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2部   文教施策の動向と展開
第6章  学術研究の振興
第1節  施策の概要


学術研究は,人文・社会・自然科学のあらゆる分野における幅広い知的創造の活動である。それは真理の探究という人間の基本的な知的欲求に根ざし,新しい知識や技術の体系化,先端的な学問分野の開拓などを目指している。このような学術研究の成果は,人類の知的共有財産として,文化の知的側面を形成するとともに,応用や技術化を通じて,日常生活を支え,これを豊かにする役割を果たし,人類社会の発展の基盤を形成するものである。

近年,社会・経済の急激な変化・発展や世界的な科学技術重視の傾向など,学術をめぐる諸情勢の進展は誠に目覚ましく,こうした中にあって21世紀の我が国の社会,経済を支える基盤として学術研究の重要性が強く認識されるようになってきており,他方,学術研究の中心である大学の研究環境の低下が各方面から指摘されている。

また,近年,我が国の学術研究水準の向上と国際的役割の増大に伴い,我が国が創造的な学術研究の推進を通して人類共通の知的資産の蓄積に貢献することが強く求められるようになってきている。

学術審議会においては,このような状況に適切に対処するため,平成2年の諮問以来,長期的・総合的な観点から検討を進め,平成4年7月に「21世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」答申を行った。

この答申においては,今後の学術研究推進の基本的考え方として,1)人類共通の知的創造活動としての学術研究,2)学術研究の動向に配慮した研究基盤の形成,3)研究者の自主性の尊重と社会的貢献への期待,4)研究と教育の総合的推進の4点を掲げている。また,今後の学術研究推進の施策の方向として,我が国の学術研究基盤を国際的水準に引き上げることを目標として,その計画的・重点的な整備を図ること,学術研究の進展に柔軟に対応できる世界に開かれた学術研究体制の整備を図ることに重点を置いて総合的な施策を積極的に展開する必要があることを示している。

同審議会においては,次のような課題が指摘されているが,文部省においても基礎研究の中心的担い手である大学等における学術研究の一層の振興を図るため,積極的に所要の諸施策を推進することとしている。

第一は,学術研究環境の改善である。学術研究環境については,近年の学術研究の全般的な高度化の進行や研究関連経費の上昇に適切に対応することが困難となっており,特に,大学等における研究費や施設整備費の不足,施設,設備の老朽化,陳腐化を始めとして大学の研究環境の劣化が指摘されている。

また,学術研究は,その本来的な性格から,基本的に国によって支えられるものであるが,民間資金の導入など研究費の財源の多様化も―層促進する必要がある。研究費については,厳しい評価の下に重点的な配分をすることが肝要である。

文部省では,学術研究の水準を国際的に十分高いものとするため,研究費の増額や配分の重点化を図り,施設・設備の整備充実等研究環境の改善を進めることとしている。

第二は,研究者の養成,確保である。若手研究者の養成・確保は,学術研究の進展にとって極めて重要な課題である。このため,優れた研究者の養成などに重要な役割を果たしている大学院について,適切な組織編成や教育研究指導の改善充実により質・量ともに充実を図る必要がある。また,日本学術振興会の特別研究員などフェローシップ制度の一層の改善充実を図るとともに,研究者の流動化を一層促進することも必要である。

第三は,学術研究の重点的推進である。限られた経費や人材等を効率的に活用し,学術研究の効果的な発展を図るためには,学術研究の重点的推進が強く要請されている。このため,大学共同利用機関を更に積極的に整備充実し,既設の研究所等の共同利用を一層進めるとともに,グループ研究を促進することも重要である。また,共同研究を始めとする有機的な研究協力を促進するためのネットワークを形成するとともに,内外の優れた研究者が集まり,世界最先端の学術研究が行われる卓越した研究拠点(センター・オブ・エクセレンス)の形成を図ることが重要な課題である。

第四は,学術研究における国際貢献である。学術の国際交流・協力は,本来,普遍的な知的活動である学術研究活動の内在的要請であり,その発展のためには,国境を越えた研究者の自由な交流・協力が不可欠である。また,近年の地球環境問題のように一国では対応し難い課題が増加しており,このような観点からも国際交流,協力の重要性が高まっている。学術の国際交流・協力は,我が国の学術水準の向上に資することはもとより,世界の学術の進展にも貢献するものである。このため,内外の研究者の交流,国際共同研究を積極的に支援すること,特に,発想が柔軟で適応力の高い若手研究者の交流を推進することが肝要である。また,我が国の大学や研究所の研究条件や研究水準を更に向上させ,外国人研究者にとってより魅力ある研究環境を提供することが必要である。


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