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1部   文化の振興
第4章  文化は世界を結ぶ
第5節  諸外国の文化行政
3  フランスの文化行政



(1) 概説

フランスは伝統的に中央集権国家で,文化振興においても中央政府の果たす役割は大きく,文化,コミュニケーション省(Ministerede la Culture et dela Communication)がそれを統一的,総合的に担っている(なお,1992年10月には文化教育省(Ministeee de l′education nationale et de laculture)と改組されたが,以下では旧組織下での文化関係施策について述べる)。文化・コミュニケーション省の施策は,国立の文化施設の運営や芸術団体に対する助成に加え,芸術家養成のための専門機関の設置・運営,初等中等教育における芸術教育,歴史的建造物の大規模な復元・修復を行うなど幅広く展開されている。

フランスでは歴史的に国が文化に深くかかわってきたが,近年は特に文化政策に力が入れられており,より多くの大衆が親しめる文化創造,文化の地理的不平等解消(地方文化の振興),テレビ等の視聴覚産業へのテコ入れによるフランスの文化的地位の強化等の目標が立てられ,文化予算も増額された。特に80年代後半は,美術館やオペラ劇場の増改築等の大プロジェクトが遂行され,かつてない規模の文化支出となり,1992年度の文化・コミュニケーション省予算は国家予算の0.98%を占めている。文化省予算の分野別内訳は 1-4-7 のとおりである。

また,文化予算に関しては地方もかなりの支出を行っており,市町村段階においても独自に多分野にわたる文化政策を展開している。

また,1987年には芸術文化助成に関する法律の成立に伴い,芸術文化の助成に関するハイレベル諮問委員会が発足し,公的資金と民間資金との協力によって種々の文化事業が実施されている。また近年は企業の文化支援活動が盛んになっており,これに対し,文化活動のための寄附金についての税制上の優遇措置もとられている。

1-4-7  文化・コミュニケーション省予算


(2) 芸術文化の振興

文化・コミュニケーション省は,舞台芸術の分野ではパリ・オペラ座,音楽・演劇コンセルヴアトワール,5大国立劇場等を所管し,また地方及び民間の各団体及び教育機関に財政援助を行い,その振興を図っている。美術分野ではルーブル美術館等33館の美術館・博物館を直接管理するほか,民間の美術館に財政援助を行っている。また,国立造形美術センター等を所管し,造形美術の創作活動と専門家の養成を支援している。映画については,国立映画センターが製作の助成,映画の保存等に当たっている。


(3) 文化財の保護

フランスにおける文化財の保護については,国が多くの歴史的な記念物を保有し,歴史的に国の中央集権的な体制によって行われてきたことが特色であり,文化財の指定制度も長い伝統を有しているが,現行の文化財保護制度は,歴史的記念物に関する1913年法,天然記念物及び美術的,歴史的,学術的,伝説的又は絵画的な景観の保護のための1930年法,考古学上の発掘の規制に関する1941年法,都市計画に関する1973年法などが基本となっている。歴史的遺産の保護はこれらの中でも優先的な施策とされており,1988年からは5か年計画により歴史的建造物の復元・修理事業が行われた。

歴史的記念物に関する1913年法は歴史上又は美術上の見地から保存の必要がある不動産及び動産を保護の対象としている。指定対象物件が私有に係るものである場合,所有者の同意があるときは省令で,同意がないときはコンセイユ・デタ(内閣法制局と最高行政裁判所を兼ねた複合的機関)の議を経た政令で行われることとなっている。指定不動産については現状変更の制限のほか,国費修理ができることとされ,指定動産については現状変更の制限のほか国外への輸出が禁止されている。なお,直ちに指定を要しないがその保存が望ましいものについては省令により補助目録に登録できることとされ,指定による重点主義を補う形で登録による保護措置がとられている。

天然記念物及び美術的,歴史的,学術的,伝説的又は絵画的な景観の保護のための1930年法は,その保存又は保全が普遍的価値を持つ天然記念物及び景観地を指定し,現状変更の制限等の保護措置を講じることとしている。

考古学上の発掘の規制に関する1941年法は埋蔵文化財の保護を図るもので,国によるもの以外の発掘,試掘については許可制となっており,文化・コミュニケーション省の監督下に実施すべきこととされている。

都市計画に関する1973年法は我が国の伝統的建造物群の保護制度に相当する規定を定めており,歴史的・美術的特質を有する一定の街区又はその地区内の建造物等を保護地区に指定することとされている。保護地区では政令で長期計画が定められ,現状変更が制限されるなど,都市再開発の中で歴史的街区の保存を図る上で重要な機能を果たしている。

(注)フランの換算については,エフランを23円とした。


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