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2部   文教施策の動向と展開
第2章  生涯学習の振興
第3節  学習需要の喚起と学習機会の提供
2  学習機会の提供



(1) 多様な学習機会の提供

人々の学習活動は,生活の向上,職業上の能力の向上,自己の充実等を目指し,自己に適した手段及び方法を自ら選びながら行うことを基本とするものである。このような学習活動は,学校教育や社会教育の一環として,意図的,組織的な学習活動として行われるだけでなく,人々のスポーツ活動,文化活動,趣味,レクリエーション活動,ボランティア活動などの中でも行われるものであり,これらの活動のすべてが生涯学習の一部を成している。

このような学習活動を支援していくためには,人々のニーズに応じた多様な学習機会を提供していくことが必要である。

このため,学校教育,社会教育,文化,スポーツなどの各分野において,生涯学習を振興する観点から各種の施策を進め,多様な学習機会が提供されている。

学校教育は,人々に最も組織的・体系的に学習の機会を提供しているものであり,(2)で述べるように,生涯学習の振興において重要な役割を果たしている。

また,社会教育・文化・スポーツの分野においても,教育委員会を中心に,学習機会が提供されている。特に,公民館・図書館・博物館等の社会教育施設では,地域における学習課題や人々の学習需要に応じて,多様な学習機会が提供されており,今日では,学習需要の高度化,多様化に対応して,その目的も高度な知識・技術の習得を求めるものから趣味や生きがいにかかわるものまで,極めて幅広い範囲で実施されている。

さらに,種々の行政機関や民間の教育事業者も様々な学習の機会を提供している。

都道府県では,母子の健康や高齢者の生活に関する講座,勤労青少年や働く女性のための講座など,それぞれの行政目的に応じた様々な講座を開催している。また,民間教育事業者による教育・文化・スポーツ事業も都市部を中心に盛んに実施されており,例えば,カルチャーセンターは,民間企業としての創意工夫を生かし,人々の学習需要に柔軟に対応した学習機会を提供している。

これらのほか,公共職業能力開発施設等では,職業人としての能力開発が組織的に行われている。さらに,各企業等でも,様々な形で教育・訓練を行っており,従業貝が大学・短期大学に再入学することを奨励したり,有給教育・訓練を認めているところも増加している。

このように,今日の我が国においては,多種多様な学習機会が提供されており,今後ともそれぞれの学習機会をより充実し,人々の学習活動をより活発にしていくことが必要である。


(2) 生源学習と学校

学校は,人間として調和のとれた人格の完成と国家,社会の形成者の育成を目指す公教育機関として極めて有効かつ重要であると同時に,職業人・主婦・高齢者など幅広い人々の学習ニーズにこたえて,多様な学習機会を提供する上でも重要な機関であり,生涯学習を振興していく上で積極的な役割が期待されている。生涯学習における学校の役割については,次の三つのことが重要である。

第一は,学校教育そのものが,重要な生涯学習の場であるということである。生涯学習の概念については,学校外の学習活動を意味するという誤解も一部にあるが,学校教育は人々の生涯学習の中で,極めて重要な部分を成すものである。

第二は,人々の生涯学習の基礎を培うことである。人々が生涯にわたって学習を続けていくためには,初等中等教育において,基礎・基本を徹底し,個性を生かす教育を更に充実させるとともに,自ら学ぶ意欲や社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視することが必要である。こうした点は,平成4年度から実施されている新しい学習指導要領において重要なねらいとされている。

第三は,職業人・主婦・高齢者など幅広い人々に学習機会を提供していくことである。現在,学校において人々に多様な学習機会を提供していくため,種々の施策が講じられている。以下,学校へのアクセスの拡大,新しいタイプの学校,学校の機能・施設の社会への開放,住民の学習活動を考慮した学校施設整備という観点から,施策を紹介する。


1) 学校へのアクセスの拡大

著しい技術革新の進展や産業構造等の変化等により,高度で専門的かつ体系的な社会人再教育であるリカレント教育や,その中で特に職業人を対象として,新たな知識や技術を習得したり,陳腐化していく知識や技術をリフレッシュするために大学等が行うリフレッシュ教育へのニーズが高まっている。

