ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部   文化の振興
第3章  文化財を守り,活かすために
第4節  文化財を守るための科学,技術
2  文化財保存技術の継承


我が国の有形の文化財のほとんどは,木,紙,漆等の脆弱な材質,構造で作られており,これらの保存には,繰り返しの修理が必要不可欠である。また,無形の文化財を支える衣裳,器具等の製作・修理やそれらの仕事に要する道具等の製作・修理についても同様である。このため,有形・無形の文化財の保存には,修理・製作の伝統的な技術が重要であり,これらの文化財保存技術の保存・伝承が図られている。


(1) 選定・認定

昭和50年の文化財保護法改正において,文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術又は技能で保存の措置を講ずる必要があるものを選定保存技術として選定し,これを正しく体得し,かつ,これに精通している者を保持者に,また,保存することを主たる目的とする団体で技術の保存上適当な事業を行うものを保存団体として認定することとした。その指定・認定状況は 1-3-10 のとおりである。

文化財の保存に必要な伝統的技術は多岐にわたっている。しかも,文化財の修理に直接的に関係するものから,文化財を支える資材の製作の技術あるいは修理に使用される器具,資材の製作技術まで,幅広いものであることから,選定に当たっては,分野のバランスに配慮するとともに,伝承者の減少により衰亡の危機にあるような伝統的技術を重視して選定を行い,技術の向上と伝承者の養成に資するよう努めている。

1-3-10  選定保存技術の指定・認定状況(平成5年5月末日現在)

文化財の保存に必要な伝統的技術を有する技術者は,高度の専門的知識や長年の経験に基づく技術が必要とされるが,近年,社会的変化や新しい素材の開発等に伴って,これら伝統的技術を有する者が次第に減少する傾向があり,後継者の確保が困難になるなどの事態が生じている。

選定保存技術の保持者及び保存団体に対しては,その技術の後継者養成や記録の作成などその他保存のための事業について,国が助成するなどの措置を講じている。


(2) 修理等の資材の確保

文化財の保存修理等には,それぞれ伝統的に用いられてきた資材が不可欠であるが,中には,社会的な需要が減少し,その生産において経済的な採算が合わないものがあり,その生産が落ち込んで入手困難となっているものも多い。

これらの資材の製造の関係においても,その技術を選定保存技術として選定し,助成を行っているところであり,例えば,越後上布・小千谷縮の原材料である苧麻を栽培し繊維を採取する「苧麻生産・苧引き」や繭から三味線や箏の弦の材料となる原糸を製造する「邦楽器原糸製造」などを選定保存技術として選定し,助成を行っている。また,伝統芸能の用具や工芸技術に必要な用具の中には,沖縄の三線の蛇の皮や鼓の馬の皮等,入手が困難となってきているものも多い。今後,関係分野との連携を図り,その協力を得つつ,必要な材料確保のための方策を講じていく必要がある。

国宝 木造金剛力士像修理現場(奈良県東大寺内修理所)


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