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1部   文化の振興
第4章  文化は世界を結ぶ
第5節  諸外国の文化行政
4  ドイツの文化行政



(1) 概説

ドイツは州政府の集合体である連邦国家で,地方分権主義が徹底しており,行政の大部分は州政府が行うこととされている。特にナチズムの時代に国家の文化政策の方針が文化活動の内容に多大の影響を及ぼした経緯があり,これを転換する意味でも,文化に関しては各州において独自に保護,振興されることとなった。1989年現在,ドイツの国全体の文化支出は全行政費の0.92%とヨーロッパの中でも高い水準にあり,その大きな部分を州と市町村が占めている。しかし,ドイツ統一に伴い,連邦政府は統一条約に基づき旧東ドイツ地域の文化生活の存続・安定に責務を負うこととされたことにより,連邦政府の支出は一時的に大きくなっている。連邦・州・市町村の文化関係支出額・割合は 1-4-8 のとおりである。

1-4-8  連邦・州・市町村の文化関係支出額・割合

連邦政府において文化予算を構成するのは内務省,外務省,教育・科学省であるが,個々の活動・団体には助成を行わず,各州の文化省が中心となって文化的基盤の整備を行っている。なお,各州間の調整・協力のため,各州の文部大臣による常設の会議(Standige Konferenz der Kultusminister derLander)が設置されている。

また,諸外国との文化交流については,ドイツ語の普及と国際文化交流と相互理解の促進のため,ゲーテ・インスティテユート(Goethe―Institute)が,外務省の補助を受け文化交流事業を活発に実施している。


(2) 芸術文化の振興

連邦政府においては内務省がドイツ音楽協議会,芸術基金等の連邦全体に関わる協議会の補助,芸術文化に関する法制等を所掌している。外務省はドイツ文化の海外への紹介,教育・科学省は芸術系の大学や地域における文化活動に対する援助を行っている。民間による文化支援は1951年にドイツ工業連盟内に文化部会が組織され,芸術文化プロジェクトが実施されているが,文化は政府が支えるものとの認識が―般的で,まだ大きな流れとはなっていない。


(3) 文化財の保護

文化財保護に関する権限は原則として州に与えられているが,貴重な文化財の国外流出の防止については内務省が所管し,1955年のドイツ文化財の国外流出防止に関する法律によって規制されている。これによって連邦政府が作成する目録に登録された重要な美術品等(現在約500点)の輸出が許可制とされた。

各州における文化財保護法の制定は,1958年のシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州が最初であり,1982年には旧西ドイツ地域のすべての州で制定され,現在旧東独地域の新しい州においてその制定が進められている。

なお,旧プロイセン国の文化財の保存・管理を行うため,1957年に連邦内務省所管のプロイセン文化財団(Stiftung Preussischer Kulturbesitz)が設立され,現在,連邦政府が財団予算の70%を,残りをすべての州が負担することとされている。また1975年には,連邦と州等の文化財保護行政機関や報道関係者,専門家を構成員とする文化財保護全国委員会(Deutsches Nationalkomitee fur Denkmalschutz)が設立され,連邦と州との連絡,調整の役割を担っている。

(注)マルクの換算については,1マルクを79円とした。


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