このようなニーズにこたえていくためには,大学等に社会人を積極的に受け入れる方策を検討していくことが必要である。

社会人は時間的余裕に乏しく,また,学習歴や日常の学習環境,知識経験等も異なっている。また,その学習目的も様々であり,必ずしも卒業を目指すものばかりではない。このような社会人を大学等に受け入れるために,授業時間,教育方法,受験資格,入学者選抜方法などを工夫することにより,若年のフルタイムの学生とは異なった学校へのアクセスを拡大していくことが必要である。このような観点から,以下のような施策が実施されている。


(ア) 社会人入学

社会人の大学入学を促進するため,多くの大学で,社会人を対象とする特別選抜制度が実施されている。平成4年度においては156大学(うち国立大学は23大学)において実施されており,その特別選抜による入学者は3,921人(うち国立大学は370人)となっている。

また,社会人の高度で専門的な学習需要に対応するため,大学院における社会人の受入れも行われている。


(イ) 編入学

近年,短期大学や高等専門学校を卒業した者が,更に高度の学習機会を求めて,4年制大学への編入学を希望する例が増加しているのを受け,平成3年6月の大学設置基準の改正において,これらの希望に応じて編入学のための特別の定貝枠を設定しやすいようにした。


(ウ) 夜間部・昼夜開講制

時間的制約などによりフルタイムの学習が困難な者のための学習機会として,夜間部や昼夜開講制による教育が実施されている。平成4年度において夜間の学部を有する大学及び短期大学は,大学が74大学(うち国立大学は21大学),短期大学が84大学となっており,その在学者数は,大学が12万2,653人(うち国立大学は1万2,584人),短期大学は9,650人(うち国立大学は1,615人)となっている。

また,夜間に教育を行う大学院は,平成元年の大学院設置基準の改正により制度化され,平成5年度現在,筑波大学経営・政策科学研究科など7大学11研究科14専攻が設置されている。

さらに,昼夜開講制は,フルタイムによる昼間の学習が困難な社会人等の学習機会を拡充するため,平成3年の大学設置基準等の改正により制度化されたものであり,平成5年度においで昼夜開講制を実施している大学は21大学(うち国立大学は19大学)である。また,大学院において,昼夜開講制を実施している大学は,72大学106研究科302専攻である。


(エ) 聴講生,研究生等

聴講生,研究生は,教育課程の全部の履修を目的とする正規の学生と異なり,大学等の授業の一部を履修することを目的として,各大学の学則によって慣行的に認められてきたものである。おおむね聴講生は,高等学校卒業程度を資格として,履修期間1年以内に1〜数科目を履修するものであり,研究生は,大学卒業程度を資格として履修期間はほぼ1年で特殊な専門事項の研究を行うものである。大学,短期大学の聴講生,研究生の数は,平成4年度で約5万4,000人(全学生の約1.9%)に上っている。


(オ) 科目等履修生制度

平成3年6月の大学設置基準の改正により,大学の定めるところにより,当該大学の学生以外の者で1又は複数の授業科目を履修する者に対し,単位を与えることができる「科目等履修生」制度が導入された。これにより,各大学において,科目登録制(特定の授業科目の単位修得を目的とする学生を受け入れる制度)とコース登録制(コースとして設定された複数の授業科目の単位修得を目的とする学生を受け入れる制度)を設定することが可能になった。平成5年度現在,科目等履修生の数は,2,119人となっている。


(カ) 通信教育

平成5年度において,通信教育課程を設置している大学及び短期大学は22校(放送大学を含む)となっており,通信教育課程在学者数は,大学が約15万人,短期大学が約4万人となっている。

