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1部   心と体の健康とスポーツ
第3章   生涯にわたるスポーツライフの実現のために
第2節   生涯にわたるスポーツライフの基礎としての学校教育
3   運動部活動の充実



(1) 運動部活動の意義

運動部活動は、学校教育活動の一環として、スポーツに興味と関心を持つ同好の児童生徒が、教員等の指導の下に、自発的・自主的にスポーツを行うものであり、より高い水準の技能や記録に挑戦する中で、スポーツの楽しさや喜びを味わい、学校生活に豊かさをもたらす意義を有している。

また、運動部活動は児童生徒が体育の授業で体験し、興味・関心を持った運動を更に深く体験するとともに、授業で身に付けた技能等を発展・充実させることができるものであり、逆に、部活動での成果を体育の授業で生かし、他の生徒にも広めていくこともできるものである。

さらに、運動部活動は、自主的に自分の好きな運動に参加することにより、体育の授業に加えて、スポーツに生涯親しむ能力や態度を育てる効果を有しており、あわせて、体力の向上や健康の増進を一層図るものである。その上、学級や学年を離れて生徒が活動を組織し展開することにより、生徒の自主性、協調性、責任感、連帯感などを育成し、仲間や教師(顧問)と密接に触れ合う場としても大きな意義を有するものである。

このように、運動部活動は生徒のスポーツ活動と人間形成を支援するものであることはもとより、その適切な運営は、生徒の明るい学校生活を一層保障するとともに、生徒や保護者の学校への信頼感をより高め、さらには学校の一体感の醸成にもつながるものである。

文部省が平成8年に実施した「中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査」においても、中・高等学校の生徒、保護者、教員の9割以上が「運動部活動は生徒の将来のために役立つ」と答えている。また、中・高等学校の運動部員のうち「運動部活動は楽しい」と回答した人、その保護者のうち「子どもの運動部活動に満足している」と回答した人の割合も8〜9割程度となっている(1-3-15 )。

1-3-15 運動部活動を通して得たこと


(2) 今後の部活動運営の在り方

このような運動部活動の意義や、最近の社会の変化や運動部活動の状況などを踏まえ、文部省の「中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査研究協力者会議」は、平成9年12月に「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」をまとめ、今後の運動部活動の運営にかかわる課題について指摘している。

特に、近年の児童生徒数の減少に伴い、運動部活動が1校で維持できないような状況も一部に生じてきている。こうした傾向は今後、ますます強まることが予想される。現実にも、複数校による合同の活動が行われている例があり、また、複数校の合同チームにより学校体育大会への参加を求める声も多くなっている。既に、全国高等学校総合体育大会などの大会では、一定の種目で統廃合が予定されている学校同士による合同チーム等の参加を認めており、更に取扱いを広げていくことについて関係者による検討が進められている(1-3-16 1-3-17 )。

また、児童生徒期を生涯スポーツの基礎を培う時期と考えるならば、多様なスポーツ活動の機会を確保する見地から、自己の健康の保持増進、仲間との交流、競技力向上など児童生徒の志向の違いに対する配慮や、シーズン制、複数種目制など活動内容の多様化を図ることも個々の学校で検討していく必要がある。

1-3-16 中学校における競技別運動部数の推移

1-3-17 高等学校運動部員数の推移

さらに、運動部活動は、自発的・自主的活動として、児童生徒のバランスの取れた生活や成長に支障を来すことのないよう展開されるべきである。このため、

1) 生徒の個性の尊重と柔軟な運営に留意するとともに、児童生徒の参加が強制にわたることのないようにすること、
2) 学校週5日制の趣旨も踏まえて休養日を適切に設定するとともに、練習時間を適切なものとするように留意すること、
3) 外部の指導者や諸機関を利用するなどにより、必要に応じてスポーツ医・科学に関する情報を活用すること、

などが重要な課題である。

運動部における休養日等の設定例

平成9年12月に文部省の「中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査研究協力者会議」がまとめた「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」では、参考として各学校の運動部活動において設定する休養日等の例を、以下のように示している。

・ 中学校の運動部では、学期中は週当たり2日以上の休養日を設定。
・ 高等学校の運動部では、学期中は週当たり1日以上の休養日を設定。
・ 練習試合や大会への参加など休業土曜日や日曜日に活動する必要がある場合は、休養日を他の曜日で確保。
・ 休業土曜日や日曜日の活動については、子どもの「ゆとり」を確保し、家族や部員以外の友だち、地域の人々などとより触れ合えるようにするという学校週5日制の趣旨に適切に配慮。
・ 長期休業中の活動については、上記の学期中の休養日の設定に準じた扱いを行うとともに、ある程度長期のまとまった休養日を設け、生徒に十分な休養を与える。
・ なお、効率的な練習を行い、長くても平日は2〜3時間程度以内、休業土曜日や日曜日に実施する場合でも3〜4時間程度以内で練習を終えることをめどとする。長期休業中の練習についても、これに準ずる。

地域スポーツとの関係については、児童生徒のスポーツへの多様なニーズにこたえ、児童生徒と地域住民との交流を深めていくという観点から、運動部活動の充実方策の一環として、地域や学校の実情に応じて連携を進めていくことが望まれる。例えば、地域の優れた人材を外部指導者として活用したり、総合型地域スポーツクラブや公立・民間のスポーツ施設と連携・交流を進めることなどが想定される。


平成10年度全国高等学校総合体育大会(四国'98総体)開会式

特に、完全学校週5日制の導入に伴う休業日の増加、顧問数・部員数の減少などといった最近の傾向や、生涯にわたるスポーツ活動の基礎づくりの観点を踏まえ、例えば、学校に指導者がいない等の理由により特定の運動部活動を当該学校において実施できないが、地域においては活発な活動が行われている場合などは、地域と学校との連携により、子どもが真に関心を持つスポーツの活動を地域に求めていくことも必要である。

一方、運動部活動は、対外試合等を通じ、他校の児童生徒との交流のきっかけとなるものでもある。特に、学校教育活動の一環として実施される学校体育大会は、日常の運動部活動の目標となる一方、試合や運営への参加を通じ、児童生徒間の幅広い交流ができる場として、大きな意義を有するものである。

なお、試合の勝利のみにこだわり過重な練習を強いる例も一部に見受けられ、関係者により是正の取組が進められているが、何より、指導者、学校、保護者のそれぞれにおいて子どもの心身の成長についての理解を深め、過重な練習が行われることのないよう留意することが重要である。


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