,認可を受ける時に取り決めた教育目標,例えば一定の成績の維持などが達成されないと,チセーターが取り消されます。1992年にミネソタ州で始めて設置され,1998年現在,28州で1,050校に上っています。これは全国の学校の1%に満たない数ですが,クリントン大統領は2000年までに3,000校に増やすよう各州を支援することを宣言しています。

表1-1-4-2  諸外国の教育改革


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