なお,通信教育課程以外に,文部省認定社会通信教育を実施している大学・短期大学が5校ある。


(キ) 大学入学資格検定制度

大学入学資格検定制度は,高等学校教育を受けられなかった者等に対して,能力に応じて広く大学教育の機会を与えるために設けられた制度であり,この資格検定を受け,一定の科目に合格した場合に大学入学資格が与えられる。近年では,高等学校中途退学者数の増加などにより,受検者が多様化するとともに,受検者数も大幅に増加し,平成4年度は1万7,708人が受検し,5,441人が合格している( 2-2-3 )。

このため,今後は,その基本的な性格は維持しながら,このような実態の変化に着目し,生涯学習振興の観点から大学教育に対するアクセスの多様化を図る方策の一つとして,検定科目や検定方法などを検討することが必要である。

2-2-3  大学入学資格検定受検状況


2) 新しいタイプの学校

人々の生涯における各段階の学習ニーズにこたえるためには,様々なタイプの学習機会が提供されることが必要であり,年齢,学習目的等の異なる学習者に対して多様な学習機会を提供するため,放送大学,専修学校等,従来の学校とは異なる機能・性格を持つ新しいタイプの学校の整備・充実が進められている。


(ア) 放送大学

放送大学は,生涯学習時代に即応し,放送等を効果的に活用した新しい教育システムの大学教育を推進することにより,レベルの高い教育・学習の機会を広く国民に提供することを目的とした新しいタイプの大学である。昭和58年4月に設置され,昭和60年4月から学生の受入れを開始して,テレビ・ラジオを中心とした多様なメディアを効果的に利用して大学教育を実施している。平成5年度第1学期には,約4万7,000人の学生が学んでおり,平成元年4月に初の卒業生を送り出して以来,平成4年度第2学期末までに合計3,514人が卒業した。

放送大学では,その設置の趣旨から,入学者選抜に当たっては,一般の大学のように入学試験を実施せず,また,多様な学習形態に対応できるよう学生種別を区分し,卒業を目的とする全科履修生,1年間在学し希望する科目を履修する選科履修生,1学期間在学し,希望する科目を履修する科目履修生及び1年間にわたり,特定の事項を研究する研究生の4種類を設けている(その他,放送大学の授業科目の履修を希望する他大学の学生を受け入れる特別聴講学生が設けられている。なお,特修生は平成3年度第2学期限りで募集を停止している。)。

放送大学は一般の大学とは異なり,社会人,有職者が学生の主体を占めており,年齢別構成では,19歳以下8%,20歳代29%,30歳代21%,40歳代22%,50歳代12%,60歳以上8%と幅広く,職業別構成でも,会社員,公務員,主婦など多様な社会人が在学している( 2-2-4 )。

2-2-4  放送大学在学者の構成

現在,放送大学の対象エリアは,東京タワー及び群馬県域送信所から送信された電波の届く関東地域と,ケーブルテレビによる同時再送信で受信できる長野県諏訪地区,山梨県甲府地区等に限られているが,生涯学習体系への移行のための基盤整備の観点からも,放送大学による学習機会の拡大が要請されている。

このため,平成4年度までに,放送大学の対象エリア外の全国14地区に,平成5年度には更に4地区(青森,岩手,京都,兵庫)にそれぞれビデオ学習センターを設置した。これは,放送授業を収録したビデオ・オーディオテープを利用し,広く社会人などに大学教育の機会を提供する施設であり,選科履修生又は科目履修生として入学した学生はビデオ・オーディオテープを視聴し,通信指導を受けるとともに,ビデオ学習センターにおいて単位認定試験を受験することになっている。

放送大学は,生涯学習体系の中核的機関として,地方公共団体,既存の高等教育機関,その他の関係機関と総合的な連携協力を深めることにより,広く国民の学習ニーズにこたえていくことが期待されている。

このため,平成4年度から,放送大学の将来の運営の基本事項について調査研究を行い,衛星等の利用による対象地域の全国への拡大の問題を含め,生涯学習振興の中核的機関としての放送大学の将来計画や他の大学との連携協力等について,幅広く検討を行っている。

なお,平成5年5月に提出された電波監理審議会の答申では,放送大学学園について,BS-3後継機の段階における衛星放送の事業主体として適当と考えるが,所要の財政的な措置等により,十分整理・担保されることが必要であり,関係者間の合意を得て,結論を出すことが適当とされた。


