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2部   文教施策の動向と展開
第9章  国際化の進展と教育・文化・スポーツ
第4節  留学生交流の推進
2  留学生受入体制の整備充実


文部省では,21世紀初頭に10万人の留学生を受け入れることを目途に,留学生の渡日前から帰国後までの体系的な施策の推進に努めている。


(1) 海外における留学準備体制の整備
1) 留学情報提供の充実

留学生が自らの留学目的に合った大学を選択し,実りある留学を実現するためには,我が国の事情や個々の大学の教育研究上の特色等に関する豊富な情報が不可欠である。このため文部省では,従来から(財)日本国際教育協会の留学情報センターを通じて内外からの問い合わせに対応し,併せて英文による日本の大学案内誌等の刊行・海外への送付等の留学情報提供を行っている。また,平成4年度には,マレーシア,タイ,インドネシアの3か国で「日本留学フェア」を開催し,参加した大学等が海外の日本留学希望者に対し,直接に教育研究情報の提供と留学相談に当たった。平成5年度においても,これら施策の推進に努め,留学情報提供の一層の充実を図ることとしている。


2) 海外における入学選考方法の検討

留学生は,日本と異なる教育事情の下で教育を受けてきているため,入学者選抜に当たっては留学生の特性に配慮した特別の選考方法を採る必要がある。このため文部省では,(財)日本国際教育協会を通じて「私費外国人留学生統一試験」及び「外国人日本語能力試験」を実施し,各大学に対しその積極的活用を促している。

しかし,現在,大学の学部等に入学しようとする多くの私費留学生は,まず,入学先未定のまま来日し,日本語学校等で勉強した後,希望する大学等の入学試験を受けていることから,来日してから留学する大学等が決まるまでの1〜2年間不安定な状態となっている。このような状況を改善し,日本への留学希望者が母国においても我が国の希望する大学への入学を決定できる仕組みを整えることは,今後一層留学生の円滑な受入れを図っていく上で重要な課題と言える。そのためには,現在国内でしか実施されていない私費外国人留学生統一試験を海外でも行い,その結果に基づいて留学する大学を決定し得るような仕組みを整備することが有効と考えられることから,平成5年度には,私費外国人留学生統一試験の模擬試験の試行をマレーシア,タイ,インドネシアで行うこととしている。


3) 海外における留学予備教育

文部省では従来から,中国及びマレーシア政府派遣留学生を対象に,国際交流基金との協力により,日本人教員を現地に派遣し,日本語及び基礎教科等の渡日前予備教育を行っているが,今後,日本留学決定者等が大学等への入学後,専攻分野の教育研究を円滑かつ効果的に進めていくためには,このような予備教育を更に拡充していくことが重要と考えられる。このため,現在,海外における留学予備教育の在り方に関する調査を行っている。


(2) 安定した留学生活基盤の確立
1) 国費留学生(文部省奨学金留学生)の計画的拡充

国費留学生(文部省奨学金留学生)制度は,広く諸外国の青年に奨学金を支給して我が国の大学等に招致する事業として,現在では100を超える国々(地域)において国費留学生の募集を行っており,受入れ留学生数も平成4年5月現在で5,699人に達している。また,諸外国の様々な教育事情と各種の留学目的に対応するため,制度の多様化などその充実を図っている(2-9-9 )。

国費留学生は留学生受入れの牽引力としての役割を果たすものであることにかんがみ,平成5年度においても,新規受入れで前年度比250人増の3,445人を受け入れることとしている。


2) 私費留学生への支援

我が国の大学等で学んでいる留学生の8割以上は私費留学生であり,相対的に高い我が国の物価や貨幣価値の格差等により,私費留学生の生活は厳しいものになっている。文部省では,私費留学生に対しては,従来から,医療費の80%補助,学習奨励費の支給,授業料減免措置,優秀な私費留学生の国費留学生への採用等の施策を実施してきている。

2-9-9  国費留学生の種類等

平成5年度においても,私費留学生を対象として授業料減免を実施した学校法人に対する援助(授業料の30%を限度として支給)の充実を引き続き図るとともに,学習奨励費制度を私費留学生に対する本格的な育英奨学制度として確立するため拡充を図る(対象者数:7,100人,支給額:大学院レベル6万8,000円,学部レベル4万7,000円)など,私費留学生が安定した生活の中で勉学に励むことができる環境の整備に努めている。また,近年,大学等の留学生奨学基金や民間奨学団体,地方公共団体による留学生への奨学事業も活発になっており,これらの活動の一層の拡充が期待されている。


3) 宿舎の安定的確保

留学生のための宿舎の確保は,充実した留学生活を送るための基礎となるものである。しかし,我が国の住宅事情は一般的に非常に厳しいものがあり,とりわけ大都市部に居住する留学生にとって宿舎の確保は大きな問題となっている。

このため,文部省では従来から国立大学の留学生宿舎の建設を推進するとともに,公益法人の留学生宿舎の建設を奨励している。平成5年度においても,国立大学の留学生宿舎の建設を格段に進めるほが,(財)内外学生センターの仙台学生交流会館の建設,皇太子殿下の御結婚記念事業として(財)日本国際教育協会の駒場留学生会館を拡充整備するなど留学生宿舎の整備を図ることとしている。また,公益法人が設置運営する留学生宿舎について税制上,地方税の優遇措置を講ずることなどにより建設の促進を図っている。

さらに,近年は,企業の社員寮や公営・公団住宅への留学生の入居や,地方公共団体による留学生宿舎の建設など,各方面の協力により,留学生のための宿舎の確保が図られつつある。

