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2部   文教施策の動向と展開
第1章  文教施策の総合的推進
第2節  教育改革の推進
1  臨時教育審議会の答申―教育改革の三つの視点―


我が国の教育は,教育を重視する国民性や国民の所得水準の向上等により著しく普及・発展し,我が国の経済,社会,文化の発展の原動力となってきたが,反面,社会の急激な変化や教育の量的拡大は,教育の在り方にも大きな影響を与え,学歴偏重の社会的風潮や受験競争の過熱化,青少年の問題行動,あるいは学校教育の画一性・硬直性の弊害など様々な問題が指摘されるに至った。また,産業・就業構造の変化,急激な高齢化,情報化社会の進展,各分野における国際化の趨勢など,社会の変化に対応する教育の実現も強く求められるようになった。

このような諸課題に取り組むため,昭和59年8月,内閣総理大臣の諮問機関として設置された臨時教育審議会は,教育及びこれに関連する諸分野について幅広い観点から精力的な審議を行い,4次にわたる答申を行って,広範多岐にわたる改革方策を提言した。

同審議会は,教育改革の基本的な視点として,1)個性重視の原則,2)生涯学習体系への移行,3)変化への対応の三つを示している。

「個性重視の原則」とは,個人の尊厳,個性の尊重,自由・自律,自己責任の原則を指すものであり,臨時教育審議会答申は「今次教育改革で最も重視されなければならない基本的な原則」であるとしている。この原則は,これまでの我が国の教育の画一性,硬直性,閉鎖性といった弊害を打破する考え方であり,この原則に照らして,教育の内容,方法,制度,政策など教育の全分野の見直しが必要となる。記憶力中心の詰め込み教育ではなく,創造性や考える力,表現力などの育成が重要となり,また,教育における選択の自由の増大する社会にあって自由は自己責任を伴うものであることから,自由の重み,責任に耐え得る能力の育成が必要になる。

「生涯学習体系への移行」とは,学校教育への過度の依存を反省し,自由時間の増大,高学歴化,高齢化などの社会の成熟化に伴う多様な学習需要や,科学技術の高度化,経済のソフト化などの社会変化に伴う新たな知識技術の習得の必要性にこたえるため,生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適正に評価されるような新たな教育体系の構築を目指すものである。我が国の国民が,学歴社会の弊害から脱却し,社会の変化に主体的に対応しつつ活力ある社会を築いていけるようにするためには,従来の学校中心の考え方を改め,このような生涯学習体系への移行を主軸とする教育体系の総合的再編成を図っていくことが必要なのである。学校教育の自己完結的な考え方から脱却し,児童生徒の自己教育力の育成を学校教育の重要な目的としてとらえ直すことが必要となり,また,家庭や地域社会の教育機能を活性化するとともに,家庭・学校・地域社会の相互の連携を図ることが重要となる(生涯学習の振興については, 2部第2章参照 )。

「変化への対応」とは,教育が時代や社会の絶えざる変化に積極的かつ柔軟に対応していかなければならないということである。なかでも,教育が直面している最も重要な課題は,国際化及び情報化への対応である(国際化,情報化への対応については,第2 第9章 及び 第10章 参照)。


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