(イ) 単位制高等学校

単位制高等学校は,生涯学習振興の観点から,だれでもいつでも,必要に応じて高等学校教育を受けられるよう,その履修形態を学年制によらず単位制のみによるものとした新しいタイプの高等学校であり,多様な学習歴や生活環境を有する生徒に対し,広く高等学校教育の機会の確保を図るとともに,高等学校教育の多様化・弾力化にも資するものである。

単位制高等学校は,学年制の規制を外すとともに,1)入学者選抜の方法,入学及び卒業時期の特例,2)多様な科目の開設と複数の時間帯又は特定の時期における授業の実施,3)単位の累積加算,4)科目履修生に対する配慮,を可能にするなどの特色を持っており,学習者の幅広いニーズにこたえる学校としての役割が期待されている。平成5年度現在,公立の単位制高等学校は27都道府県で37校,私立の単位制高等学校は4都府県で6校が設立されている。


(ウ) 専修学校等

専修学校制度は,職業や実際生活に必要な能力を育成し,又は教養の向上を図ることを目的として,昭和51年に発足した。以後着実な発展を続け,平成5年5月には学校数3,431校,生徒数85万9,294人に達している。

専修学校には,入学資格の差異により,三つの課程(専門課程,高等課程,一般課程)の区分が設けられている。

高等学校卒業者程度を入学資格とする専門課程(専門学校)には,高等学校新規卒業者の15.6%が進学しており,高等教育の重要な一翼を担うまでになっている。専門学校の修了者に対する処遇に関しても,国家公務員では採用・給与面で短期大学卒業者と同格に扱われ,民間でも同様の処遇が定着してきている。中学校卒業程度を入学資格とする高等課程(高等専修学校)は,後期中等教育の多様化,活性化の見地から重要な役割を果たしており,一定の要件を備える修業年限3年以上の学校の修了者には,大学入学資格が付与されている。一般課程は,入学資格を問わず,だれでも専門的な知識・技術を学べるところに特色がある。

専修学校や学校教育に類する教育を行う各種学校は,教員の資格や施設設備の基準については,大学,短期大学,高等学校等に比べて弾力的なものとなっており,柔軟な学校制度としての特色を生かして,社会の変化に対応した実践的な職業教育,専門的な技術教育を行う機関として発展していくことが期待されている。さらに,ニーズに応じた科目の多様化や新しい履修方法を取り入れることなどにより,社会人,職業人を対象とする生涯学習の機能を拡充していくことが求められている。

このため,文部省においては,平成4年5月から「専修学校教育の充実・振興に関する調査研究協力者会議」において,社会の変化に対応する専修学校教育の在り方などについて検討を行っている。


3) 学校の機能・施設の社会への開放

生涯学習の振興のためには,地域における最も身近な学習の場として,学校が持つ教育機能・施設を開放し,地域の人々の学習ニーズにこたえていくことが極めて重要である。

また,近年における就業構造の変化,技術革新等の社会の変化に伴い,高度化・多様化する社会人の学習ニーズにこたえるため,リカレント教育の推進を図ることが必要であり,そのため,大学などの教育機能を広く一般に開放していくことが求められている。

こうした観点から,文部省では,大学等の公開講座や高等学校等で行われる学校開放講座の実施や学校施設の開放を奨励・助成するとともに,リカレント教育推進事業の実施などにより,学校の機能・施設の開放の促進を図っている。


(ア) 大学等の公開講座・生涯学習センター

大学公開講座は,大学の学術研究・教育の成果を直接社会に開放し,地域住民・成人一般に高度な学習の機会を提供するものである。大学公開講座の状況を見ると,講座数では国公私立を合わせて3,578講座(平成3年度)であり,受講者は,約48万人に上っている( 2-2-5 )。