平成5年度においては,(財)内外学生センターが行っている良質な民間下宿・アパートを確保するための指定宿舎制度や,地方公共団体や民間団体が留学生宿舎を建設する場合に奨励金を交付する制度の拡充,社員寮の提供を促進する活動を行っている(財)留学生支援企業協力推進協会に対する助成などに加え,外国人留学生の民間宿舎入居に際し,大学等との協力の下,借家人賠償責任担保特約等に加入することにより,指導教官等が入居保証人を引き受けやすい環境を整備し,留学生の民間宿舎への円滑な入居を促進する留学生民間宿舎保証人支援事業を行うなど,留学生のための良質な宿舎を安定的に確保するための多様な施策を推進する。


(3) 大学等の受入体制の整備

来日した留学生が充実した勉学生活を送れるようにするためには,我が国の大学等が,世界に対して開かれた真に魅力的な教育研究組織になることが必要である。このため我が国の大学等では,留学生としての特性に配慮し,英語による授業を行うコースの開設や学位授与に当たって外国語による論文作成を認めるなどの教育指導上の工夫改善やきめ細かく留学生の生活を支援する体制の整備が図られつつある。

文部省では,大学等の受入体制を整備するため,従来から国立大学に対しては,留学生特別指導費等を措置するとともに留学生受入れに伴う専門教育教官や「日本語・日本事情」担当教官,留学生業務担当職員等の配置を進めている。平成5年度においても,こうした留学生関係の教職員を配置するほか,留学生に対するきめ細かい指導援助を行うための総合的な組織として,3大学に留学生センター及び留学生課を設置した。

一方,私立大学等に対しては,各大学等の受入れ留学生数等を勘案した私立大学等経常費補助金の特別補助を行うことにより各大学等における留学生の受入体制整備を促進してきており,平成4年度においては,対前年度比35%増の33億2,800万円を支出している。

また,平成4年度から,日本への関心を有する外国人学生を対象に,夏期休業期間を利用した体験的な留学機会の提供等を行う夏期短期留学生受入制度を実施している。


(4) 地域における受入体制整備とアフターケアの充実等
1) 地域における受入体制整備

留学生の受入体制を充実・整備するためには,国の施策の充実,大学の受入体制の整備はもとより,各地域において,大学を中心とした官民一体となった留学生受入体制を整備していくことが重要である。現在すべての都道府県に,地域の大学,地方公共団体,経済団体,ボランティア団体等を構成員とする留学生交流推進会議が設置され,地域の特色を生かした種々の留学生支援活動が推進されているが,平成5年度においては,これらの地域に密着した活動を支援していくための予算措置を講じている。


2) アフターケアの充実

我が国の大学等で学び,帰国した留学生は,我が国とそれぞれの母国との架け橋となる人々であり,きめ細かなアフターケアを行って帰国後の活動を援助することが重要である。このため,従来から,帰国した国費留学生を短期研修のため我が国に招へいする事業や,専門学術誌等の無料送付等を行ってきた。平成5年度においても,帰国外国人留学生短期研修制度の対象者を元私費留学生にまで拡充するとともに,我が国の指導教官を現地に派遣し,帰国した留学生の研究の進め方につき,きめ細かな指導を実施する帰国外国人留学生研究指導事業を行うなどアフターケアの一層の充実を儲っている。


(5) 21世紀に向けての留学生政策に関する調査研究

文部省では,昭和58年,59年の二つの有識者による提言及び昭和63年に留学生受入体制の一層の整備充実を政府一体となって進めるため発足した「留学生等の交流推進に関する閣僚懇談会」における懇談結果等を踏まえ,これまで上記のような施策を重点的に推進してきた。このため,近年留学生受入れ数が顕著に増加しているが,一方において,種々の問題点が指摘されるに至っている。

そこで文部省では,21世紀に向けての真に有効な留学生政策展開の在り方について有識者から成る協力者会議において調査研究を行い,平成4年7月に報告「21世紀を展望した留学生交流の総合的推進について」を取りまとめた。

この報告では,21世紀初頭に留学生を10万人受け入れることを目標とするいわゆる「留学生10万人計画」を積極的に評価するとともに,今後の留学生政策について,次のような新たな政策の展開を提言している。

第一には,留学生受入れに当たっては地域バランスを考慮した世界各地域からの留学生の受入れに配慮することである。現在,日本で学ぶ留学生の9割がアジアからの留学生で占められているが,今後は開発途上国への人材養成の重要性を踏まえつつ,先進国も含めたより広い視野での多様な留学生の受入れを図る必要がある。

第二に,留学生が増えるとともに,留学生の留学動機・目的も多様化してきており,そうした変化に対応した受入体制の整備を図ることである。そのため,留学目的に沿った多様なコースや実務研修を含めた総合的な人材養成プログラムの設定を図る。

第三に,留学生受入れに関し,各大学等の主体的,積極的対応が必要となっていることである。各大学等が,中長期的観点からの留学生受入れ計画を持つことが重要であり,それを積極的に広報していくことが求められる。

第四に,有為な人材の我が国への留学が大きな流れとして定着するように,きめ細かな留学生受入体制の整備を図ることである。留学生の受入れに当たっては,量的拡充のみならず質的充実についても配慮していくとともに,留学生世話組織の整備を一層図っていく必要がある。

文部省では,この報告を踏まえ,留学生の受入体制の整備拡充を更に推進していくこととしている。


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