2-2-5  大学公開講座の実施状況

講座の内容は,専門技術教育や職業人を対象としたもの,生命・健康,環境等現代的課題に関するもののほか,一般教養,語学がらスポーツ・趣味まで,様々である。

さらに,近年,体系的・継続的な講座の実施や大学・短期大学等における学習機会に関する情報の提供・学習相談など,社会人を対象としたリカレント教育を積極的に実施するため,生涯学習センターを開設する大学が増えてきており,平成5年度までに,9国立大学に生涯学習センターが開設されている。

また,高等専門学校においては,国立の全校(54校)が公開講座を実施しており,平成3年度における開設講座数は198,受講者数は4,819人となっている。


(イ) 学校開放講座
(a) 高等学校開放講座

高等学校は,小・中学校に次ぐ身近な教育機関である。高等学校においても,地域における成人の学習ニーズに応じて,開放講座を開設するところが増加している。平成元年度には,全国で1,682講座が開設され,約5万人が受講しており,その内容も多岐にわたっている。

高等学校は,民間の教育事業の展開が比較的少ない地域にも設置されており,その教育機能を開放することの意義と役割は大きい。このため,高等学校開放講座を更に充実していくことが必要であり,文部省では,都道府県が行う高等学校開放講座に助成を行い,その推進を図っている。


(b) 専修学校開放講座

専修学校は,地域に密着した教育機関として,人々の多様な学習ニーズに応じて,社会人向けの講座を開設するなど,その教育機能を積極的に活用していくことが要請されている。このため,文部省では,平成2年度から,専修学校開放講座の開設に対して助成を行い,その推進を図っている。


(ウ) リカレント教育推進事業

生涯学習社会の建設に向けての社会人・職業人のリカレント教育の重要性にかんがみ,文部省では,産業構造や就業構造などの急激な変化や急速な技術革新に対応する高度で体系的・組織的な学習機会を提供する「リカレント教育推進事業」を平成3年度より実施している。

これは,大学等の高等教育機関関係者,地方公共団体関係者,産業界関係者等で構成される「地域リカレント教育推進協議会」が,(a)社会人,職業人の学習機会に関するニーズその他の情報の収集・提供,(b)リカレント学習プログラムの研究開発,(c)リカレント学習コースの開設,などの事業を総合的に実施するものである。平成5年度は,神奈川,広島,福岡・北九州,富山,千葉の5地域で実施されている。


(エ) 学校施設の開放

学校施設の地域への開放は,従来から積極的に行われている。平成3年度現在,地方公共団体における学校の施設開放に関する規則の制定状況は,公立小学校88.0%,公立中学校87.9%,公立高等学校59.7%となっている。

開放される施設は,体育館,グラウンドなどの体育施設が多く,平成元年度における調査では,体育館の開放は公立小学校で91.7%,公立中学校で84.4%,公立高等学校で42.1%となっている。また,グラウンドについては,公立小学校で86.9%,公立中学校で79.7%,公立高等学校で57.2%となっている。また,大学についても,平成3年度において体育施設を開放した大学は382校に上り,利用者数も延べ約247万人に達している。

文化・教養活動のための特別教室や図書室などの開放は,体育施設の開放に比べてまだ少ないものの,利用希望は今後ますます増加していくことが考えられ,積極的に開放していくことが望まれる。

なお,平成4年9月から,月1回の学校週5日制が実施されたが,休業日である土曜日における子どもたちの活動の場として,学校の施設等が有効に活用されるよう,このために必要な指導員の配置等に必要な経費が地方交付税に積算されている。


4) 地域住民の利用を考慮した施設整備

学校を,子どもたちの学習の場としてだけでなく,地域の人々の学習活動の拠点としていくためには,施設の整備に当たっても,十分な配慮をしていくことが必要である。平成4年7月の生涯学習審議会答申においても,今後は,地域住民の利用を考慮した学校施設整備を推進し,単に学校教育活動の場としてのみならず,その教育機能を幅広く地域社会に広げていくことが提言されている。

このような観点から,文部省では,地域住民の利用を考慮した整備・活用を推進するため,学校施設整備指針において,地域の人々の学習活動にも配慮した施設整備について示すとともに,クラブハウス整備など,学校施設の開放を支援するための施設整備に対して補助を実施している。

また,平成5年4月に策定した「余裕教室活用指針」において,児童生徒数の減少により近年増加している余裕教室の活用に当たっては,学校開放の一層の促進に配慮するとともに,余裕教室の活用の一方策として,地域における身近な学習活動の場として社会教育施設等に転用することも有意義であることを示し,地方公共団体に通知した。


(3) 生源学習とボランティア活動
1) 生涯学習とボランティア活動

平成4年7月の生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」においては,生涯学習の振興のために当面重点をおいて取り組むべき課題として,ボランティア活動の支援・推進を提示した。

答申においては,生涯学習とボランティア活動の関連を,次の三つの視点からとらえている。

(ア)ボランティア活動そのものが自己開発,自己実現につながる生涯学習となる視点
(イ)ボランティア活動を行うために必要な知識・技術を習得するための学習として生涯学習があり,学習の成果を生かし,深める実践としてボランティア活動があるという視点
(ウ)人々の生涯学習を支援するボランティア活動によって,生涯学習の振興が図られるという視点

さらに答申では,ボランティア活動は,生涯学習と密接な関連を有するとともに,その活動は,現代社会における諸問題を背景として行われるものであることから,豊かで活力ある社会を築き,生涯学習社会の形成を進める上で重要な役割を持つものであり,ボランティア活動の支援・推進を図っていくことが必要であるとしている。そしてボランティア活動の支援・推進を図っていくための課題として,

(ア)ボランティア活動をめぐる社会的文化的風土づくり
(イ)ボランティア層の拡大と活動の場の開発
(ウ)情報の提供と相談体制の整備充実,連携・協力の推進
(エ)事故等への対応と過剰な負担の軽減のための支援
(オ)企業における課題
(カ)評価に関する課題

を提言している。


2) ボランティア活動の支援・推進方策

文部省では,生涯学習審議会の答申の趣旨を踏まえつつ,生涯学習の振興の観点からボランティア活動の支援・推進を図っていくため,次のような施策を実施している。


(ア) 学校教育におけるボランティア活動

学校教育においては,勤労の尊さや社会奉仕の精神などを養う体験的な活動として,小・中・高等学校を通じ,主として特別活動のクラブ活動や学校行事の勤労生産・奉仕的行事の中でボランティア活動が行われており,具体的には,地域の実情に応じ,各学校において,地域の清掃活動や老人ホームでの奉仕活動など様々な活動が行われている。また,「道徳」において,社会への奉仕の気持ちを深め,公共の福祉と社会の発展のために尽くす精神等を育成することとしており,さらに,社会科や家庭科でも,高齢化社会の進展等の中での社会福祉について学習する際にボランティア活動が取り上げられている。このような学習を通して,ボランティア活動に関する基礎的な理解や社会参加の精神が培われている。

文部省では,昭和63年から,奉仕等体験学習研究推進校を各都道府県ごとに指定しており,平成5年度は,小・中・高等学校各一校ずつ140校を指定し,ボランティア活動の推進を図っている。


(イ) 生涯学習ボランティア活動総合推進事業

文部省では,青少年から高齢者まであらゆる層の人々が,学習活動の成果を諸活動の中で生かすことができる環境の整備を図るため,都道府県の実施する「生涯学習ボランティア活動総合推進事業」に対し助成を行っている。この事業においては,教育委員会又は生涯学習推進センター,青少年教育施設,婦人教育施設等を拠点に,次のような事業が実施されてきた。

・県内のボランティア事業に関する連絡・調整
・「活動の場」(受入れ先)の開発
・情報提供,相談事業
・ボランティア養成カリキュラム等の開発
・ボランティアの養成・研修事業

さらに,平成5年度からは,地域住民のボランティア活動に関する多様な情報ニーズに対応するとともに,ボランティア活動を求める側とボランティアを効果的に結びつけるための相談体制の充実を図ることができるよう,県内に生涯学習ボランティアセンターを開設する事業について一層の整備・充実を図ることとしている。


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